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16話



ただいま、地上。

おかえり僕。

地面に足をつけ、踏みしめ、安堵。


「あらぁ、おかえりなさい。ラウ二と空中散歩はどうでしたかぁ?」


ルヴィさんは優雅にティーカップでお茶を飲みながら話しかけてくる。


「めっちゃ楽しかったですよ!ドラゴンに会えるだけじゃなくて、背中に乗って空を飛べるだなんて…念願の夢が一個叶いまいました!」


ピョンピョン跳ねながら興奮冷めやらぬちーちゃん。


「「お空、飛ぶ、楽しい。」」


スイとスニもどうやら気に入った模様。今度からは僕を除いて行ってくれ、僕は留守番しておくから。


「ねえねえ!ラウ二さん、一緒に旅しません?そしたらいつでもお空飛べるし、なによりドラゴンさんと一緒にキャッキャッしたいんですけど!」


はい、ちーちゃんの無茶振りです。


「そうじゃのぅ……わらわも楽しそうな話に乗っかりたいところじゃが、ここを離れるわけにはいかんのでのぅ。」


ここら辺一帯を治めるドラゴン様なので、そうでしょう。


「そうか……ドラゴンさんはぜひ仲間になって欲しかったんだけど……。」

「千景よ、そないにドラゴンと共に行きたいかえ?わらわでなくともかまわんのかえ?」

「そりゃ、もちろんラウニさんだとなお良しですけど……。」


無類のドラゴン好きなので、一緒に行動できるなんてとてつもなく魅力的だろう。

僕はどちらでもいいのだが。


「わらわは共に行けぬが、ちょうど好奇心旺盛でこの地以外を見に行きたいという奴がおる。そやつに話をつけてみよう。」


ドラゴンにも好奇心旺盛というタイプがいるんだな。ちーちゃんの読んでいた本に出てくるドラゴンはどちらかというと一塊で生活しているタイプが多くて縄張りからは基本出ません、っていうものかと思ったがそういうものではないのかもしれない。

思い返せば、日本のライトノベルってやたらドラゴン出てきたな。日本人はドラゴン大好きなのか。


なんて一人で思っていたら、ラウ二とラウ二の半分くらいの大きさで濃い青の外皮をしていたドラゴンが目の前に現れた。


「えっと、パロフラウといいます。まだ、三十年しか生きてない若い雄のドラゴンなのですが、一緒に旅をしていただけるというのは本当ですか?」


ラウ二のような個性的な喋り方ではない。若いと言っても立派なドラゴン。


「やーん、黒も素敵だけど青も素敵!パロフラウくん、言い難いからパロくんでいいかなー?」


断りもなくぺたぺたとパロフラウの体を触りまくるちーちゃん+スライム二人。


「こやつは若いが力はある故、人化も出来る。一緒に旅するには都合良かろう。」


おっと、人化出来るなんて都合よくいたもんだな。確かにヴァイデン大陸以外に行くにはドラゴンの姿では問題がある。

ちーちゃんの存在のせいなのか、こっちに来てからというもの都合よく進む。これが、散々ちーちゃんから聞かされた「ご都合主義」というやつか…。


パロフラウは旅の準備をするという事で、翌日ミシェリアの家で落ち合うことにした。

渋るちーちゃんを説得し、僕達もミシェリアの家に戻る。

「もう一回ラウ二さんに乗って飛びたかったのに!ぽんくんのいじわる!」

「そんな事言われても…明日からはパロフラウも一緒なんだからいいじゃないか。」


ミシェリアの家に戻る道中(転移魔法でちょちょいのちょいなのだが)、もっとラウ二といたかったと小言をひたすら聞かされるハメになった。


「はぁい、到着。たっだいまー、ママが帰ってきましたよぉ。」

「おかえりなさい。ママ、苦しい…。」


出迎えたミシェリアを抱きしめるルヴィさん。豊満なお胸で娘を窒息死させるつもりか。


「ミシェちゃんただいま、私もぎゅーしたい!」


可愛い女の子に目がないちーちゃん。しかし、ふと思ったんだが魔王さんの子なのに名前が聖属性っぽいな。

僕がやってたゲームにもいたけど、天使キャラだったし聖女とかそういう雰囲気あるなと思うのは僕だけだろうか。


「ミシェちゃん、天使っぽいよね。魔王さんの子なのに名前も見た目も天使っぽい。」


どうやらちーちゃんも思っていたようだ。


「ふふふ、ダーリンがね、ミシェリアが生まれた時にまるで天使だって名付けたのよ。」


なるほど、男親から見たら娘は魔王さんの子でも天使だということか。

ああ、そういえば、僕の可愛い可愛い天使ちゃんとか言ってたな。魔王さん、どう見ても親バカっぽかった。目に入れても痛くないって感じが溢れ出ていた。


「どこかの大陸の国に同じ名前の聖女がいるって聞いた時はもっと魔族っぽい名前が良かったって思ったけれど、そもそも魔族っぽい名前ってどんな名前よって考えに行き着いたわ。」


名前一つで人生が決まるわけじゃないわ、とミシェリア本人はさほど気にしてないようだ。

そんなミシェリアに明日ドラゴンのパロフラウがやって来ることを伝えると、目を見開いて驚いた。


「ドラゴンまで旅の仲間になったんですか!?しかも、ラウ二様の背に乗って空を…。ちーさんは私の予想外のところを常に走ってますわ!」



そんな訳で異世界に来て二日目、ドラゴンの旅仲間が出来ました。



やっとドラゴンを仲間にしました!

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