表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: りょう。
1/1

1.一夜のこと

 ある夏の日。

 俺はいつものように仕事が入ったので現場へと向かった。そこはある老夫婦の自宅であり、玄関前にはその妻らしき人物の姿があった。彼女は俯きながらも、頑張って状況を伝えてくれた。朝食の準備が出来たために夫を一階からいつも通りに呼んだが、返事がなく、部屋まで向かったらしい。ドアをゆっくりと開けた瞬間、腐敗臭が鼻をツンとついたため、察し、直ぐに扉を閉めたとのこと。確認するのが怖かったそうだ。無理もない、と思った。

 自宅へお邪魔した。現場の部屋の前で、俺は二重にはめたゴム手袋や長靴と、防護服との隙間をガムテープで留めた。

 ドアを開けると、生臭い匂いと共に真っ黒に染まった部屋が目に飛び込んできた。また、ベッドの上には全身がぐちゃぐちゃの、真っ黒になった遺体があった。遺体は原型を留めていなかったが、そもそも部屋で亡くなっていたこと、そして右足に妻の編んだミサンガを付けていたことで夫であることが確認された。

 俺は部屋の前でその遺体に対し黙祷をした。


 遅れて現場へ着いた仲間二人にそのことを伝えた。そもそもなぜこの部屋は黒いのか。元々黒かったのか?そう思いながらも仲間と共に掃除を始めようとしたそのとき、先行して部屋に踏み入れた仲間の一人が

「うわ!」

 と叫んだ。

「どうした? 武尊」

 そう俺は問いかけるも、武尊は動かない。が数秒して、

「こ、これ、俺を避けて動いたぞ」

 と言い出した。

「なにいってんだ? これ部屋が元々黒いだけだろ。じゃあこれ全部虫なのか? ウジとか小バエならいつもの事だが、これそんな感じじゃないよな」

 そうもう一人の仲間である聖真がいい、その黒い何かを見るため、床にかがんだそのとき、

「うわあああああ!」

 という発狂とともに聖真は尻もちをつき後ずさりした。

「お前何してんだ!?」

 と俺が言うと、聖真はこちらに顔を向けて、

「目に、目に飛び込んできたあああああ」

 と恐怖に声をふるわせ、

「うごいてる、うごいてる、うわああああああ!」

 と叫んだ。

「おい、ゴーグル真っ黒じゃねぇかよ! 黒いの動いてるって!?」

 その様子をみた俺は戦慄し、悪寒がした。

「はやく、とってくれ、とってくれ!」

 そう聖真が暴れだしたためか、驚いた老妻が様子をみに上へと昇ってきた。

「どうかしました……?」

「こっから離れろばあさん! この黒いやつ、全部虫だよ虫!」

 そう言って俺はおばあさんに怒鳴りつけた。驚いた老妻はそそくさと階段を降りていった。そして聖真を助けるため、二人がかりで防護服のゴーグルに張り付いた、大量の黒い虫らしきものを手で払った。なぜかこの黒い虫は人の手などには付かず、簡単に吹っ飛んでくれた。彼についた黒い虫らしきものを全て払ったのち、俺らはこの部屋から出てドアを閉め、神妙な表情で顔を見合せた。

「おい、もしも聖真をはじめ、俺らが防護服来てなかったら……。特にあのおばあちゃんに害があったとしたら大惨事だったよ。なんなんだよあれ」

 そう武尊は言った。間髪入れずに俺は口を開く。

「もしもあのご遺体が、この部屋を埋めつくしてる黒い虫によって殺されたんなら、これは事故……なのか? しかも、夫は昨日は普通に妻と会話していたとの事だから、これはたった一夜にして起きたってことだ。どうなってやがる……?」


 俺らは無言でスタスタと階段を降り、依頼をくれた老妻の元へと向かったのであった。

頑張って資料集めしてるつもりですが、不自然な部分があると思いますので、適宜指摘お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ