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ミシェル改造計画始動!?

いよいよ本日からミシェルの貴族としての教育が始まります。


先ずは言葉遣いと文字です。

教師がやってきました。


「まずは自己紹介からお願い致します。」


「…初めまして…僕の名前はミシェルと言います。宜しくお願い致します。」


「…自己紹介の仕方は色々ありますが、基本的なところから、“僕”は止めましょう。

それは男性の言葉です。“わたくし”と言いましょう。

それから言葉遣いと、文字についての勉強ですが、楽しく無ければ身につくのも難しいでしょうから…。

文字の一覧表を作ってまいりました。

今日はその読みかたを学んでいただきます。

その上で宿題を2つ出します。

一つ目は、毎日、私宛に手紙を書いてください。

内容は、何でも良いです。今日、何をなさったとか、どうだったとか、そんな事で構いません。

最初は数行で大丈夫です。

段々と、長い文章を書けるように致しましょう。

もう一つの宿題は、読書です。

いきなり難しい本は大変でしょうから、本日は絵本をお持ちしました。

こちらを最低1ページ、声に出して読めるようになさってください。

その際に、書かれている文字にも気を付けてください。」


そしてまずは文字の一覧を、どう読むのかを教えました。

ビルはその間、隣で大あくびをして丸くなって眠っておりました。

その後、今度は、絵本を読みました。

先生が選んできた絵本は、猫が悪い魔女に塔に閉じ込められたお姫様を救うお話でした。


「ぼくの、なまえは、だるたにあん。とうのおひめさまをたすけにいくぞ!」


ミシェルは、幼児用の絵本1ページを読むのに、10数分も掛かりました。

でも次も読みたくて、1日で10ページ読んでしまいました。


お昼は、食事のマナーのレッスンです。

これは、メアリーが教えることになりました。

メアリーは侍女とはいえ、実は子爵家の3女だったのです。

このレッスン中も、ビルは、優雅に美味しそうに食べておりました。


「ミシェル様、本日はビル様の食べ方を見ていても宜しいです。

いえ、今週は許可しましょう!

でも!来週はビル様を見ずに、食べられるようになりましょう!

先ず音は立ててはダメです。」


「…?ミシェル様、音は立てられないのですね…?」


「お母さんが元気だったころに、食事は音を立ててはダメよって教わったから…。

でもこんなにたくさんのフォークやナイフが並んでいる食事なんてしたことが無いから、どれを使ってよいのか分からないの…。」


「基本的には並んでいるカトラリーの外側から使いましょう。

後は徐々にどれが魚用のナイフで、どれが肉用のナイフとか、覚えていきましょう。」


午後は歩き方やダンスのレッスンが待っています。

歩き方などの所作、そしてダンスのレッスンは、外部から講師が招かれました。

やってきたのは優しそうなお兄さんという感じの男性でした。

この邸の家主、アンドレアの従兄弟で学生だというマリオという青年です。

しかしこのマリオ、優しそうな顔をして案外エグいのです。

どうもこの男、見た目は良いけどかなりの女嫌いなようで。


「全く何で僕がこんなガキの相手をしなくちゃいけないのか?!」


「…おい!心の声がダダ漏れにゃ…。」


「はぁ?!何だよ!喋る猫のおまけ付きか?!ったくホント!食えねぇな!あのくそ女!」


「喋る猫で悪かったにゃ!イヤなら辞めてもらって良いんだにゃ!そもそもミシェル自身が望んだ事じゃにゃいにゃ!」


「何でも良いけどさ、どうすんの?やるの?やらないの?!」


「やります…。」


「じゃあ先ずはベタだけど、この本を頭に載せて、落とさないように歩いて!」


「はい…。」


「…出来んじゃん…。じゃあ歩くのはもう良いや…じゃあ次はダンスね。相手無しでも出来るか?」


「相手無しでは踊れません…。」


「ったく!面倒くせぇなぁ~おい!そこの猫!誰か連れてこい!」


「…仕方ないにゃ…ちょっと待ってるにゃ!」


そういってビルは部屋から出ていった。

…と思ったら、入れ替わるように金髪に釣り目のとても顔の整った男性が入ってきた。


「「誰???」」


「お嬢さん、俺と一曲、踊って頂けますか?」


優雅に挨拶をされ、返事を返す前に、手を取られて踊り出していた。


「何よ!踊れるじゃないの?!ってかお前誰?」


「ミシェルには、歩いたりお辞儀をしたり、踊ったりは、練習は要らないな…。

お前、首だな!」


そう言って金髪のイケメン男性は、マリオに向かってニヤリと笑った。


「お!俺だってこんなのやりたくねぇよ!でも頼まれたから仕方なく…。」


「だったら尚更丁度良いじゃねぇか!良かったな!辞められるぞ?」


「何なんだよ!?お前は?!」


「ミシェルを見守る魔法使いでございます。以後お見知りおきを!」


「ってか…誰だよ?!」


「だから魔法使いだよ。」


「いやお前、どう見ても魔法使いじゃなくて、チャラい結婚詐欺師とかだろ?!」


「や!俺は真実の愛を求めて世界を歩いているんで、真実の!愛を見付けるまでは、誰かに結婚を申し込むとか有り得ないから!」


「うわぁ~嘘くさいわぁ~」


「ま!そんなわけで、ミシェルにウォーキングとダンスは要らないな!じゃ!」


そう言って金髪イケメン詐欺師?は、去って行った。


「あのイケメン詐欺師は何だったの?」


「…分かりません…。

それで私はもう歩くのとダンスはやらなくても良いですか?」


「まあ…必要ないわね。ってかあ~た!やっていたの?ダンスとか?

やらなくても出来るんじゃ無いの。」


「ママが居た頃、よく遊びでやってました…。」


「…まあ…だったらダンスは後は実践積むだけだな…。

じゃあお辞儀とかは?出来る?」


「ママと舞踏会ごっことかやっていたから…。」


「…お嬢様、私と一曲踊って頂けますか?」


「喜んで!」


「出来るな…。じゃあ分かった、次は会話の受け答えだな。これも実践でやるしかないかな。

よし!ではそれほどマナーに煩くなさそうな夜会に参加するとしよう!

これについてはまあ次回までに相談してくるよ。」


こうしてミシェルの教育は始まったものの、主に必要なのは、食事マナーと文字の読み書き、まずはそこからとなった。

読み書きと並行して、時間はかかるが、歴史や文学などを学ぶというスケジュールが組みなおされた。


読み書きはメアリーが教えるが、歴史や文学などについては、メアリーは専門ではないため、別途子供用の教師が用意された。

ダンスや所作については不要となったが、だったら音楽をとなり、これもマリオが教える事となった。


「あ~た…楽器は何も出来そうにないわね?!歌は歌えるのかしら?」


「ママに教わった曲だったら歌えます…。」


「ちょっと歌ってみなさいよ…。」


「*~~**♪==★★♫」


「ちょっと待って!それ、どこの国の曲なの?!」


「…知りません…ママから教わっただけなので…。」


「っていうか外国語、話せるの?!」


「…分かりません…この曲、外国の曲なんですか???」


「まあ良いわ…では取り敢えず音感はあるようだから、楽器ね…何か触ったことはあるの?!」


「無いです…。あ、スプーンを打ち鳴らしたりとかだったら…」


「そんなもん楽器って言わないわよ!分かったわ…楽器については、オクタビアたちに相談するから。

先ずは歌ね…。」


そういって今日は讃美歌なるものを教えてもらった。

ミシェルとしては、母親から教えてもらった曲の方が楽しくて好きだったが、大人しいミシェルは、それをいう事は出来ず、讃美歌を何回も空で歌えるまで練習させられた。



その夜、ビルは再びオクタビアの元を訪ねた。


「こんばんにゃ~」


「あなた…またどこから入ってきたの?!…まあ良いわ。

何かわかったことがあるのかしら?」


「まだハッキリとはわからにゃいが、ミシェルの母親は、あの子にフィオーレ王国の曲を原語のまま教えていたみたいだ。

家を追い出される前、俺があの家に拾われた頃以降は、あの子が堂々歌うところは見たことが無かったので気付かにゃかったが。

今日、マリオに何か歌えって言われて、歌った歌が、フィオーレ王国の歌だったにゃ。

かなり綺麗な発音だったにゃ…。

そしてあの国の王族は、青い髪が多いと記憶しているにゃ…。」


「何ですって?!もしかすれば、あの子はフィオーレ王国の王族若しくは王家に繋がる上位貴族の子の可能性があるって事よね?!

それって大問題じゃないの!今、あの国の王族は荒れているから、もしもあの子がなんてことになって、しかもそれが公になれば、命を狙われる可能性も出てくるわよ!」


「だにゃぁ~…さてどうすっかにゃあ~…。

それとは別に、お前、誰かフィオーレ王国の人間か、若しくはフィオーレ語を話せる知り合いは居ないかにゃ?あの子がフィオーレ語を話せるかどうか、試してほしいにゃ…。

俺はフィオーレ語は挨拶程度しか話せないにゃ…。」


「っていうか挨拶程度なら話せるの?!フィオーレ語…あなた猫なのに…。」


「…猫だにゃ…。」


「急いで探してみるわ…。」


数日後、オクタビアとミシェル、マリオとマリオの友人というフィオーレ国から遊びに来ているニコラスで茶会を催すことになった。

こんにちは。恵葉めぐみ ようと申します。


初めて書いたそこそこの長さの作品が、割と暗かったので、今度は楽しそうな作品を書いてみたいと挑戦中です。

一人でも面白いと思って読んでいただける方が居れば嬉しいです。

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