陰陰鬱鬱、我が人生に価値は無い
……本当は、分かっていた。
どうせ好かれてはいないだろうって、分かっていた。
でも、もしかしたらって思ってて、それが為に……今日、振られた。
今になって思うのは、告白なんてしなけりゃ良かったという後悔の念。
これでもう、友達ですらいられなくなった。
悲しい、寂しい、辛い、苦しい、嫌だ、何で、止めて、嫌わないで……様々な感情が精神を侵し、狂わせ、堪えきれずに涙が零れる。
気持ちを切り替えるなんて、出来る訳が無い。
忘れるなんて、出来る筈がない。
時間は元には戻らないし、一度壊れた関係は元には戻らないし、これでひとりぼっちになってしまった事実も変わらない。
誰もいない一人きりの部屋で、声を押し殺して泣く。
側にいて慰めてくれる存在なんている筈が無いし、泣いたところですっきりする訳でもなく、むしろ落ち込んでいく。沈んでいく。
楽しかった過去を思い出し、懐かしい過去を思い出し、気分は更に沈んでいく。
嫌い、憎い、なんて逆恨みする気にはなれない。まだ好きだから。まだ、愛しているから。
だから……だから?何をすれば良いんだろう?何を考えれば良いんだろう?何を?何を?何が?
次第に思考力が鈍っていき、何も考えられなくなる。
近くの存在を知覚出来ず、認識出来ず、何が何だか分からなくなる。
白痴化、精神の防衛機能……よく分からない言葉が頭を過り、次第に全てが歪み、混ざり、溶けていくような気分になってくる。誰が?誰って何?何?なにって?
「……ああ、そうか」
そこまできて、良い考えが浮かんだ。思考がクリアになってくる。
思考力が戻っていき、目の前のものが机だと認識出来るようになった。周りのものも、次第に理解出来ていく。
「……死んでしまえば良いんだ」
答えに行き着き、早速行動に移していく。目指すは自殺。至上の喜び。
調べた結果、近くにいい廃墟があったので、着の身着のまま夜道を駆け足で行く。
見上げれば、なかなかの高さがあるビルが見つかった。中はボロボロで、窓ガラスは割れている。
なんという素晴らしい場所か。
目を輝かせて屋上まで向かう自分の足音が、やけに大きく聞こえてきた。
着いた。
屋上から見下ろし、人の近付く気配が無い事を確認すると、ほっとため息を吐く。
さて、後は飛び降りるだけ。
地面に叩きつけられ、死ぬだけだ。
「……大丈夫、死ねる」
そう自分に言い聞かせ、深呼吸をしてから、ぴょんと飛び降りる。
落ちていくスピードはなかなかのもので、思ったよりも早く地面にぶつかりそうだ。
その時、ちらりと人影が見えた。あの服は……ああ、振った人だ。幼馴染だ。あはは、驚いて……
……グチャッ!!
- BAD END -