日常(1)
エルラさんが特使として、一緒に暮らすようになって一週間が過ぎた。
最初は凄かった。僕の家(霊樹)を見たエルラさんは、まるで神様
を崇めるが如く何度も霊樹に頭を下げていた。
その後、エルラさんが普通に生活出来るまでには数日かかった。
数日前リアスさんが来た時は、喧嘩もしていた。
魔法を使っての喧嘩になりそうだったが・・
「まだやります?」
というトリティアの笑顔の発言に、二人は喧嘩をやめた。
それから二人はトリティアを見る度にビクついている。
余程トリティアの笑顔が怖かったんだね・・
エルラさんに至っては、トリティアが近づいて来ると無言で僕の隣にベッタリ
張り付いてくる。
それを見たリアスさんも
「ハァ・・ハァ・・私も!」
と危険な顔で呟きながら僕に近寄って来て
「邪魔ですよ変態さん」
とトリティアが言いながら自分のツタを使って変態認定したリアスさんを
捕縛した。リアスさんはこうして封印された。
「ハァ・・ハァ・・あっそうだ。朗児さん達は
他のエルフの里には行かないのですか?」
封印されし変態美人エルフのリアスさんが思い出したかのように呟いた。
良かった元のリアスさんに戻った。
トリティアももう大丈夫かなと判断してリアスさんを解放する。
「今のところは、考えてはいないよ。来ても良いと言われて無いしね」
そう。水のエルフの里を訪れたのは、リアスさんと交流をした結果で招待
されたからだ。他のエルフの里との交流は皆無だ。
だと言うのに、不可侵を破ってまで訪ねる訳にはいかない。
そのためのエルラさんという特使だが、他の里のエルフがどう思っているのか
分からない間はなるべく接触は控える方向で僕は考えている。
このままエルラさんを通して遊びに行けば、形だけでも歓迎して迎え入れて
くれるだろう。
だがそれは、僕を恐れているから言う事を聞いているだけだ。
本当に友好的な関係を結びたいなら相手側が何を考えているかを知ってから
行動した方が良いと僕は思う。
なにせエルフ側は、僕を化物や怪物だと思っているのだから。
自分の住居に、そんなのが訪ねて来たら僕なら会わないし中には入れない。
そんな説明をするとリアスさんは・・
「じゃあ、各族長とだけ会って話をしてみますか?」
と聞いてくる。そんな簡単に出来るの?
「はい。私の里に他の里の族長を呼ぶのでその席に私の招待者として同席すれ
ば会えると思いますよ。他の里にも、もう私が貴方と交流を持っているのは
知られていますから」
成程。・・今まで忘れてたが
「「「「「リアスさんは族長でしたねそう言えば」」」」」
僕とトリティア達とエルラさんが同時にそんなことを呟いた。
リアスさんは心底心外そうな態度をして
「忘れていたんですか?少しショックです」
自分の役職を忘れられていたリアスはショックで暫く固まっていた。
そして・・
「私は・・族長・・出来る美人。ここでそれを証明してみせる!」
と決意の叫びを上げてダッシュで帰っていった。
再び水のエルフの里に行くことになりそうだな。
続く