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「お話とは何でしょうか…?」

リラの圧が強くて、話したくないなど口にできるわけがなく気がつけば向かいの椅子に座っていた。

「何かがあるって訳じゃないんです。ただ、ゆっくりお話しした事が無かったので話してみたいと思っただけです。」

青い瞳が私を捉えて離さない。まるで流さないと言われている様だ。

リラは転生してから姿は見たことはあったが、対面し話すのは初めてだ。

前回の王国主催のパーティーでリラは体調不良で欠席していた事もあり婚約してから今日まで接点は無かった。

「それでしたら、フィリア様も交えて3人でお話し致しませんか?」

「フィリアは今、令嬢たちに囲まれてそれどころでは無いでしょう。それに、私はラナミア嬢と2人でお話ししたいです。」

逃げ道を着実に潰されていく感覚。逃さないと青い瞳が訴えている。首から汗が滴り落ち、胸元へ流れていく。

“それは、勿体ないお言葉です。”と、恐怖を隠しながら笑えば、リラも微笑み返す。

先程まで憂鬱だった遠くで小さく聞こえるパーティー会場の音に早く帰りたい衝動に駆られる。

“単刀直入に聞きます。”

そう、落ち着いた声でリラは口にする。

「弟をうまく取り入ってる様だけど、どういうつもりだ?」

表情が消え、低く威圧的な声と鋭く刺す青い瞳が私を貫く。先ほどの穏やかな顔をしていた彼とは全くの別人だ。

「と、取り入ってるなんて滅相もございません。フィリア様のことは婚約者では有りますが、友人の様に思っております。」

雰囲気の変わり様に緊張してしまい、口がカラカラだ。喉がうまく開かず掠れた声が出る。

“ふーん”とリラは呟き私を値踏みするかの様に上から下にじっとりと見下ろす。

「俺ね、国なんかよりも弟が大事なんだよね。

だから弟を傷つける様な真似したら、父様の旧友の娘だろうがどんな手でも使ってあんたの事潰すから。」

その言葉に背筋が凍る。なぜだろう、段々と首を絞められていく様に息苦しくなる。

「アンタのこと色々調べさせてもらったけど、婚約者になったの訳ありなんだな。婚約破棄されたら困るだろ?だって…」

「リラ第一王子!」

リラを呼ぶ女性の声が聞こえる。おそらく王家の侍女だろう。その声は段々と近づいてくる。

リラは“邪魔が入った。”と舌打ちをする。

「そう言う事で、弟を傷つけたら容赦しないから覚えておいて。あと、暫く君のこと監視させてもらうから。」

月を背に月明かりで輝く琥珀色の髪を靡かせ、ほくそ笑むリラはとあるシーンを彷彿とさせる。

“ここに居ます。”と、明るく優しい声で彼の名前を呼び続ける侍女に返事をする。表情も優しく穏やかなものに戻っており、先程までの彼は私の妄想なのでは無いかと錯覚しそうになる。

「ではまた、ラナミア嬢。」

リラは含みがあるようにそう言い方、微笑を浮かべ庭園を去っていった。


リラの姿が見えなくなったのを確認すると、一気に脱力した。

息が荒く、酸欠なのか頭がクラクラする。大量にかいた冷や汗が気持ち悪い。


私はさっきのことを思い出し私は頭を抱えた。

ヤバいかもしれない。これはラナミア死亡ルートに突入してしまったかもしれない!

だって、さっきのリラが月明かりを背景にほくそ笑むシーンは彼の年齢と服装は違いはするが、シチュエーション・セリフ・表情が完全にゲームのスチルと一致する。


主人公スリジエがとある条件を起こさずにフィリアと親密になると起きるイベント。フィリアルートはその条件をクリアしていないとハッピーエンドルートにはならないので、このイベントが起きた時点でBAD ENDルートは確定だ。

フィリアの好感度が親密になり、学園のパーティーが催された時に起こるイベント。学園入学まで庶民だった主人公はパーティーに参加した事が無く、疲れ果てて学園の庭園で1人休んでいた時に同じ様にリラが現れる。

そして、先ほどと全くほぼ同じセリフを言いゲームでは取り巻きの令嬢が探しに来るのよね。

リラはキラキラ正統王子様キャラで、ゲームパッケージなどにセンターで描かれていることと、主人公と1番最初に出会うキャラで難易度も1番低いことからこのゲームのメインヒーロー的立ち位置である。

しかし、リラには裏の顔がありいわゆる腹黒キャラなのである。

表では誰にでも優しく笑顔を絶やさないみんなの憧れの王子様だが、裏では弟を大切に思うあまり弟に害をなす者たちを躊躇なく排除する。そのため、BAD ENDのひとつに主人公はリラに殺されるルートがある。勿論、ラナミアもだ。

でも、まだ主人公であるスリジエは登場してすら居ないのに!

ゲームで描かれていなかっただけで、ラナミアにもこの出来事が起きてたとか?

いや、それは考えにくい。だってゲームのラナミアはフィリアに愛情はなく、どちらかと言うとリラの方に熱を上げていた気がする。

“私の婚約者がリラ様だったらよかったのに。”が、口癖だったのを思い出す。だから、フィリアに自身にはあまり執着しておらず、どちらかと言うと王族の地位に執着していた。

だから、フィリアと親密になり婚約者の地位が脅かされそうだからって理由でスリジエを虐めていた。

どっちにせよ、私このままじゃ殺されちゃう!!

初めに投稿した内容と少し変更があります。

いいね、ブクマ、評価ありがとうございます。執筆の励みになっています、嬉しいです。

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