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さようなら、大好きだった貴方。




 埃っぽい棚から、一冊のアルバムを取り出す。


 ぺらりぺらりと、アルバムを捲る。


 そこには、私と貴方が写った写真が何枚もある。


 どれもこれも、私と貴方は笑顔で。


 私から見ても、写真に写る私は幸せそうで。


 自分なのに、見ていると嫉妬心みたいなのが込み上げてくる。


 それくらい、写真に写る私たちは幸福に溢れていた。


 ……この時は、まさか今のようになるなんて思わなかった、から。


 生きている間ずっと、私はこの人と一緒にいるって思っていた。


 運命の人なんだって、信じて疑わなかった。


 けど、時の流れは残酷で。


 気づいたら、彼は別の方を……誰かを見ていた。


 だから、さよならした。


 私の方から、彼とバイバイした。


 けど、すぐには彼のことを忘れられなくて。


 ずるずると彼のことを引きずった。


 好きだから。


 別れても、愛していたから。


 そんなに好きなら、別れなければよかったんだけど。


 ……ほんと、なんでなんだろうね。


 なんで、手放しちゃったんだろうね。


 でももう、終わったこと。


 終わらせたこと。


 だから……


 アルバムから、彼の写る写真を取る。


 一枚、一枚。


 残らず、彼の写る写真を取る。


 その写真を丁寧に便箋に入れて、ごみ袋に入れる。


 ……もう、別れたんだから。


 忘れなきゃ。


 貴方との思い出も。


 貴方の大きな手も。


 貴方の笑顔も。


 貴方の体温も。


 ぜんぶぜんぶ、忘れなきゃ。


 ……前に、進まなきゃ。


 涙をボロボロとこぼしながら、貴方との思い出を捨てる。


 さようなら、大好きだった貴方。


 愛してくれて、愛させてくれて……ありがとう。


 これで本当の、さようなら────












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