俺はモテるんだ
俺はモテる。
多分、学校一モテている。
だって、同級生女子も後輩女子も先輩女子も、俺に告白するし。
学校一どころか、もしかしたら俺はこの辺で一番モテてるかもしれない。
だって、他校の女子にもよく告白されるんだぜ?
それどころか、女性の教師も、時には男にも告白される。
あ~あ、モテる男は辛いぜ。
俺が微笑んだら、女子たちはキャーキャーと喜んでくれるし。
俺がちょっと声をかけるだけで、みんな頬を赤くするし。
あ~あ、モテる男は辛いぜ。
女子はみんな、俺のものだぜ!
……なんて、少し前はそんなことを思っていた。
けど、違った。
同じクラスの、最近隣の席になった女子だけは。
俺が声をかけると、なぜか睨み付けるし。
俺がにこっと微笑むと、露骨に嫌そうな顔するし。
俺が隣を歩こうとすると、距離をとるし。
こんな女子、初めてで。
こんな屈辱、初めてで。
俺は、彼女に惚れられるために毎日声をかけた。
けど、彼女は俺に興味を示さない。
それが悔しくて悔しくて……
そんなある日、彼女がいつも読んでいる本を図書室で借りて読んでみた。
難しくて何度も挫折しそうになったけど、彼女の気を引きたくて、俺はどうにか最後まで読んだ。
読み終えて彼女に本の話をしたら。
彼女は瞳をキラキラとさせながら、その本のことを嬉しそうに説明してくれて。
その時初めて、彼女の笑顔を見て。
俺の胸が、どきんと強く鼓動した。
初めての感覚……だった。




