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時き継幻想フララジカ 第三部 『真界編』  作者: ひなうさ
第二十七節 「空白の年月 無念重ねて なお想い途切れず」
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~残されし者達~

 政府が正式に【救世】の起こした事件の名を【東京事変】と認定したのは、事件が起きてからおおよそ三週間後であった。

 

 事件に関わった多くの魔者達がデュゼロー達の死をきっかけに世界から消え去った中、僅かに残った魔者達は逃げ道を失い、東京に散らばる隠れ家にて息を潜めていた。

 しかしその後、警視庁は魔特隊の主導の下、【東京事変】にて逃げ遅れた魔者を逮捕、確保に成功。

 彼等は逃げられぬと観念したのか、抵抗を止めて大人しく縄に付いたのだった。

 捕まった彼等は聞かれるがままに潔く供述を始めた。


 彼等の話す【救世】のおおまかな計画はこうだ。


 1.魔特隊が南米へ出向するチャンスを見計らって貨物船から各員入国

 2.協力者の用意した隠れ家にて待機

 3.都庁を占拠し、世界へフララジカの真実とその対策方法を伝達

 4.逆説を進める魔特隊の殲滅

 5.魔特隊の主犯である藤咲勇を大衆の前で自滅させる

 6.人質及び逃走困難者が居た場合は救助、解放を行う

 7.隠れ家に退避、事態収拾後に少しづつ出国


 内容の中には【救世】らしからぬ事が含まれており、その事情を聞いた者に困惑を呼ぶ。

 彼等の語る理由としては、「みだりに殺しを行えば、それを見た聴衆は耳を貸さなくなるだろう。 敵意を乗せずに敵意を語る事が大事なのだ」と伝えられていたからなのだという。


 また、彼等が持っていた魔剣はどこから手に入れたのかという質問に対し、彼等は驚くべき答えを語った。

 彼等の持っていた魔剣は……空島【アルクルフェンの箱】にあったものだというのだ。


 彼等は勇達よりも早く空島へと上陸していた。

 勇達が初めて空島に到達した際に襲い掛かった魔者達はその残党。

 彼等雑兵は空島でフララジカを迎えたそうだ。

 そしてそこから持ち出した魔剣を使い、今回の作戦に利用したのである。


 彼等がメズリ達はぐれカラクラ族と出会ったのは偶然だとか。

 空島が『こちら側』へ転移した直後、合流を果たしたのだそう。

 それに伴い、彼等を空島へ受け入れては、捨てるはずだった空島の管理をメズリ達や残る事を選んだ仲間達に譲ったのだという。

 つまり、彼等は世界が混ざる前に空島へ到達、そこで武器を確保。

 フララジカ後にメズリ達と出会い、『こちら側』へと降り、計画を進めてきたという事だった。


 しかしそれを聴く関係者は、その後語られる事に更なる驚きを呼ぶ事となる。


 どうやら最初のフララジカが起きた時、『あちら側』にも『こちら側』と同様の事が起きていたらしいというのだ。

 『あちら側』に『こちら側』の人間が出現したという事である。

 転移の際に消えた人々は恐らく、『あちら側』へ転移したのだろう……この五年間で起きた事と同様な形で。

 だがそれはきっかけに過ぎない。




 全てはデュゼローが予知し、進めてきた計画だったのだと、最後に彼等は口にした。




 『あちら側』の強者である魔烈王ギューゼルやレヴィトーンといった者達が揃っていたのが何よりもの証拠と言えるだろう。

 強者とは得てして自分の持つ信念を早々曲げる事は無い……説得するのにはいささか時間が掛かるものだ。




 これらの事実を前に、傍聴していた誰しもが驚愕を避けられなかったのは言うまでもない。






 その後、彼等は供述した事が評価されて重罪を課せられる事は無かった。

 元よりその計画に強い犯罪性は無く、彼等自身ももはや戦う意思を見せる事は無い。

 そこから判断しての司法の決断であった。


 彼等に課せられたのは、争ってはいけないという事。

 その審判を受けた彼等は潔く受け入れ、国の発展に力を貸すと誓った。


 それが以降、渋谷の街の再開拓のキッカケになるのだが……それはまた別の話である。




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