表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神樹の魔地が主  作者: 冬森レイ
霊樹の森の支配者
16/25

閑話:あるエルフ家族の喧嘩

ハレイドお爺ちゃんはプンプンッ


  水のエルフの里に朗児が、招かれた日の翌日の夜のこと


  ハイ・エルフ族の族長宅では、族長のハレイドと娘のエリラが親子喧嘩を

 していた。


  喧嘩の原因は、エリラが朗児と接触して案内役として水のエルフの里に

 一緒に行ったことが喧嘩の原因だった。


  そして、最もハレイドが怒っているのは朗児とエリラが恋人っぽい関係に

 なっていたことだ。これに関しては、水のエルフの里のエルフ達が大勢見て

 いてしまったので更に問題は大きくなったと言っていい。


「何故、相談なしであの地の主と接触したのだ!そもそも不可侵条約を守るべ

 き族長の一族の者が何で積極的に交流をしているのだ!」


  父のハレイドが、これまでに出したこともない様な剣幕でエリラに怒鳴り

 ちらすが、エリラも退かなかった。


「相談しなかったのは、悪かったと思ってます。ですが彼はちゃんと話が出来

 る人でした。何故そんなに怒るのです?」


  そう・・話せたし、ちゃんと優しさも持っていた。


  なのにどうしてお父様は最初から彼を敵対視しているのでしょう?

 それこそ、不可侵協定を結んだ相手への怒り方ではありません。


「あの地の主は、化物で・・そして人間だ!」


  成程。お父様が若かった頃は、まだ人間と激しく争っていた時期でしたね。

 おそらく、お父様にとって彼が人間だから信用出来ないのでしょう。


  人間は嫌い。でも彼は化物で追い出せない。なので不可侵条約を結んで

 なるべく関わらないように生活していこうというのがお父様のお考えでしょう。


「お父様にとって、彼は〝人間〟で化物だから関わりたく無いのですよね」


  それを、エリラに言われたハレイドは自分の思いと考えがもう古いものだと

 思い知らされた。


(人間を恨んでいる自分の思考では、あの地の主とは関わっていくには最初から

 無理があったと言うことか・・気付くのが遅すぎたな)


  中立的な不可侵などと言い連ねて、結局のところは人間と関わりたくなかった

 だけと言う話だな・・今頃そこに気付くとは我ながら情けない。


  おそらく、自分では友好的な関係を築くのはこのままでは一生不可能だと気付

 いたハレイドは自分の娘をジッと見つめた。


  恨みの記憶が無く、これからの時代を築ける我が娘に好きに行動させるのも・・


「それも・・良いかもしれないな。これからの事を考えても友好的関係を築いた

 エルフが数人いても得こそあれ損は無いな」


  そう呟きながら、娘にある仕事を任せる事にした彼はそれを娘に伝えた。


「外交特使ですか?」


  何ですかソレと言いたそうな娘の顔が見える。

 もう少し、説明した方がいいか。


「彼は人間で、しかも化物だ。これに恐怖心や私のように恨みを抱くエルフは

 あの土地の主を歓迎出来ないだろう。つまり・・年配者は人間を嫌いすぎて

 いて友好的関係は到底築けない」


  エリラはウンウンと頷く。まさにそれが、理由で父が怒ったのだから否定

 のしようが無い。


「だが、今後なにが起こるか分からないので若い世代のエルフは友好的な関係を

 魔地の主と築く方が今後のためになる」


  ここでもエリラは頷く。自分を含め若い世代のエルフには人間への恨みは無い

 ので彼と関わってもなんら問題は起こらないと思われるからだ。


「そこで、我が里が代表して特別な使者を友好関係を築くために派遣する」


(成程。良い手ですお父様。ごく数人の使者なら、問題も限りなく起こらない

 ので確実に友好関係を築ける)


  ん・・あれ?私がその使者?


「お前は、あの魔地の主と仲が良いんだろ?少なくとも手を繋ぐ位にはな」


  それは・・演技で・・え・・何で知ってるの?


  まさか・・


「リアスから全て聞いた。駆け落ちした関係だそうだな?」


  リアスさん・・密告者は貴女ですか・・ハァ~


  ここまで知られてしまっているなら仕方ないですね・・


「わかりました。そのお仕事をお引き受けします」


  お父様は、何時もの鉄仮面を崩し少し笑顔で


「孫は以外と早く見れ・・人間とエルフでは子供は出来んか残念だな」


  そう言って、また何時もの鉄仮面に戻る。


(別に・・好きじゃ・・スキじゃ・・あれ?)


  私・・もしかして本気であの人のこと?


  ・・どうしましょう?


  ・・とりあえず・・とりあえず


(とりあえず使者の仕事のことを考えましょう・・今は)


 続く


 

歳の差が600歳ある親子って難しい関係だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ