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作者: 智鶴

貴方が息をするように嘘を吐くから

一層強く指を絡めて

きっと、それも嘘なのでしょうけれど

甘美な琥珀色に、貴方は檸檬をほんの少し

それだけで

随分軽薄になってしまうものね

貴方らしくもあるけれど


態とらしく一つ空いた椅子が

何もかも偽物だった言葉を彩って

傾けるグラスの意味にも気付けない

蒼い月、菫の香り

幾ら透き通っていても分からないでしょう

手を伸ばしても届かない距離

あぁ

何の意味が有ったのかしら


伸ばした指が触れたのは

溶けた氷の水滴と

貴方が残した淡い傷

夢みたいでしょう、美しいでしょう

全て許せてしまうほど


遠い記憶になってしまうのね

煙る視界の向こうで交わした全て

目を合わせずに並べた口だけの約束も

本当でも、嘘でもない

儚さ、とでも言うのでしょうか

夢見るほどに求めた筈の

貴方の肌には触れないで

杏色のライトのその下に

固く冷たい氷の音が聞こえるだけ


貴方も私も

菫の毒に冒されて

目覚めた夜明けに貴方はもう居なくて

格子窓からのぞく朝焼けを眺めては

きれい、と

独りぼんやり呟いた



これでおしまい

ただ、それだけのお話

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