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時き継幻想フララジカ 第三部 『真界編』  作者: ひなうさ
第三十九節 「神冀詩 命が生を識りて そして至る世界に感謝と祝福を」
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~希望を繋げよ超神剣~

 カプロは要望すれば何でも叶えてくれる有能な技師だった。


 例えば、初めて【翠星剣】や【クゥファーライデ】を造った時もそう。

 勇や茶奈の何気無いアイディアをしれっと受け止め、後で再現してくれて。

 魔特隊時代でも、文句を言いながらも全ての要望に応えてくれた。


 その果てには国連に頼まれて古代映像投影技術を解析して。

 しかもビーンボールの協力の下、自分なりの理論でリフジェクター開発にまで至る。

 更にはそのシステムを【精神感応物質リフジェクトライト】という形にまで発展させたという。


 では【精神感応物質リフジェクトライト】とは一体何なのか。


 実の所、これは決して生半可な代物ではない。

 何故なら、これは理論上あらゆる物理物質構造を超える特性を有しているからだ。


 半精神物質であるが故に無形、つまり自由に形を変える事が出来る。

 加えて分子結合という物理的組成が不要、命力や天力という精神強度に依存する。

 更にはそれらの力の伝導率が限り無くゼロ―――光速を超えた伝達速度を誇っている。


 すなわち【リフジェクト(RPJct)ライト(-rite)】は性質上【アーディマス】や【エテルコン】さえ凌駕するのである。

 しかも命力や天力が有る限り、自由無限に復元(R:リストア)精製(P:プリフィケイト)構築(J:ジャンクション)さえ可能としよう。


 そして何より、その特性は【創世の鍵】の構成体に限り無く近い。

 この世界における【創世の鍵】の根幹素材とも言えるだろう。


 だがこの精製技術はア・リーヴェ曰く、数百万年後に産まれるはずだった。

 そんなものを今精製出来たのは、もはや奇跡の一言でさえ片付かない。


 しかしその奇跡を、カプロはきっと今までずっと積み重ねて来たのだろう。

 誰にも気付かれないまま、それでいて確実に幾つも幾つも。

 それが今になってようやく花開いたのだ。


 ―――いや、でもきっとカプロならそれでさえこう言って片付けるに違いない。


 〝こんなの大した事ないッスよ。

   誰だってやれば積み重なるもんッスから〟と。


 カプロがどうしてここまでの奇跡を積み重ねられたのかはわからない。

 でも彼が勇と天士という存在を信じ、仲間を信じ、応えて続けて来たから今がある。

 奇跡を積み重ねられる土台と、環境と、それを受け入れてくれる人達が居たから。


 その奇跡の結晶を握り締め、勇が願う。

 星を消し去らんと迫る黒極光の柱を前にして。




 ならば今また叶えよう。

 最も応えたいとする友の願いを。




 全ては一瞬だった。


 勇の叫びに応え、【双界剣】の刃が幾つにも分かれる。

 刀芯を構築していた【リフジェクトライト】をバラバラに砕きながら。

 それも閃翠の破片ごと【創世剣】の周りをするりと回る様にして。


 するとたちまち、刃片が幾つも【創世剣】の刀身へ等間隔に並んでいく。

 【リフジェクトライト】の破片ごと、まるで巨大な刃を象るが如く。


 この時、勇も持ち手を変えていた。

 創世剣を左手に携えたまま、柄裏に刃を失った【双界剣】を突き当てていて。

 その途端、【双界剣】の鍔が動いた。

 まるで【創世剣】の刃鍔をガチリと掴み取る様にして。


 こうして柄同士が一つになった時、瞬時にして剣そのものが輝く。


 【リフジェクトライト】があっという間に大刃を形成したのだ。

 まるで人一人分はある程に巨大な光晶刃を。

 【創世剣】を中心に添え、その輝きさえ取り込むままに。


 刃に虹筋が無数に走る。

 まるで光回路を刻まんが如く。

 幾多もの閃光が弾ける中で。


 こうして出来上がった一太刀を、()()が共に掴み取ろう。


 勇が【創世剣】の柄を。

 茶奈が【双界剣】の柄を。

 互いの腰に片腕を回し、大地をしっかりと踏み締めて。


 そして二人の力が流れ込んだ時、それは生まれた。




 三人の輝きが混じり、高まり、迸る閃光の大剣が。

 双つ星界の理を、今創り改め常世とせんが為に。


 

 



 その名も【創世双界剣・レグラウドリヴァイヴァー】。

 二つ世界の希望を抱きて煌き輝く超神剣である。






「やりましょう、勇さんッ!!」

「ああ!! 絶対に、やり遂げるんだッ!!」

 

 顕現せし超神剣を今こそ強く輝かせる。

 天士と人間と魔者―――その想いを全て一つにして。


 ならば剣そのものがその想いさえも受けて巡らせよう。

 三無限の力を更に強く増幅させながら。


 その末に導くだろう。

 正しき力の使い道を。

 その圧倒的な力強さを世界へ伝えると共に。


キィィィーーーーーーンッッッ!!!


 鋭い虹閃光が刀身から迸る。

 細かい虹燐光が噴き出し場を包む。

 更には勇と茶奈、二人の力が溢れ出す程に激しく強く。


 力はもう溜まっている。

 後はもう解き放つだけだ。


 だからこそ掲げよう。

 邪神へ向けて、その力の矛先を。


 全ては、希望に満ちた世界を取り戻す為に。




 その想いと共に今、力が解き放たれた。

 極黒光柱にも負けない虹光の剣柱として。




ズオオオーーーーーーッッッ!!!!!

ドドッ!! バババァァァーーーーーーッッッ!!!!!




 そして遂に二つの光がぶつかり合う。

 希望と絶望が、明日を願う心と明日を払う心が。

 虹と黒、相反する二つの閃光筋を全域へと撒き散らしながら。


 するとたちまち、周囲へ無数の閃光雨が降り注ぐ事に。


「うおぉぉぉーーーーーーッッ!!!!」

「ハアァァァーーーーーーッッ!!!!」


 その最中、勇と茶奈に更なる変化が訪れる。

 二人の心の迸りがそれぞれの片翼として、背より大きく開かれたのだ。

 まるで閃翠の輝きから、空蒼と優紅の輝翼が生まれ出でたかの如く。


 開かれた翼はまるで瀬玲達を守っている様だった。

 それ程までに大きく、それでいて優しく包む様だったから。

 故に強大な閃光雨が落ちようとも耐えられよう。

 

「頼む勇、茶奈さん、どうか押しきってくれ……!!」


 こうなればもはやデュランとて何の役にも立ちはしない。

 故に今は光壁を抑えて仲間達と共に祈るばかりだ。

 〝己の持つ天力を全て注げられさえすれば〟という無念にも苛まれながら。




 天と崩、虹と黒。

 この二つの力のぶつかり合いは今、拮抗している。


 だがそれはまだ双方の力の加減が効いていないから。

 力のバランスがいつまでもこのままであるとは限らない。

 

 故に、純粋に強い方が勝つ。

 その力に差が生まれた時、押し込まれる方になるのは果たして―――




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