表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子猫転生  作者: ニャンコ先生
第ニャー部 下巻
40/57

偽りの劣等生編 そのニャニャニャンニャーン

偽りの劣等生編は前回で終わりの予定でしたが、補足的な回になります

冗長な部分削りまくったのでちょっと短いです


 その日僕とニャルミ二人がかりで、幼女を我が家へとお持ち帰りした。


 名前はニャロリーヌというそうだ。



 椅子に座らせ、飲み物は何が良いかとたずねる。

 ホットミルクだと言うのでニャルミに出してもらう。



 暖かいミルクが運ばれてくる頃までには、ニャロリーヌは落ち着きを取り戻していた。


 考える時間はたっぷりあったからね。

 おそらく僕らもニャロリーヌと同じ転生者であると、見当をつけたのだろう。



 そういう予測を立てたのなら、次は僕らの情報を知りたがるはずだ。

 僕らが前世の記憶を持っているかどうか、どんな能力を持っているか、そういったことをだ。


 だけどその情報はおいそれと口にできるものではない。もちろんそれは彼女もそうだ。

 きっと彼女は今、どうやって僕らに口を割らせようかと算段を講じている最中だろう。


 ニャロリーヌは不敵な笑みを浮かべており、こちらの出方をうかがっているようにも見える。




 でも時間があったのはこちらも同じなんだよね。




「さてそれじゃ、話を聞かせてもらおうかな」


「ええ、よくってよ。こちらも聞きたいことが山ほどあるの」


 ニャロリーヌの口角がウニャリと上がった。






 話し合いは無事に終わった。




 お互いに前世の記憶を持った転生者だと打ち明けるまで面倒なやり取りがあったけれど、たいしたことではない。


 僕らがニャロリーヌと同等かそれ以上の能力者だと分かってもらうまで色々あったけれど、たいしたことではない。


 聖魔法が人間には無害だと聞いていたのに属性の違う人間がそれを浴びるとしびれるような不快な感覚があると分かったが、たいしたことではない。



 おっと、最後のことは話を流さない方がいいかもね。



 だって教頭先生がやけに僕に冷たいのは、それが理由かもしれないんだ。


 でも言い訳をさせてください。このことは僕も今日初めて知ったんですよ。

 そういえば昨日ニーオもちょっとつらそうにしていたなあ。

 ひょっとしてニャルミは最初から分かってたんじゃないのかな……。




 ちなみに僕らはニャロリーヌが神様から紹介されたという百二十ポイントと百五十ポイントの誰それとは全くの別人だということにしてある。

 説明が面倒だったということもあるが、ニャルミがニャロリーヌより立場が下ということにされてしまうのを避けたというところが大きい。


 さらに言うと、既に僕らは神様から受けた秘密使命を果たしており、好意でニャロリーヌの仕事を手伝ってあげるという設定になった。



 サディスティックで小生意気なニャロリーヌを手なずけるためには、そういう方便もしょうがないことなのだニャー。






「あ、あのぅ……。もしよろしければ服を脱いで見せてもらえないでしょうか」


「何、まだ逆らう気なの? また私の魔法を浴びたいの?」


「ヒィお姉さま! ち、違います!

 私の『神託』スキルがそう告げたのです。

 使命をやり遂げるためにはどうすれば良いのかと祈ったところ、『偽りの転校生を探せ、彼が運命のカギだ、彼は服を脱がせば分かる』というお告げをいただきました。

 おそらくニャスター様がその人物なのだろうと思います。

 しかしその神託が別のことを指している可能性もありえるのです」



 ニャロリーヌがすがるような目つきで僕を見る。


 ちなみに神託スキルは、前回使用時からどれだけ時間を置いたかでその精度が上がるというタイプのものだ。

 そのため頻繁に使えるものではない。

 実用性を考えれば、おそらく一年に一度とかそのくらいの頻度になるだろう。

 だからこそニャロリーヌは、その神託の一言一句を大切にしたいらしい。

 その気持ちは分からないでもない。



「ああそのことか。うーん、それじゃ仕方がないにゃあ。

 でもあんまり見て気持ちの良い物ではないよ。

 まだ傷が完全に治っていなくて、ここだけの話だけど木材やら何やらで補強しているんだ」


「木材ですか、よくそれで……。

 ひょっとしてそれも何らかのスキルでしょうか」


「まあそんなところだよ。ほら、こんな感じ」



 僕はペロンとおなかをめくってみせる。

 しばらくの間ニャロリーヌはまじまじと見つめていたが、やがて何かを納得したように大きくうなずいた。



「なるほど……、やはり神託の告げる偽りの転校生はニャスター様なのですね。

 全て納得いたしました。これからはニャスター様に全てを捧げます」


「ちょっと、わたしもいるんだけど!」


「は、はい! もちろんニャルミお姉さまにも忠誠を誓います!」


「よろしい。それじゃまず一つ命令よ!

 明日からは能力の高さを鼻にかけてみんなに高圧的な態度をとらないように注意しなさい!」


「はい! お姉さまのおっしゃるとおりにいたします!」


「まあまあ。それくらいに。……でも、そうだね。

 いいかいニャロリーヌ、これからはあんまり他の生徒さん達に迷惑をかけるなよ」


「はい! ボス! 仰せに従います!」


「お兄さまのおっしゃるとおりよ。あなたはみんなに迷惑をかけたの。

 今からでも遅くないわ、とりあえず教頭先生に謝ってきなさい。

 そうしたら今日はもうそのまま帰っていいから」


「は、はい! お姉さま! 今すぐに!」



 今から行かせる必要はないと思ったが、そういえば教頭先生から直々に受けた依頼だったな。

 ニャロリーヌに直接行かせるのは報告の手間が省けるか。


 この様子なら謝罪をサボることはあるまい。



 そういえばスルーしちゃったけど、お兄さまって何だよ。

 お兄ちゃんじゃなかったのかよ。

 まあいいか、どっちでも。





 ニャロリーヌが出て行くのを見届けると、ニャルミは肩を落としてつぶやいた。


「疲れた……。ところでお兄さま、いえ、ニャスター。

 あなた猫だってこと秘密にしておくの?」


「うん、まだ知り合ったばかりなので、もう少し落ち着いてからでもいいかなと。

 猫だということで軽んじられて、威厳というものがなくなったら困るしね。

 ニャロリーヌの性格を考えると、なめられちゃいけないようが気がするんだ」


「なめられちゃいけない、ねえ。

 ニャンコ番長として自覚が出てきたということかしら」


「ん? 違うよ!?」


「意識しまいとして逆に意識しちゃうのね。分かるわー」


「全然違うよ!?」


「良いじゃない。今度免許証作りに行きましょうね」


「いやいや、この世界にそんなものないから! そんなもの必要ないから!」


「違うわよ、わたしが欲しいのよ! かわいい猫の写真のついた免許証を!」


「うん!? 何故!?」



 どうして免許証なのかは良く分からないのだが、以上、僕らに新しい仲間が加わったというお話でした。




次回から

怠惰な襲撃の一日編

を予定してます

--

2015.01.01 追記

ネタがちょっと古かったかもしれません

ピンとこなかった方は『にゃめんなよ』的なキーワードで検索サイトでウニャっていただけると元ネタがわかるかと思います

お手数おかけしますニャー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ