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02 視聴率凄い


放課後。


小学生の時から、今日まで、何回の放課後を過ごしたのだろう。放課後。アホの小宮が春樹にカンチョーして、走り回っている。走りながら、私のことをチラっと見てくる。絶対アイツ、私のこと、まだ好きだと思う。これはタブー。小学校の時の話だもん。


放課後。


ミキとサナエと、机の上に座って、くだらない会話をする。


「昨日のワンナイ見た?」

「ゴリエでしょ?」

「ウケるよね」

「ウチの兄貴が言ってたんだけど・・・」

「なに?」

「アイコのお父さんってゴリエに似てるらしいよ?」

「マジ?てか、アイコもちょっとゴリエじゃない?」

「アイコの家って酒屋だよね?」

「見に行く?」

「橋越えたとこだよね?」

「いくひとー!」


私とミキとサナエの手が挙がる。直ぐに鞄を片方の肩だけにかけて、教室を出る。別にアイコなんてどうでもいい。ちょっと気になるけど、私には関わりが無いし、人を馬鹿にしちゃいけないって、パパも言ってた。

でも、ミキがそうやって楽しそうにするから、私もそのノリに答えてみる。私が求めるのはもっと大人な事。でもいい。ミキやサナエとの放課後が好き。何回めの放課後も好き。きっと私たちでコント番組やったら、視聴率凄いと思う。ついでに、下駄箱でエナメルバッグを担いでソックスを履く中田先輩が好き。これは内緒。


私たちは玄関を抜ける。部活までの時間は1時間ある。暇。退屈。私たちバド部と卓球部は同じホールで部活するから、時間で分けられている。増やして欲しい。でも、暇な時間があるから、放課後が楽しい。


校門を抜けて、コンビニを通り過ぎ、在来線を跨ぐ大きな橋を抜ける。大きな橋だ。歩いて渡りきるには5分はかかる。ミキとサナエと無駄な話をしながら、渡りきる。そして、しばらくまた歩いて、アイコが住んでる集合住宅の1階部分にある酒屋に到着する。


お店には入れないから、遠くから、ガラスを通してレジを覗く。


「ゴリエっぽくない」

「ウソじゃん」

「学校戻ろうよ」

「がっかり」

「期待はずれ」


バツの悪そうなミキ。でも、これでも話しながらちょっとお散歩できたし、良いよね?退屈な1日のちょっとした刺激。私たちは来た道を戻る。無駄な話をしながら。


橋を渡って学校に戻る時、すれ違う。

あれはクラスメートの、バナナ。確か机の上にバナナって彫られてたからそのアダ名がついたらしい。謎めいてるやつ。意味分かんないし、ま、関わりもないと思う。


すれ違って、ちょっと振り向く。

「あれ、バナナでしょ」

「バナナってウケるよね」

「というか、謎」



・・・イヤホン付けてた。



何聴いてたんだろ。ちょっとだけ気になった。気になっただけ。


気になるだけ、ダルい。


あっ、ダルいは禁止ワード。



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