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わらいかた
昔から私は無口で、笑わない人間だった。
だからか、私のことを笑わせようとするクラスメイトもいたが、私は笑わなかった。
大人になって仕事をするようになって。
愛想笑いを覚え、愛想笑いをするようになった。
けど、愛想笑いだとしても、ちょっとオーバー気味に笑うと多少楽しくなる。
ちょっとでも楽しくなるために、私は変な笑い方をする。
引き笑いとか「くははは」とか。
すると、時々ふと自分の笑い方に気づく。
「あれ、今の笑い方、前にお世話になっていた先輩の笑い方に似てる?」
と。
そしてそれを、会社の人にも言われた「~さんの笑い方になんか似てるね」
と。
ああ、いつの間にか先輩の笑い方の癖がうつってたんだなと。
今日も私は、愛想笑いをする。
オリジナルの笑い方をしながら、時々先輩に似た笑い方をしながら。




