17.お守りを勧められました
「何故、僕でなくおまえたちなんだ」
威嚇をしながらそう尋ねる……尋ねられてるの?これ?問いかけてくるのは月岡くん。
宮藤くんは何も言わずに後ろに立っているだけだし、何故かニコニコ笑顔の巫くんが月岡くんの隣にいるし、桜井さんは違法魔法使用法違反がどうとかで風凪先生に引きずられていった。違法魔法ってなんだろう。咎められる系の魔法って大体が精神操作系統なんだけどまさかなー!
「生徒会のことも対抗戦のことも日上先輩が全て決めたので詳細に関して俺たちは全くわからねぇ」
藍川くんがそう言い切った。実際にわからないしそう言えって言われている。
月岡くんの相手を藍川くんがしているので、巫くんに「桜井さん、どうしたの?」って聞いてみた。
「ああ……。彼女、魅了のユニークスキル持ちみたいなんだよ。魔法抵抗の強い相手でも情緒くらいなら不安定にさせることができるレベルの強い能力だったものだから、将来的にカウンセリングに使うとかなら別に放って置いてもよかったんだけど……。
ふふ、巫女姫?聖女?ヒロイン?そんな感じのポジションが欲しかったらしくって。巫女姫とか聖女の地位が欲しいなんて言う強欲で、世の中の理解度が低い女とか放っておいても碌なことないでしょう?だから、早めに潰しとこうって思って。
……ホント、宗教なめてるヤツってコレだから」
むしろ巫くんの情緒とかが心配になるな!?
実を言うと、この世界に巫女姫も聖女もいる。
巫女姫は神様に魅入られた女性のことで、神の伴侶とされその一生を神殿で過ごす。神の子を身籠ることもあるとかで、大体の場合なりたいなんて思う女の子ってそういない。まぁ、すすんで神様のお嫁やお婿になる人もいるけど少数だ。
勇樹くん関連で何かしら書きたいと思ってあった設定なのでしょうけど、私ってば対抗戦終わりあたりで死んだので続き知らないんだよね。
聖女は確か対抗戦編で出てきた。海外の学校から視察に来てる女の子だったはず。
勇樹くんに一目惚れするんだけど、こっちは癒し・結界術・解呪のエキスパートの女性のことをいう。男性バージョンは聖者とか言ってたはず。彼らは教会に所属することでその称号を得るので基本は聖職者である。
双方宗教色の強い存在なので、基本的にそういう家柄の子や、それに強い興味のある子しかならない。
……ちなみに先輩が一人、「神様の子供が欲しい!」とか言い出して男神の神殿に日参し、巫女姫になった。神様っているらしい。「成人したら子供作ろって彼と言ってるの!」とのことだ。ちょっとよくわからない。
「そ……そっか……」
「精神操作系の魔法使いのくせに届け出すら出してなかったみたいだからそこそこに怒られるだろうけど、それくらいだから魔法抵抗とか異常耐性低い人には今のうちに御守りを買っておくことをお勧めすることにしているよ。普段はどうにもならなくとも、体調が悪い時とかにうっかりかかったりもするから君も持っておいて損はないと思うよ」
巫くんの実家のお守りを勧められる。
「値段聞いてからでいい?」
「そういう言動見てると、君が本当にお嬢様だってたまに忘れてしまうね」
呆れた顔をされたけど、お小遣い使い切るとかそういうの、前世の貧乏性なのが響いてるのかあんまり積極的にできないんだよね。だって結構な金額くれるんだもん。家計簿みたいなのつけてたらお母さんに「お金ちゃんと貯めてるのね。私なんてあなたくらいの時はどうお小遣い内で収めようかと思っていたものだけど」とか言われた。高校生にしては多めの金額をいただいているが、一括で出ていくこともあるし足りなくなる時もある。主に病院代。
……その時はお父さんに泣きついている。
巫くんの実家のお守りのお値段を聞いて「なかなか可愛くない金額だな」と思っていると、藍川くんと話していた月岡くんが「悪かったな」とすごく小さい声で言って去っていった。ちなみにお守りは高性能すぎて買った。
それよりも藍川くん、何を言ったら月岡くんに謝らせることができるんだ?参考にしたいから後で聞こうかな……。
 




