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明日はいよいよフィリアがやってくる日だ。

フィリアが来る日にちが決まってからと言うもの、毎日が大忙しになった。

王族が来るとなれば、お父様とお母様がベッタリとそばにいることが想像できた。それだとフィリアと約束した釣りには絶対行けないし、なんなら私が大目玉をくらってしまう。

だから、フィリアには事前にお父様とお母様に外せない予定がある日を複数日伝えていて、そこから選んでもらった。


そのおかげで、お父様とお母様のいない日にセッティングはできたのだけど、お母様が“私が居ないところで粗相があっては困る!”と、貴族令嬢としてのマナー講座が開講するところから始まり、ドレス・アクセサリーの新調、エステ、美容室などあっちこっちに連れ回された。

おかげで肌はツルツルで髪もサラサラだ。

新調したドレスは、一から仕立てられていて、生地が遥遠い国でしか生産されていない独自の製法で織った最高級のものに、人魚の涙から出来たと言われる幻の宝石が装飾にふんだんに使用されていた。どれも、国1番のデザイナーに一から作らせた一点ものだ。

正直、お母様の気合の入れ具合がドン引きを通り越して恐怖だった。

現在、やっとお母様から解放されて一息つけたのが前日の夜だ。本当に疲れた。

まあ、この苦労は何にも報われないんだけど…


とりあえず、フィリアルートを再確認しよう。

フィリアはグレイユル王国の第二王子。

国1番の秀才を兄に持った為、周囲からは兄と比べられ卑下され育つ。

また母であるお妃様はフィリアの幼い頃に亡くなり、父である国王様も多忙な為愛情に恵まれず心を閉ざし人を寄せ付けないキャラへと成長する。その冷徹な性格から氷の王子と呼ばれていた。

初回プレイでは闇の魔力を宿したボスキャラとして王国の破壊を目的として主人公達の前に立ちはだかる。

しかし、本当は唯一可愛がってくれ信頼していた叔父が現国王を王座から引き摺り下ろすためにフィリアを騙し、禁術である闇の魔法を憑依させ国を襲わせた事が終盤明らかになる。闇の魔力の膨大な力に体を焼かれ、息をするのも困難な状態で唯一信頼していた叔父に裏切られた事を知り、昏睡状態から生涯目覚める事が無かった。


発売当初、フィリアの不遇の結末には涙が止まらなかった。

ネットでもフィリアを幸せにしたいと言う声で溢れかえっていた。

そんな中、2週目でフィリアが攻略できると発覚した時は私もネットもお祭り騒ぎになった。

2週目の入学式の日に主人公が旧校舎にフィリアと出会うイベントが発生する。

フィリアは主人公に一目惚れしていたが、愛情を与えらた経験が少ない為その気持ちに気づかず、主人公に冷たい態度をとってしまう。

しかし、次第に主人公の明るさや優しさに触れて少しづだが本来の優しく愛情深い彼を取り戻し主人公への恋心を自覚してフィリアルートに突入する。

そこからのフィリアの愛情表現が不器用ながらも主人公を本当に愛している気持ちが伝わって来て、ときめきが止まらなかった。

最後は主人公の予知能力で叔父に騙されるのを阻止して、2人で叔父を倒しハッピーエンド。

あー、思い出しただけで最高。

でも、フィリアはフィリアルートハッピーエンド以外は死亡が昏睡状態のまま一生目覚めないの2パターンで終わりを迎え、ゲームキャラの中で1番救いがなく報われない可哀想なキャラだ。


凍てついた心をスリジエの愛情で溶かして欲しい気持ちはあるけれど、幼くまだあの時少しだけ笑うことのできたフィリアのこれからの残酷な運命を知りながら見て見ぬふりはしたく無いし出来ないわ。

ゲーム内で終盤、主人公達と戦っている最中に“普通に友人と他愛のない話をして、普通に笑って過ごしたかっただけなのに。”と、涙を流すシーンを思い出して胸が締め付けられる。

フィリアを助けたい!

ストーリーが変わってしまうかもしれないけれど、フィリアが苦しむ世界から助けてあげたい。

フィリアが望んだ普通に友人と他愛のない話をして、普通に笑って過ごせる日々を送らせてあげたい。

決めたわ。私、彼の親友になる!

彼を救うわ!









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