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【電子書籍化】転生したらラノベヒロインの妹だったので推しの顔を見にライバル校へ行きます。  作者: 雪菊
番外編

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55/61

お前にくちづけしたよ

原作の二菜の死についてです。

グロ注意。流血表現とか苦手な人はスルー推奨。



必死に走る少女と、それを悠々と追いかける青年がいる。

少女は後ろを振り返りながら、泣きながらそれでも走り続ける。


青年は表情の消えた顔で追い詰めるようにそれを追いかけた。


そんな異常極まる光景であるのに、周囲はまるで気づかない様子であるのもまた奇妙だろう。


青年……小鳥遊壱流は本家の決定とはいえ従姉妹の殺害を命じられたことに辟易しながらも、追いかけ、追い詰める手は緩めない。

自分がしなかった場合、妹に命令が降ることを知っているからだ。


花守の血を色濃く現した従姉妹…小鳥遊二菜は、彼の周囲には珍しく他人思いで優しい少女だった。

小鳥遊は強さと血の濃さでマウントを取ってくる気の狂った人間たちの集まりだ。一花ですらそういう一面がある。



(あー。嫁にするから見逃せって言ってもダメだったってことは相当なんだろうな。勿体ねぇ)



覚醒までいってしまえば正式に花守の手で守られる。だが、それまではどう足掻いても「殺したって揉み消せる分家の少女」に過ぎない。


恐怖故か、疲労故か。

足が絡れて転んだ先は暗い路地裏だった。


自分を見つめて恐怖に震える少女のなんと愛らしいことか。


壱流は享楽的かつ加虐的な自分の性癖に苦笑した。そして、間違いなく自分もあの狂った連中と同じであることに溜息を吐きたくなる。



「追いかけっこは楽しかった?俺は楽しかったよ」



にっと笑うと「来ないで」と震えながら後退る。そこに獲物を横取りしようとするストーカーを見つけてナイフを投げた。手応えがあったことを確認してから、二菜に近づいて頬を撫でる。



「ごめんな?恨んでも憎んでも良いから、死んでも俺を忘れないで」



殊更優しくそう告げて、心臓にナイフを突き立てた。

友人となった男の名を、姉の名を呼んで助けてと泣く彼女。



(ああ、可愛いなぁ)



優しげに微笑んで力なく沈んでいく身体を支える。ふと、恐怖に見開かれた瞳が桜色に染まっているのを見つけて、その美しさに見惚れる。



「殺したって俺に損しかなかったわけだし、これくらい貰ってもいいか」



咄嗟の思いつきだった。


魔法で首を切り取って、彼女の唇に口付けた。



「ク……化け物め」



二菜の父に想いを寄せていた女が腹部を押さえながら現れた。意外と良いところに入っていたナイフに壱流は愉しげに笑みを浮かべた。



「アンタに言われたかないな?」



醜い執着心から二菜を殺すという任務に参加した女に侮蔑の目を向ける。



「それよりさっさと帰った方がいいよ。それ以上彼女の身体に近付いたら俺がお前を殺す」

「本家の命に逆らうつもりか!?」

「逆らってないだろ?気になってた女の子でもサッと殺して終わり」



気が立っているんだ、と壱流がいえば怯えたように彼女は去って行く。

それを見ながら壱流は一気に鼻白む。



「君を殺したことが願わくば、俺と小鳥遊を滅ぼしてくれれば嬉しいな」



首を抱えて、壱流は夜闇へと消えて行く。




その遺体が見つかったのは、翌日の朝だった。

そして、その惨状が彼の望んだ悲劇を呼び起こし、世界を危機に陥れる事になることを、まだ知るものはいなかった。

原作壱流くんは割とぶっ飛んだやべー人。

一応この辺りの設定を作っておきながら本編に挟むのはなぁと諦めたやつ。

この件で三月くん激おこ闇堕ちラスボス化が起きて、皮肉にも壱流くんが願った通りに一花以外の両親含む小鳥遊家は全滅します。


この件での壱流くんの後悔は「妹は逃しとくんだったなぁ」だけです。


今作二菜は幸いにも保護者がいたので死亡フラグ辛うじて折れました。


なお、題名はサロメから。

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― 新着の感想 ―
[一言] あっ、やっぱり悪魔とか魔王とかは、次姉を殺されて闇落ちした三月くんだったのね。 ということは、記憶ありでも中々姉を見捨てなかった二菜ちゃんですし、彼が途中で別の魂に乗っ取られて行動がゲスに…
[一言] 確かに、サロメ的な。 壱流さんの行動でした。 ぶっ飛んだヤベーヤツだけども。何だろう… ちょっとしか出てこなかった弟に余韻が全部掻っ攫われていった…
[一言] 完結おめでとうございます!とても楽しく読ませていただきました。ありがとうございました!
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