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プロローグ

 広大な領土を誇る大帝国があった。しかし、後継者を巡る争いが大帝国を2つに分けて骨肉の争いに発展した。終わりの見えない長い戦乱が続き国は荒れて行く。


 その中で地方の領主達は次々と覇を唱え、独立し国を興した。そうして世界は戦国の時代へと突入した。


 勇壮な音楽が頭の中で微かに鳴り始め少しづつ大きくなっていく。


 魔物と戦う勇猛な騎士。大魔法を連発する魔法使い。可憐な聖女が次々と現れる。


 数万の兵同士の戦争の場面に切り替わり、弓兵が豪雨のように矢を降らせ。騎馬兵達が土埃を上げて駆け巡る。歩兵同士が剣と盾を手にぶつかり合う。


 高橋蓮たかはしれん15歳は、最後に自分が熱中したゲームのパッケージが目に入り、そのゲームのプロローグが蘇った。


 恵まれない境遇の苛立をぶつけてきた馴染みのゲーム、少しでも心の平静さを取り戻せる様に無意識の内にのめり込んでいた異世界戦国シミュレーションゲームだ。


 蓮はそのゲームのパッケージから目を離し、天井を見詰めた。


「お母さん、………ごめん。………俺はもう限界だ……」


 蓮は亡き母に呟き涙を零し、天井から吊るした電源タップの延長コードを首に掛けた。


 翌日、苛めを苦にした15歳の少年が自殺した事がニュースで流れ、ワイドショーで取り上げられるがいつもの事だ。


 世の中はあまり変わらない。高橋蓮の事もやがて忘れ去られて行くだろう………。





 大きな山脈の西に位置する小さな貧しい山国。その国も戦国の嵐の中にあった。


 その国の南部を所領とするミッキー侯爵家の当主ヨショリも下剋上を企み、天下を虎視眈々と狙っていた。


 この世界では、15歳の成人を迎える儀式で発現したスキルを確認する。


 強い戦闘のスキルを持つ者が多い程、戦力になる。それが自分の身内なら裏切られる心配も少ないので都合が良いし、息子ならなお良い。


 そのような理由から正妻、側室の他に妾を多く持つ王や領主が多いが、ヨショリ卿もその例に漏れず複数の妾を囲っていた。


 正妻の子である嫡男と側室の子である次男も戦に有用なスキルが発現した事で、次の世代は安泰。後は庶子に有用なスキルが発現し、嫡男、次男を助け家を盛り上げてくれれば言う事が無い。


 ところが、庶子である三男レンが成人の儀で発現したスキルは「コボルトテイマー」だった。


 「はあ? テイマーじゃなくて、コボルトテイマーだと!」


「ははははは、何だそりゃ」


「ゴブリンより弱くて噛み付くしか能のないコボルトしかテイム出来ないじゃないか」


 レンの成人の儀は大荒れに荒れた。


 元々庶子であるレンは離れで生活し、母と二人で生活していたが、成人の儀の前に母は死去し、本家である嫡男、次男からイジメの対象となっていたのだが………。


 コボルトテイマーのスキルが発現してからレンへのイジメは加速度的に増えた。


 今までイジメていたのは本家の家族だけだったが、家を追い出される無用なスキル持ちの者に優しくする者はいない。


 成人の儀までは嫡男、次男と一緒に剣の稽古もしていたが、レンには剣の才能が無かった。そして肉体的にも弱く運動が苦手で、頭もそれ程良くない。


 そんな庶子を庇う者はおらず、執事やメイド、果ては使用人までレンをイジメる始末。


「お母さん、………ごめん。………俺はもう限界だ……」


 斯くしてヨショリ・ミッキー侯爵の三男レン・ミッキーは首をくくるのであった。



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カクヨム様にて先行掲載中、

続きが気になる方はどうぞ。

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