水のエルフの里への移動中
エリラの案内で水のエルフの里に向かいます。
今回、水のエルフの里へ行くにあたり僕が用意したのは主に3つ
まず1つ目は、霊樹の実が入った籠と霊樹の水が入った水筒。
次に、武器の木製短剣。(護身用)
最後に、魔力封じの腕輪(霊樹製)
魔力封じの腕輪は、自分自身が放出する魔力を抑える効果がある。
これがあれば、エルフ達とも普通に会話が出来る。
他の人の都市に行く時にも、使えるなコレ。
作り方も、造形魔法の応用で作れるものだし楽だった。
ただ、魔力封じの腕輪は本人の魔力から作らなければ意味が無いのでコレは僕
のみに有効活用できるアイテムと言える。
さて、今回エルフの里に行くメンバーはトリティアとナナルが一緒に行くこと
となった。ウォッタムは留守番だ。
トリティアの装備は、何時もの白く長いドレスに麦わら帽子。それと賢者が
持ってそうな木製の魔法の杖を片手に持っている。
(強そうだな何時もにも増して・・)
ナナルはいつも道理にメイド服にリボルバーを2丁装備している。
(メイドにリボルバーは合わなかったかな?そして明らかに世界観に合わん!)
こんな三人+案内人で水のエルフの里に行きます。
入り口を通り、外に出ると近くの木の切り株に座っている金髪エルフ美女
が居た。
(あれって、あの交渉の時に居た人だ)
とりあえず近づいて行く。彼女も立ち上がりこちらに歩み寄って来る。
(身長は168cmくらいかな・・僕より少し大きいや・・そして優しそう)
「私は、ハイ・エルフ族のエルエーラ。気軽にエルラって呼んで」
少し微笑みながら、彼女は自己紹介してくる。
「僕は 木古枝 朗児 気軽に朗児と呼んでくれ」
僕も自己紹介をする。次いで後ろに居た二人も自己紹介をした。
「それじゃ行きましょうかロウジ」
漢字が存在しない世界で、漢字を使った名前を呼ばれるとカナ読みで呼ばれ
ている感じに聞こえるな。
トリティア達精霊に名前を呼ばれても、そんな気はしないのにな。
エルラは移動開始と共にローブのフードを深く被った。
まるで、自分の存在を隠そうとしている行動だな。
そう言えば・・
「不可侵条約を結んでる僕に、接触して案内役なんてしてるけど良いの?」
このエルフさんは、あの条約成立時にも居たんだから進んで条約を守る側の
エルフなはずだ。それが、自分から案内役を申し出る?可笑しな話だな。
「その・・好奇心に勝てず接触したの。水のエルフ族族長もグルだけどお父様
に知られたら・・(ブルブル)」
よほどこの人の父親は怖いらしい。最後には、寒気で震えていたしな。
「貴女の父親とは?」
おそらく、あの条約成立の場に居た金髪のエルフだと思うがいちよう確認は
しておこう。
「あの条約成立の場にいた私と同じ金髪金眼のエルフだ。
名をハレイドと言う」
確かに、あの人は怒ると怖いタイプの人だな。
遠目にも、眉間にシワがよってる怖いイケメンって感じの人だった。
これは・・触れないほうが良いな。
「水のエルフ族族長とは、親しいのですか?」
話を変えよう。水のエルフ族について聞いておこうとりあえず
「昔少しだけ魔法を習ったことがある。姉妹のように接してるから仲は良い方
だと思う。あとタメ口で良いよ?歳もそんなに違わなそうだしね」
エルフが見た目と一致した年齢で無いことは、トリティアから聞いている
のでこの目の前の美女もそうだと思うが何か勘違いされても困るので言って
おこう。
「貴女の年齢は知りませんが、僕は19歳ですよ」
そう言うと彼女は歩く足を止めて此方に振り返ってくる。
フードで見えないが、おそらく驚愕した顔をしていると思う。
「嘘・・私より凄く年下なのね・・仙人か何かだと思ってた。普通の人間なんだ
本当に・・人間でその魔力は反則過ぎるよ」
彼女は、心底驚いて僕が人間であることを疑った。
「最近会う人全員に、同じ反応をされるけど・・種族で言えばキチンと人間ですよ」
その言葉を聞き彼女は、少し考えてから何かに気付いて質問してくる。
「凄く変なこと聞くけど君・・女性経験は?」
本当に変なこと聞きますね。何でそんなこと聞くんだろ?
「無いですが・・それが何か?」
彼女は少し慌てて何かを考え込む。それよりも後ろの二人がこれに反応した。
「「無いって・・童貞だったのですか?」」
悪いかよ!てか精霊にそれツッコまれるって何かシュールだな。
精霊の美女と美少女にそれをツッコまれるとちょっとヘコむな。
「逆に聞くけど二人は、男性経験あるの?」
二人は顔を一度見合わせてから、僕の方に話しかけてきた。
「「精霊にはそういう行為が存在しないので、ありません」」
でしょうね・・思った通りだったよ。いや、思った通りで良かったと言う
べきか。一緒に暮らす美しい精霊がここで元気に
「「男性経験あります!」」
なんて二人して言ってきたら、僕と彼女達の関係が少し変わることになって
たかもしれないしね。ある意味で良かったよ。
トリティアは、そんなことを考えている僕に言葉を付け足した。
「私は、ごく最近まで下級精霊でしたからね・・その主様さえよかったら
今度私と一緒にね・・」
トリティアが全部言い終わる前に、僕はエルラに肩を掴まれて彼女の方に
無理矢理方向を変えられる。
そして・・
「安心して・・君の貞操は私が守るから!」
と覚悟を決めたことみたいに言ってくる。
「は?何から?」
僕の貞操は、誰かに狙われているの?え・・何で?
彼女の説明をその後聞き、水のエルフ族族長が霊樹の実の中毒症状で性的に
興奮状態にあり僕を性的に襲う計画が存在すると聞かされた。
「僕行ったら不味いかな」
一瞬、美人な水エルフ族族長の姿が脳裏に蘇り少し良いかもと思ってしまった
だが、やっぱり襲われるのは嫌だな。
どうしよう?
「私達が付いているので、その水エルフの女狐には主様に指一本触れさせません」
トリティアが、珍しく本気でやる気を出して言った。
そうだね、こっちには精霊王が居るもんね。
「頼りにしてるよトリティア」
トリティアは、微笑みながら頷いた。
ナナルも打開策があると言う。それは・・
「エリラさんと偽恋人になれば良いんですよ」
と言う策だった。
「「はっ?」」
僕とエリラさんが、初めて二人で意見を合わせてハモった。
「二人が恋仲という設定なら水のエルフ族族長も手が出せないはずです」
聞きながら僕は、「確かに」と言いながら何度か頷く。
だが、エリラさんの反応は予想外のものだった。
「その・・おそらく私もまたあっちに着けば霊樹の実を食べることになる
のでその・・役に立てないというか・・襲う相手が変わるだけだと思う」
どういうことそれ、僕達は彼女にもっと詳しい説明をお願いした。
彼女の説明によると、
昨日彼女も水のエルフ族の里で、霊樹の実を族長に食べさせられて
しまい彼女にも中毒症状が出かけたそうだ。
もっと霊樹の実が欲しければ、このことを秘密にして僕を自分の下に
連れて来いと言われたそうだ。
しかし、少ししか食べなかった彼女には中毒症状が発生しなかった。
そこで、彼女はとりあえず僕を水エルフの集落まで案内したらすぐ
帰る方向で今日はここに来たらしい。
だが、僕が童貞だと知りそれをあの狂った族長には渡せないと先ほど
考えを改めたそうだ。
(霊樹の実は一種の媚薬か何かだな)
さて、どうする?行かないか?
でも行きたくもあるし・・
そして、エルラさんも泣きそうな目でこっちを見てくるし・・(可愛い)
よし!決めた。
「エルラさんには、案内だけしてもらって帰ってもらおう。何かあったら
僕とトリティア達で対応しよう」
トリティアとナナルは頷き承諾する。
だが、エルラは・・
「・・それください」
と言って、僕の背中の籠に入っていた霊樹の実を取って食べた。
ちょっマズいってそれは・・
彼女は霊樹の実を食べてから、まるで酒に酔ったみたいに顔を真っ赤にして
「ちゅき・・だいちゅき」
と言って僕に抱き着きキスしてくる。
は~?何・・な・・に?
僕は、何が何だか分からないまま彼女と熱いキスをしたのだった。
続く
エリラが仲間になった?