斑鳩 真広の場合 その①
バトルシーン適当とか言わないのよ!
俺の名前は斑鳩 真広
いや、【ここ】ではマダラと名乗らせてもらおうか
ん?
【ここ】ってどこだって?
そんなの決まってる!
今、熱狂的な人気を誇るVRMMORPG、【アトラスオンライン】の中だよ!
俺はこのゲームにどハマリしている
もはや俺の人生と言ってもいいくらいだ
それだけあって、この世界では少し名が知られている
《神速のマダラ》
結構有名だと自負している
俺の今のレベルは
Lv.500
現時点で到達できる最高レベルだ
それが今日のアップデートで
なんと!倍のLv.1000までレベルアップ出来るようになったのだ!
なんて進歩!マジ神運営!
俺の職業は忍者
スピードとテクニックに優れている職業だ
盗賊の職業レベルをLv.100まで上げると、忍者に進化する
あ、もちろん
俺の忍者の職業レベルはMAXのLv.100だよ?
残念ながらアップデートでは、忍者の上の職業は追加されなかったけど職業レベルがLv.150まで上げれるようになった
まぁ、よしとしよう
「おい、マダラ。さっきから止まってるがどうした?」
ピコンとチャットのマークが表示される
あっ、そうそう
今、俺に話しかけてきたのは【クリア】
俺が入っている《Darkness crown》っていうギルドのリーダーで【クリア】っていうんだ
本名は小鳥遊 透
俺の学校の友達だ
ちなみに俺はギルドの副リーダーをやっている
ギルドのランキングは全国5位
結構上位だ
クリアの個人ランキングは5位
かなりの実力者といえるな
ちなみに俺は7位
二つ名は《深淵のクリア》
なんか意味が正反対な気がするが
本人いわく、
そのギャップがいいらしい
クリアの職業は魔法戦士
魔法は主に闇魔法
魔法と剣術の割合が絶妙で、
圧倒的な力を持っている
「おーい!ROMってんのか…?」
おっと、クリアのことすっかり忘れてた
「ごめんごめん。気が付かなかったよ」
「それはそれで酷いな…」
「いいから早く行こうぜ!」
「わかったよ…」
今日の楽しみは
アップデートで追加された新機能、
《闘技場》に行くことだ
《闘技場》はプレイヤー同士が戦い、勝ち抜いてより上位に行くと、レアな素材や強力な武器が手に入る
今回の1位報酬は【魔神の大槌】という武器だ
俺とクリアはこの武器は装備できないが、魔神シリーズの武器はかなりレアで人気がある
トレードに利用するつもりだ
クリアの転移魔法で闘技場前へ移動する
闘技場はかなり賑わっていた
「結構人いるんだな」
「四人までパーティーを作れるようだぞ?せっかくだしパーティー組もうぜ」
俺はクリアに提案する
そうだなと、クリアも賛成する
俺達は受付を済まし、
闘技場の中に入っていった
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「第一予選、Cパート!
マダラ、クリア ペア
vs
オーガ
試合開始ッ!!!!!」
人々熱気を煽るような司会者の合図で試合が始まる
観客席は満員、熱気もすごい
さすがの人気っぷりだなアトラスオンライン
「さすがに可哀想だな」
クリアは深いため息をつき、
心底哀れな目をして、オーガを見つめる
「だな、ランキング5位と、7位のペアに予選から当たるなんて」
俺もこれは可哀想だなと思う
相手が二人とかならまだ良かったのに
「ゴチャゴチャと何言ってるんだ!来ないならこっちから行くぞ!」
オーガが大きな斧を片手に、突っ込んでくる
「俺らのランキング分かってないみたいだな」
クリアが剣を引き抜こうとするが
「ここは俺に任せてくれ」
クリアにそう言い、前に出るマダラ
次の瞬間、マダラが消える
オーガはお構いなしと、クリアに向かって斧を振り上げる
「まずはお前からだァ〜」
斧を振り下ろそうとするが
振り下ろす前に斧はバラバラに崩れていった
「な!?…くそっ!!」
後ろへ飛んで逃げようとするオーガ
しかし、飛ぶ前にオーガの両足は切断されていて
地面に倒れ込むオーガ
「何がどうなってやがる!!」
見えない攻撃に慌てふためくオーガだが
気づいた頃にはオーガの首が宙を舞い、勝敗が決していた
「【神速】。うまく完成した」
いつの間にやらマダラはクリアの横に立っていた
オーガは俺ことマダラが倒した
アップデートを迎え、ついに完成した【神速】
圧倒的なスピードで相手を切り刻む技だ
これを作り上げるために何ヶ月かかったことやら
このゲームはこういった技と技を組み合わせてオリジナルの技を作ることができる
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それから順調に勝ち進み
決勝戦へと駒を進めた
「案外楽勝だな」
クリアが素っ気なく言う
「確かに上位プレイヤーがいなかったのはラッキーだったな」
「これは優勝いただきだな」
クリアは立派にフラグを立てて
決勝戦へ向かう
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「第一回闘技戦、決勝戦!
マダラ、クリア ペア
vs
アスモス
試合開始ッ!!」
アスモスという相手はろくな装備をしておらず、Tシャツにジーパンという、これから戦闘を行うとは思えないような格好をしていた
だが、決勝まできたのだ
油断はできない
「俺が闇魔法で相手を牽制する!その間に攻撃を当てろ!」
クリアが剣を抜く
そのまま軽く振ると、アスモスの周りに黒い塊が現れる
黒い塊はアスモスめがけて突撃する
しかしアスモスはそれを上に飛んでかわす
…予定通りだ
マダラは既にアスモスの後ろに回り込んでいた
「空中じゃかわせないだろ!」
腰から小刀を取り出し振り抜くが、感触がない
(どういうことだ?)
刹那、
マダラの背中が爆発した
「ぐっああああああああ!!」
爆風で地面へ叩きつけられる
アスモスは最初の位置から動いてなかった
倒れたマダラに駆け寄り、回復魔法を唱えるクリア
「幻術使いか」
クリアがアスモスを睨む
「よく気付いたね。そう、水魔法の応用、霧による方向感覚や、その他諸々の妨害魔法」
「そして、これ」
クリアの眼前に炎が渦巻く
「ヤバ…」
気づいた時には爆発が起きていた
「もう一つ、滅爆破。この二つの魔法でここまできた」
勝ちを確信したアスモスだったが、
爆煙が消えたところには誰もいなかった
「危なかった」
アスモスの後ろにマダラとクリアは立っていた
「【神速】!」
オーガ戦のように姿を消すマダラ
「当たらなければ意味ないんだよ」
霧を発生させるアスモス
やがて会場全体が霧に包まれる
(どうする?)
マダラは神速を使い続けている
止まれば爆破されるからだ
しかしいつかは魔力が尽きてやられる
クリアは闇魔法で装備をコーティングしている
フィールド内の全てを走り回っているが一度もアスモスと出くわしていない
方向感覚がおかしくなっているのか?
(一か八かでやってみるか)
俺はクリアを信じる
マダラは神速を使うのを止めた
途端に炎の渦が現れる
(頼んだぞ!トオル!)
マダラはモロに爆発を喰らう
が次の瞬間ブワアッと霧が晴れた
霧が晴れた中心には
アスモスの腕を切り裂くクリアの姿が見えた
(よし!信じたかいがあったってもんだ!)
マダラはもうHPが少ししか残っておらず、這うこともできない
勝利を確信したマダラだったが
腕を切り裂かれたアスモスは霧となって消えた
「な!?」
アスモスは涼しく笑って、クリアの後ろに立っていた
「アハッ」
クリアの体が爆破で吹き飛ばされる
「あ、あぁ……」
負ける
俺達最強コンビが負ける…
こんなにも呆気なく…
「今度会ったら宜しくね。トオル君☆」
アスモスはそれだけ呟いて、ログアウトした
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結論、俺達は優勝扱いになった
アスモスはログアウトした上に、退会したのだ
特殊な状況だったので優勝商品は貰わなかった
トオルはかなり悔しがってた
俺もそうだ
アスモス
あいつは一体なんだったのだろうか
有名なプレイヤーでもないようだったし
そういえば、アスモスって名前
【アスモデウス】に似てるよな