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【電子書籍化】転生したらラノベヒロインの妹だったので推しの顔を見にライバル校へ行きます。  作者: 雪菊
1章

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26.不穏な気配がします




八神先輩、命狙われる感じなのは知らなかったので学校・運営・政府に対して怒っていた。そういうのは普通管轄外だし、警察や軍とか仕事だもんね。未成年が対処できる範囲を超えている。

私成人まで生きられるんだろうか。人生ちょっとハードモード過ぎない?八神先輩はだいぶ申し訳なさそうだったけど悪いのは悪いことする人とか、実家の本家である。


八神先輩のお兄さん、うちのお父さんの部下だったのめちゃくちゃビックリした。先輩と違って髪の色真っ黒だし、顔の造形がちょっと違うので言われなきゃ兄弟だってわからない。悪い笑顔は似てた。

八神先輩も……もっと鍛えたらああなるんだろうか……。


ちなみに一回戦は余裕の勝利だったらしい。でも藍川くんが若干の無茶をしていたようで日上先輩と遥先輩に怒られていた。ぶんぶん振ってた尻尾(幻覚)がしょんぼりしている気がする。ちゃんと褒めもするので藍川くんの先輩方への好感度はずっと高いままだ。


ちなみに一回戦が終わってから向けられる殺意の量が増えた。気がする。

被害妄想だろうか。でも優奈もやばい感じがするみたいなこといってたからなぁ……。


私たちはライバル2チームすでに蹴散らしてきているので、他よりも試合数が1試合少ない。あと2回勝てば優勝である。



「とはいえ、なんかきな臭いんですよねぇ」



器用に鼻にペンを乗せた藍川くんがボヤく。

確かにそうだ。これだけ急に刺客が増えるのもそうだけれど、藍川くんは家に遠回しに負けろと言われたらしいし(即父親にチクってただいま訊問中だとか)、遥先輩は逆に「負けを晒すなど許さぬ」と圧をかけられたと話す。遥先輩は何か掴んでいるようだけど、今は話せないそうだ。日上先輩は風凪先生と最近結構な頻度で話し合いをしている。



「四家の方で何か動きがあるらしい、という情報止まりだね」


「四家ってことは花守も何かしら動きがあるんですか?珍しいですね、引きこもりの一族って呼ばれるくらい研究以外では姿見せねぇのに」


「そういうことを言うものではありませんよ。花守がいたからこそ日本国は栄えたという側面もあるのですから」


「実際に今もあらゆる分野の研究で成果を発表しているしな」



資料のようなものを持って生徒会室に入ってきた日上先輩がそう付け足した。「おかえり、光一」と手を振る八神先輩に呆れたような顔をする。



「話をつけた。掃除は全て賄ってもらうことになったぞ」


「よく人を動かせましたね」


「風凪を雇った、といえばわかるか?」



風凪。

私たちの担任と同じ苗字、かつ四家の一角であるその家は古くより続く忍びの一族である。とある有名な一族に通じるとも言われているが、詳しいことを知るのはそれこそ家の中の者だけだろう。

この国の暗部を司るものとして、その名を知られている。



「確かに、そこなら権力やら何やらは通じませんが……」


「風凪先生伝に手配をした以上、先払いの対価以上のものを要求されることもあるまい」



その言葉に、みんなでそれを払うと申し出たのだが、「俺は向こうに借りを返してもらっただけに過ぎん。気にするな」と言われてしまった。日上先輩にどんな借りを作ってしまったんだ風凪……。 

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