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【電子書籍化】転生したらラノベヒロインの妹だったので推しの顔を見にライバル校へ行きます。  作者: 雪菊
1章

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13. 成果発表と言い訳をしました



月岡被りするので遥先輩呼びを許された。女子に刺されそう。

後継は月岡くんの方らしく、女子人気はそうでもないとか自称していた。あんなに麗しい顔と優しい性格をしておいて人気がないとかそんなわけないだろうと訴えたい。儚げ美人の自己肯定感どうなってんの?

自己評価低すぎて何言っても暖簾に腕押しというやつなのでそこまでは言わないけども!


でも、身近に天才とかがいると自己評価死ぬのはわかる。褒めてくれる自分以外の家族友人はとても大切だ。私だと両親と弟と優奈である。

一花ちゃん?一花ちゃんは悪くないけど、一花ちゃんに褒められてもあんまり褒められた気がしない。なんでだろう。

勇樹くんは口癖が「一花の次に」っていうくらい一花ちゃんの名前出すのでちょっぴり殺意湧く。いや、ちょっとだけだよ。あははー。人を褒めるときに他の人間の名前は出さない方がいいよって言ってあげるべきだったのかな?でも注意してあげるほど親しくないもんなぁ。


生徒会寮でそんなことを考えながら魔道具の出力数値を見ていた。うっかりパソコンの画面越しに見た自分の目が虚ろだったので、少し休憩を入れる。

変なこと考えながらやるものじゃない。


作成した魔道具を見ながらコーヒーを一口飲むと、扉が開いて日上先輩が現れた。

驚いてちょっと溢した。



「ノックくらいしてくださいよー」


「すまない。連絡が来てつい気になってしまった」



少し遅れて八神先輩と遥先輩も入ってくる。待ちきれない様子の日上先輩を見て苦笑している。



「何故ペン型なんだ?」


「私の最適媒介だからですよ。論文の検証するには他人よりも自分でやったほうが成功確率が高くなりそうだし、無事に終わりそうだったので徹底的に自分の能力値を上げる装備を作りました」


「どこかの論文でそういう記述何回か見ましたね……」



遥先輩がそう呟く。うん、何人かそう言ってるね。

ちなみに媒介、というのは各個人における能力を一番引き出せる物質形状のことだ。私はペン。一花ちゃんは大きな杖。杖は短くてはいけないらしい。そんな派手な……と思ってたけど、原作を思い出しながら考えると、勇樹くんハーレムの黒髪美人は立派な薙刀だった。勇樹くんも勇者の剣みたいな剣を出していたので「本なのか剣なのかはっきりしろ!!」って心の中で叫んだ。本人には言ってない。

というか現実の勇樹くんってば、意識的なのか無意識的なのかは知らないけど、一花ちゃんを使いながら的確に私の自尊心を折ろうとしてくるので合う気がしない。

原作二菜ちゃんへ。アレのどこが好きだったんですか。



「これは魔石かい?費用面でだいぶ高くつくんじゃないのかな」


「昨年確立された人工的に魔石を増やす方法を試してます。従来の魔石と比べると75%抑えられてます」


「だが、あの方法だと相当な魔力と特殊な環境が必要だった筈だ」


「要するに、自分の魔力とそれに相性がいい石、それと魔力が拡散しない環境を作れればいいわけですよ。そこでコレです!」


「は?」



結界装置……タリスマンと呼ばれるそれを見せた瞬間、日上先輩が真顔になった。そんなに表情削ぎ落とさないで欲しい。後ろの二人も笑顔のまま固まらないで欲しい。

超高額商品らしいけど自分で買ったものじゃないから。



「言い訳をするとこれは去年度、幼馴染み軍団に巻き込まれて足を割と酷目にへし折られた際……」


「足をへし折られたの時点で既に嫌な予感がするのですが!?」


「うっかりエンカウントしてしまった私、不運でしたね。なんかお家の決めた婚約を勝手に破棄して連れ帰られるところだったのを幼馴染み軍団が引き止めてたらしいんですけど、彼らがぶっ飛ばした車のタイヤが偶然飛んできて足の骨がへし折れました」



略式で展開した結界魔法が間に合わなきゃ良くて下半身が動かなくなる、悪くて死だったらしく、一花ちゃん以外の家族3人の顔が真っ青だった。

おさまれ私の殺意。ガチギレしたお母さんが一花ちゃん含めた全員に顔面グーパンきめた鬼のような顔を思い出せ。ちょっとスッキリするから。


なお、彼女たちの実家のお母様達がクレーム入れてきたらしいんだが、お父さんがここぞとばかりに動いていた。

その後、各々の家から謝罪土下座慰謝料が届いた。うちの姉も悪いのにな、とは思ったが原因は一つ目に京月(きょうづき)結女(ゆめ)とかいう黒髪美人の婚約破棄の件で、彼女を連れ帰る担当者が割と暴れた事。二つ目に藍川(あいかわ)統子(とうこ)とかいう脳筋がタイヤをぶっ飛ばした事なので「私の怪我に関しては一花ちゃんより罪は大きめか」と思っておいた。


一花ちゃんはあのあとギャン泣きしてたけどお母さんに「泣いても全部許されるわけではないからね。おまえも関わった事件なのだから誠心誠意二菜に許しを乞うように」と言われていた。勇樹くんとの付き合いも止めろと言われていたが、寮生活をいいことに言うことを聞いていないのでそのうち痛い目をみるぞ、と思っている。

一応忠告はしたけど「それとこれとは話が別!」とキレられたし三月くんはそんな一花ちゃんをゴミを見るような目で見ていた。怖かったので思い出したくない。


ところで結局、皆さんに直接は謝ってもらってないんだけど。

ヒロインたちってこんなだっけ?


ちなみにお父さんもお母さんも三月くんも私の生死が関わってたので、一花ちゃんも必要なら警察に突き出そうとしていたらしい。けど、小鳥遊本家から横槍が入った。この世界の警察は圧力に負けたのだった。



「……逮捕者がいるという情報はなかったけれど」


「うちの姉も関わってたので、慰謝料とかなんか色々な取り決め?で示談になったそうです。私入院してたから詳細知らないけど。

まー、そんなことがあった時に京月さんとこのお兄様が完全に血の気の失せた顔でこれをくれたので私がこのために買ったものじゃないです」



あれ、お父さんが完全に一花ちゃんを切りにかかったから怒りの本気度がわかって真っ青になってたんだろうな。流石に子を殺すのはまずいってお母さんが止めていたけどお母さんもお父さんが自分以上にブチギレてたからかろうじて理性働いただけみたいだって三月くんが言ってた。


なお、妹の結女さんはそんな事一つもわかってないし、なんなら高等部入学前に幼馴染みハーレム軍団で進学おめでとうって言いにきた。おまえら正気か?こっちは砕けた骨なかなか治らなくて車椅子だったんだぞ。藍川(父)とか軍関連者なのでお父さんとの関係もあるだろうけど、入院時は真っ青な顔で謝罪日参してたのに娘が台無しにするな。

今は弟が日々「姉貴がまた備品壊したらしくってさぁ」と電卓叩いている。


日上先輩が八神先輩に「良かったな、本当に」としみじみと言っていた。八神先輩は困ったように頷いていた。何がかな?



「その幼馴染みハーレム軍団とやらとは縁が切れているんですよね……?」


「それが、なんやかんやご縁があるんですよねぇ……。なんか偶然姉と外で会って、話しかけられ、振り向くとそこにいるっていうか」


「お姉さんとも縁を切った方が良いのでは」



結構難しいことを言うなぁって。

だってほら、家族ってそんな簡単に縁を切れるものじゃないんですよね。


ところで一花ちゃんにとって私たちって家族なんだろうか。私にとっては一応姉だから死ぬほどお説教するくらいでなんとか我慢できてるとこあるんだけど。

離れてなんとなく思うけど、これあのまま一緒にいたら絶対どっかでぷつんと何かが切れてたと思う。離れられてよかったー!

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