ネコネコストーリー5
そして、僕達は神殿の外へ向かった。
外に行くと、そこには・・・・・・魔法のじゅうたんが用意されていた。
すると、その時だった。
魔法のじゅうたんの場所へ向かって歩いていく僕達のところに、きれいな黒い髪と黒い瞳をした女の子が走ってきた。彼女もなぜか、白い猫耳としっぽがついている。
「お姉さまー、忘れものですよー」
「あれ!?君はどこから来たのかな?」と僕は言った。
「あ、さっきの白い猫ですよ。私も女の子の姿になってみました。どうです?可愛いですか?」と彼女は言った。
「驚いたよ。君も女の子の姿になることができるのか」と僕は言った。
「・・・・えーと、武器を忘れたかな。
んーと・・・・そんなのいるのか?」とノエルドが言った。
「ほら、お姉さまのロングブレードナイフですよ。
とりあえず、持ってきましたからね」と猫の女の子が言った。
「うむ・・・・じゃぁ、行ってくるよ」とノエルドが言った。
その後、僕達は魔法のじゅうたんに乗り、空を飛び始めた。
「驚きましたよ。なんですか?この乗り物。本当に空を飛べるのですね」と僕は言った。
「・・・・あの有名な物語みたいだろ。
うむ、夢を見ることは無駄じゃないのだよ・・・・・・。
ニャフフフフ・・・・夢は必ず叶うのだよ。」と彼女が言った。
しばらくすると、僕達のじゅうたんは雲の海を抜けた。
そして、下には大砂漠の景色が見えるようになった。数百メートル下では一本の道路があり、車が走っているのが見えた。
「私はオリエントと星の教えを守り続ける義務がある。本当は、女神の化身がこんな特殊任務をしちゃいけないんだけどね。」
さらに僕達は魔法のじゅうたんで飛び続けた。
そして、今度は遠くのほうに高層ビルが建ち並ぶ街の景色が見えるようになった。
すると、その時だった。
彼女は星形のペンダントをポケットから取り出すと、手を伸ばし、それを時計の振り子のように前にかざした。
「メギストの書物を使おうとしている輩がいるのは、この辺みたいだな。よし、ここで降りようか・・・・」とノエルドが言った。
その後、魔法のじゅうたんはみるみるスピードが落ちていった。
そして、空中でピタリと止まった。
魔法のじゅうたんが止まると、今度はそれが垂直に降下して、ゆっくりと地上に着陸した。
◇◆◇◆
魔法のじゅうたんが着陸した後のことだった。
僕は、気がつかなかったのだ。
僕は、その時おかしいなと思った。
さっきまで砂漠には誰かの気配なんて感じなかったのに、気がつくと僕のうしろには漆黒の衣装を着たイスラム風の女性と、びっくりするほど大きなドラゴンがいたのだ。
そして、女性は秘密クラブで使われてそうな白い仮面を顔につけていたのだ。
「今、存在するこの世界を壊しましょう。
そしてね、誰も傷つかない世界に行くのです。
あなたはなぜ戦っているのかな?
その必要はないのです。
さぁ、すべてを認めて自由になるのです」
白い不気味な仮面をつけた彼女はそう言うと、衣装の中からコンバットナイフをすばやくとりだした。
すると数秒後、彼女のナイフは手を離れて浮かんだのだ。
「エヘヘへ、今度こそゲーム終了だよ」
と不気味な仮面の女性が言った。
そして、驚いたことに次の瞬間ナイフがヒュンッという音をたててノエルドに向かって勢いよく飛んでいった。
「・・・・・」
その時ノエルドは無言だった。
しかし、ナイフが飛んできたのだ。
次にノエルドもすばやくロングブレードナイフをとりだした。
ギィィィィンッ‼
彼女は飛んできたナイフをこちらの剣で受けとめてはじいた。
相手のナイフはくるくると回って地面に落ちた。だが、落ちたナイフは再び空中に浮かんだ
のだった。
そしてナイフはゆっくりとノエルドに向かった。
ギィィィィン、ギンッ、ギンッ、ギンッ、ガギィィンッ‼
彼女は空中に浮かんだナイフと剣さばきを繰り返した・・・・。
そして、およそ15分ほど後のことだった。彼女は空飛ぶナイフをもう一度はじいた。
ギィィンッ‼
ナイフはもう一度地面に落ちて突き刺さった。
二度も地面に落ちたナイフは、今度はまるで封印されたかのように動かなかった。
「・・・・なるほどねぇ」と不気味な仮面の女性が言った。
その直後だった。
仮面の女性の後ろから、たくさんのナイフがまっすぐに飛んできた。
しかし、ナイフはノエルドのすぐ前まで来て、はじかれて地面に落ちてしまった。
それはまるで、見えない壁にナイフが当たって落ちたような光景だった。
「・・・・ウフフフ、このへんで失礼するよ。じゃぁね、猫の女神ノエルド」しばらくすると、不気味な仮面の女性が言った。そして、彼女とドラゴンは立ち去ろうとした。
「・・・・ちょっと待て。お前、メギストの書物を持っているだろ?」とノエルドが言った。
「・・・・持ってるけど。だからなんだっていうのよ。
あなたの持っている魔導書なんかより全然いいわ。
この書物のおかげで見たことがない魔術だって使えるのよ」
「それは危険な正体不明の書物だぞ。お前達の扱える書物じゃないぞ。
そのような書物のせいで、古代の文明は何度も滅んでいる。そして、お前達みたいな欲の深い者達が勝手に使っちゃいけないよ」
「・・・・・・・ウフフフフフフ。じゃぁね、また会いましょう」 と不気味な仮面の女性が言った。
その直後のことだった。
天からいきなり大きな黒い布が降ってきたのだ。
布は仮面の女性の上に落ちた。
そして、落ちてきた黒い布をかぶった彼女は、しばらく布の中でもぞもぞ動いていたが、なんと驚いたことに布の中で消えてしまった。
僕はまるで完璧なマジックショーを見ている気分だった。
となりにいたドラゴンも仮面の女性がいなくなると、立ち去ってしまった。
「ありゃ、逃がしちゃったよ。
うーむ・・・・あいつも書物の悪魔にとりつかれて心を操られているみたいだよ。
書物の悪魔にとりつかれてしまうと、相手と競争することばかり考えるようになってしまうよ。
そして、闇の力が増えていくのだよ」とノエルドが言った。