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【電子書籍化】転生したらラノベヒロインの妹だったので推しの顔を見にライバル校へ行きます。  作者: 雪菊
2章

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35.甘やかされています!?



おかしい。

私は四家の跡取り娘で、信頼できる相手を婚約者に据えるのが好ましい。

八神先輩は次男で良い家に婿入りをするのが、家として好ましい。

そういう関係であったはずだ。


それなのに、果てしなく好みな綺麗な顔の異性が、自分をひたすら甘やかしてくるので今ここが現実かどうかを疑いつつある。

いや、婚約者になったけれども!?この人、前の婚約者にも同じようにしてたのだろうか?

怖すぎて日上先輩に聞いた。



「京月のか?向こうの女が終夜をアクセサリーのような扱いをしていた割に、好かれていない・愛されていない等文句ばかり言うものだから、あっという間に冷め切った間柄になったぞ」



京月さん、そういうキャラだったのかぁ……。見た目大和撫子儚げ美人なのにちょっとした時に上から目線だったので、驚きはしない。

というか、それでは今の状況がガチの溺愛になっている気がするのだけど。生前見たネット小説とかラノベ曰く、転生溺愛は悪役令嬢系と不遇ヒロイン系が主ではないの?言っちゃなんだけど私家族には愛されてるはずだから不遇ヒロイン系には当てはまらない気がするんだけど。

いや、割と間が悪く運も悪いのでそこら辺のポイントが溜まって、今、人生のボーナスステージに立っているのかもしれない。不憫系って誰得だよ。幸運になりたい。

そこそこ好意を持ってる人が婚約者というところに運を全振りした可能性あるな。


送られる言葉に甘さが感じられるんだけど、何。私だって先輩のこと美術品扱いしてますがそれはいいの?



「……そろそろ慣れてくれたって良いと思うんだけど?」


「こ……ここまで甘やかそうとされると逆に不安な気分になります」


「真っ赤になるならともかく、真っ青になるの。流石に酷いと思うんだ」


「じゃあ!もう少し初心者向けからお願いします!!」


「そんなことを言われてもね?君を見ているとそう囁きたくなるんだよ、可愛い人」



手を取られて、唇を落とされる。

乙女ゲーのスチルかと思った。


整いすぎた顔面は時に凶器だと思う。

くっ……恋愛面で夢見がちな自覚はあるのでちょっと嬉しいのが悔しい。

……嘘です。ちょっとじゃないです。とてもときめきます。



「それに、君に合わせるといつまでも意識してもらえない事は火を見るよりも明らかだろう?」


「そんな事は……」


「あるだろう?」



困ったように私と目を合わせてくる。一生懸命視線を逸らそうとしたけれど、それを許さないとでもいうように顎に手を添えられて顔を近づけられた。

近い!近い!!



「赤くなってる。可愛いよ、二菜」


「……うう、どうして八神先輩がここまで

「『終夜』」

しゅ、終夜さんが!ここまでぐいぐい来るかがわからないけど、ありがとうございます」


「それは君が魅力的だからだよ。でも、喜んでもらえると三月くんから参考資料を借りた甲斐があるね」


「は?」



女子にあるまじき声が出たけど、それも仕方のないことではないだろうか。参考資料とはなんぞや。

三月くん、ちょっと話があります。今すぐ来てください。私の隠していた乙女ゲーだったりしたらお姉ちゃん泣いちゃいます。

でもはにかむ終夜さんの顔はなんらかの形で世界遺産として残すべきでは?



「君の好きな恋愛系の創作物とかを研究したんだけど、基本的には自然体で言いたいことや思ったことを素直に君に伝えれば良いという結論が出たよ」



そう言って、終夜さんは温かい何かを感じる微笑みを私に向けた。

でも私は背筋に嫌な汗かいてる。絵が好みだったから試しに買ったらちょっとえっちなシーンあった漫画のあれとか、隠しておいた絵師さんが最高の仕事をしてくれている乙女ゲー各種じゃないことを祈っている。

違うの。マジで。えっちなとこ目的で漫画買ったわけじゃなくて買ったらそうだったの。乙女ゲーは二次元だからときめくだけであって現実にやられるとアレなこと多いからあれを参考資料とは呼ばないでほしい。


でもこの人がやったら様になってしまう!?心臓が持たないからやっぱりやらないでほしい。



「だから、僕は君に『好き』を態度で表しているのだけど」



一瞬、意識が飛びかけた。変な声も出た。

世の中のヒロインはどうして口説かれて卒倒しないんだろう?



「とはいえ、君って可愛いのにお姉さんと比べられて自己肯定感低めだから、とりあえず褒めて愛情たっぷり注ぐところから始めているんだ」



告げられる言葉になんとなくだけれど、「まだやれるけど手加減しているんだけど?」とでも言うような、もっと上がある感を仄めかされている。

え?もっと上?あるの?



「僕が君を求めることに打算なんて関係なかった、って君が思えるまで、しっかりドロドロに甘やかすよ」



周囲の男性は私を友人枠に入れるし、あまり異性として意識されてこなかったので急にそんなことされると温度差で風邪をひきそうだ。


負けないぞ、と甘やかされるの拒否しようとしていたけど、気がついたら一緒にご飯食べて、一緒に手を繋いでテレビを見て、一緒に勉強して、隣に座るのが当たり前になっていた。


あ、あれ?

私、意思弱すぎ……?



「八神先輩の手管が鮮やかすぎる件」


「婚約者に迎えられた時点で確定された勝利ですしね」


「最初から相手が自分の顔を好みだと知っていたのも強みだったな」


「最近、いきなり彼女に寄ってくる男が多くなったから牽制も兼ねてるんだ。僕は彼女の気を引けるし、向こうは勝手に負けを認めて去って行くし一石二鳥だよ」



生徒会室でそんな会話があったことを私は知らなかった。

優奈は「くっ……やはり厄介な男……!」とか言い出すし、朱音は「うちの東馬くんもなー」と惚気てくれた。朱音の話を聞くに、婚約者ってこんな感じなのかもしれないと思い直す。お互い仲良しにこしたことないもんね。


ところで、12月の学期末にあるクリスマスパーティーのドレスを贈られたんだけど、優奈に見せたら「独占欲の塊ね」と言われた。

優奈のドレスも大概だから鏡見た方がいいよ。


穂積くんのガチ度、結構高そうなんだよなぁ。

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