仙人が訪ねて来た。
仙人の登場。
エルフとの不可侵条約から一週間が経過した。
彼らは、不可侵条約を守ってこの土地への干渉はあれ以来
めっきりと無くなった。時々遠くから此方を見ているような
視線は、感じるけども直接的な干渉は無くなったと言っていいだろう。
ただ、時々水色に近い青髪の女性エルフが入り口付近に籠に入った魚や作物を
置いていく。
とりあえず、貰っておこう。
貰ってばかりも悪いので、その籠に霊樹の実を入れて再び入り口付近に放置
しておいた。
その翌日の朝に来た彼女は、籠の中を見て驚いて二度見していたのを高台から
僕は見ていた。その翌日にも、彼女は来ていつもと同じ様に魚や作物が入った籠
をおいていく。だが、今回は中に手紙の様な物も混ざっていた。
その手紙には、霊樹の実をくれたことへのお礼が書いていた。
そんな感じでのやり取りを繰り返しながら、水のエルフ族とは交流?を続けて
いた。
ある日のお昼ごろ
ウォッタムが僕を呼んで近づいて来た。僕はまた何かあったのかなと思った。
だが、今回はエルフ関連では無いようだ。
「また、入り口に人が来ています。ローブを着ていて分かりにくいですが
おそらくは、仙人だと思われます」
仙人?何それ、普通の人とどう違うんだろう
僕は仙人の詳しい説明をウォッタムに求めた。
「魔力が高い人間が稀に100年以上生きることがありますが、そういう者達
を総称して仙人と言います」
え・・その説明だと、僕も仙人に入るんじゃないか?
とりあえずまた高台から見てみよう。
高台に行くと、もう皆来ていた。前と同じだな・・
ん・・あの仙人こっち見てるな
あそこから見えるのかな?口パクで何か言って・・
『ちょっと尋ねたいのだが・・』
え・・何今の?あそこから声を魔法で伝えたのか?
魔力の感じだと危険でもなさそうだから会ってみようかな
僕は、入り口の根をトリティアに除けてもらい仙人に会った。
入り口を境界線に僕達は見合う。
「ほう・・これ程に強大な魔力の持ち主に会ったのは初めてだ」
凄いなこの仙人・・僕を見ても立って会話をしてるよ
つまり、この人もそれなりに強いのかな?
「そこまで、怪しまずとも・・そうだ、儂はローウェンという
いちよう仙人で200年近く生きておる」
200年生きる仙人か・・お爺ちゃんだな
顔はローブで見えないがシワシワなのかな?
「僕は、朗児。この地の主をしてる。何か用かな?」
僕が名乗ると、ローウェン仙人はフムと言いながら用件を話だした。
「用件は、ちょっと尋ねただけじゃ。この森を通り過ぎようとしたら
巨大な魔力をこの地より感じたのでな。確かめに来たのじゃ」
成程。好奇心で調べに来たのか。
「そうなんだ。最近ここに住み始めたから知らないのも無理は無いね」
仙人は僕に手を差し出し何か紙の様な物を渡してくる。
紙はこの霊樹の森一体の地図だった。
「それをやろう。儂が今住んでいるのは、そのドワーフの集落じゃ」
そう言って地図の端に近い場所を指してくる。
何かあったら訪ねて来いと言い残し、ローウェンは去っていった。
地図をゲットした。
「へ~こうなってるんだこの森って・・エルフの集落も載ってる」
エルフか?そういえば・・
朗児はガサゴソとポケットを漁り一枚の折りたたまれた手紙を出した。
その手紙の内容は一言で言うなら・・
『遊びに来ませんか?』
というような招待状だった。
水のエルフ族と交流を続けていて、そこそこの友好関係を築いた結果だ。
来ませんかと言われても、僕はここから出たことが無いので出来れば案内
が欲しいところだな・・思い切って手紙に書いてみるかな?
その時、僕の横の霊樹の根に矢が飛んできてストンッと刺さった。
僕は、その矢に紙が付いていたことに気付いた。
紙には字が書いてあり、読んでみた内容はこんな感じのことが書かれていた。
『案内してあげようか?もし案内させてくれるのなら、明日の朝に入り口で待って
いるから・・』
だそうだ。丁度良いので案内してもらおう。
にしても、誰がこの矢を撃ったんだろう?まるで人影は見えないけど
とりあえず明日に備えて準備しよう。
矢の発射元では・・
「名前書き忘れた・・」
金髪金眼の美少女エルフがそんな呟きをしていた。
続く
仙人の強さは、ウォッタムと同等くらいです。