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子猫転生  作者: ニャンコ先生
第ニャー部 下巻
46/57

怠惰な襲撃の一日編 そのニャニャニャーン

授業回です

魔物の設定や魔法の属性のお話が中心です


魔物の生態や、術士と魔物の戦力比、魔物の出現時期、そのほか色々この回で説明したかったのですがニャーニャーなくなく削りました


それでも冗長かもしれません

後で手直しするかもです


「そう硬くならないでください。

 知っている人だけに尋ねます。分かる方だけ挙手をしてください。

 それにたとえ間違えたとしてもそれをとがめることはありません」


「ふう、びっくりしたにゃー」

「それならなんとかなりそうだにゃー」

「分かるところだけ答えるにゃー」


 みんなが安心したのを見届けてから、先生は質問をはじめた。


「それでは、魔法の属性からはじめましょう。

 まずは基本属性を言える方はいませんか」


「それならわかるにゃー!」

「にゃー! わたしもわかるにゃー!」

「先生おねがいにゃー! わたしが答えるにゃー!」






 いくつか質問とその回答がなされた後、トヨキー先生は黒板に何か書き始めた。


「みなさんとてもお詳しいですね。先生は感心しました。

 さてみなさんから聞いたことをまとめてみましょう。

 人間に多く発現する順に並べてみますね」



『火:攻撃、水:治療、土:防御、風:補助、聖:万能・退魔、邪:呪術』


 先生はそう記すと、教卓に戻る。

 ニーオがそれらをノートに書き移してくれている。



「火属性、水属性については知っている人も多いでしょう。

 土属性は少し珍しい属性ですね。

 だいたい二十人に一人くらいでしょうか。

 練り上げたオーラで防御壁を貼ることが出来ます。

 風属性はもっとレアで、数百人に一人と言われています。

 伝統的な分類法では『補助』とされていますが、実際は単に爆発するだけです。

 ちょっとやってみましょう。こんな風になります」


 先生は杖を高く上げ、魔法を練り始めた。


「大きな音がしますので、苦手な方は耳を塞いでいてください」


 先生は全員の様子を確かめてから、小さく杖を振った。

 一呼吸遅れて、風船を割ったような破裂音が響く。


 そして爆風と呼べるほどではないが、そよりとした風が頬を撫でていった。

 何人かは肩をすくめた。何人かは遅れて猫耳を塞いでいる。


「こんな感じで、あまり役に立つ能力ではないんですね。

 小麦粉理論では、粉塵爆発にたとえられています」


 爆発のショックでみんな呆然としていたが、先生のその言葉で我に返ったようだ。


「風魔法初めて見たにゃ!」

「先生って風属性だったんですか?!」

「これ威力高めたらどうなるんですか?」

「ちょっと魔法練っただけでこの威力でしょ?!」

「さすがレア魔法にゃ!」


 トヨキー先生は、両手を広げて静かにするようにと仕草で伝える。

 質問に答えてくれるのかと期待し、全員が先生に注目する。


「さっきも言ったように、これ単体ではあまり役に立たないのです。

 爆発の方向をコントロールできればまだ使えるかもしれませんが、それもできません。

 威力を上げることはもちろん可能ですが、そうすると術者自身が危険となります」


「でもレアなんですよね?」


「そうですね。確かにとても珍しい属性なのは確かです。

 だけどだからといって有用だとは限りません。

 扱いがとても難しいのです。

 土属性で防壁を貼りつつ、その向こう側で爆発させるというやり方で、なんとか武器として使うことができます。

 しかしそこまでしても、実用性では火属性に軍配が上がりますね。

 いずれにしろ単体では使い物にならない魔法、それゆえに『補助』とされるようです」


「教師陣の方々は、土属性の魔法使いが多いと聞いています。

 先生ひょっとして土属性も使えるんじゃないですか?」


「良くご存知ですね。その通りです。

 生徒の皆さんを守るという意味から、教師には土属性の者が多く選ばれる傾向にあります。

 そして推測どおり、わたしは土と風両属性の魔法が使えます」


「すごいにゃー」

「さすが教頭先生だにゃー」

「ニ属性持ちとかはんぱないにゃー」


 トヨキー先生は少し困ったように僕を見る。

 止めてください。僕は関係ないです。僕もニ属性持ちだけど。



「火属性より劣るって謙遜じゃないんですかにゃ?」


 そう誰かが尋ねた。

 土で防御しつつ、風で攻撃する手段のことだろう。



「先程も言ったとおり、火の方が上ですね。

 二属性分の魔法を展開しなければいけない分、手間と時間がかかります。

 威力を上げることも可能ですが、あまり強くすると反動で私自身が吹き飛ばされちゃいます。

 それに何より近距離でしか使えないというのが痛いです」


 先生は残念そうに言った。

 もう少しみんなに夢を与えても良いんじゃないかとは思うが、どうやら本当に使えない属性らしい。



「風属性についてはこれくらいにして話をすすめましょう。

 次は聖属性ですね。

 この属性は非常に珍しいです。千人に一人とも、一万人に一人とも言われています。

 そしてみなさん既にご存知だとは思いますが、ニャルミさんがその使い手です。

 この属性は、万能そして退魔という定義から分かるとおり、人間には無害で魔物にのみ効果があります」



 ああそうか、だから聖魔法を受けるとしびれるような感覚があるとは言いにくいのか。

 そんなことを下手に吹聴したら、魔物なんじゃないのかと変な噂を立てられかねないからね。



「明日から実技の授業がはじまる予定です。

 聖属性の魔法は、運が良ければ見られる機会があるかもしれません」



「楽しみだにゃー」

「わたし入学試験の時見たにゃ! 白い光が広がってすごかったにゃ!」

「わたしも見たいにゃー! 番長どうにかしてくださいにゃー!」



 みんなが僕に注目する。僕は猫を吸ってごまかす。



「さ、さて、最後に邪属性ですが、これは貴族級と呼ばれる魔物が使うということしか分かっていません。

 人間ではこの属性が使えるものは一人もいないでしょう。

 実を言うと本当に魔法なのかさえ不明なのです」


 それまで朗らかだった教室のムードが険しくなる。


「聖魔法は魔物に対して強力な効果を発揮しますが、邪属性は人間に対して恐るべき災いをもたらします。

 伝えられるところでは、撹拌と呪いという二種類の作用を同時に受けるそうです。

 撹拌とは内部組織をぐちゃぐちゃにされることです。

 水属性のエキスパートでさえ、その治療は困難であるとされています。

 わたしはあまり詳しくないのですが、一般的に怪我の治療を阻害する要因の一つとして異物の混入があるそうです。

 その場合、まずは異物を取り除かねばなりません。

 しかし様々な組織が混ざり合ってしまうことで、自らがその異物となってしまうのだそうです。

 そうなると非常に治りが遅いと聞きます」



 トヨキー先生が僕を見る。


 いいえ、この身体は違いますよ。

 確かに治りが遅いように見えますが、貴族級なんかと戦ったわけではありません。

 単にまだ作成中なだけです。


 だけど僕を見たのではなかったのかもしれない。

 隣のニーオを見たのかもしれない。



 トヨキー先生が邪属性についての解説を続けた。


 ニーオが受けている呪いも、この邪属性の魔法によるものらしい。

 呪いは世代を超えて遺伝し、一定以上の魔力の才能を持つものに再び現れるそうだ。


 ニーオのことを気遣ってか、呪いについてはそれ以上の説明はされなかった。






 上位属性の雷と氷属性の話もされた。

 これは知っている話だったので省略。






「属性の話はこれくらいでいいでしょうか。

 さてそれでは次に魔物のことを聞きたいと思います。

 また質問をしていきますので、分かる方は答えてください」



 属性の時と同じようなやりとりが繰り返された

 そして五種類の魔物の特徴を先生がまとめる。






 小鬼級。

 高さニメートル超。

 四本足二本腕。

 牛馬のような身体に鋭くとがった腕を持ち、身体全体が硬いウロコで覆われている。

 驚異的な回復力を持つ。


 大鬼級。

 高さ五メートル。

 二本足四本腕のゴリラのような外見。

 動きは遅いが、攻撃力は高い。

 非常に防御力が高いのが特徴。

 

 竜。

 大きさ五メートルくらい。出現数が少なく、個体によりその大きさがまちまち。

 足と翼を持ち、空を飛びブレスを吐く。

 出現頻度は数十年に一度。


 貴族級。

 大雑把な外見は人間に似ているが、翼を持つ。

 大きさは人間より一回り大きいくらい。

 邪属性の魔法を使う。

 膨大な魔力をもつ。

 出現頻度はおよそ百年に一度。


 魔王。

 古文書に記されている伝説の存在。

 唯一知恵を持ち、人と会話さえ出来るという。

 貴族級の突然変異との説もあり、見た目はほとんど同一とされる。

 一方他の文献では、天を突くほど巨大な姿であるともされる。

 知恵のない魔物を統率することができる。

 連携のとれた魔王軍は恐るべき敵となる。

 出現頻度は不明。




「魔王についてはあくまで伝説上の存在ですね。

 本当にそういったものが実在するかどうかは不明です。

 ここに書いたのは、文献に残されている情報をまとめたものです。

 興味がある人はあとで図書館にきてください。

 古い本ですが、いくつか紹介しましょう」



 思いがけず魔王についての情報を得られた。


 情報の確度は低そうだが、何もないよりはマシだ。

 他にも調べたいことがあるし、あとで図書館へ行こう。

 調べたいことって、ニーオが教えてくれた小説のことじゃないからね!



 魔王に知恵があるという点が気になったけど、それも含めて図書館で調べてから考えよう。






 授業終了を告げる銅鑼が鳴った。


「それでは夜警説明会がありますので、移動してください。

 おっと、その前に一つだけ話し忘れたことがありました。

 知らない方がいるかもしれないので、念のためにこのカイテン国の名前の制度に付いて解説しておきますね。

 この国では貴族階級に属する人間は、二番目を意味する『ニャン』で始まるもう一つの名前を持つことを許されます。

 さらに王族のみ、三番目『サン』の名前が与えられ、この後には国名が続きます。

 ちなみに王族は、直轄地である首都名を二番目の名に据えていることが多いですね」


 元貴族であり、名前を欲しがっているニーオをそれとなく見てみたが、特に気にしている様子は無かった。


「以上です。

 こんな話をした理由については、すぐに分かるでしょう」




問題です

カイテン国の首都名は何でしょうか


ヒントは長音記号二文字を含めて六文字です

そのまんまではなく、ちょっとひねってあります


ネタが古いので、ピンとこなかった方はスルーでお願いしますニャー



答が出てくるのは次かその次になる予定ですが、今回ギリギリだったので連載はちょっとだけお休みします


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