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【電子書籍化】転生したらラノベヒロインの妹だったので推しの顔を見にライバル校へ行きます。  作者: 雪菊
1章

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12. 生徒会に先輩が増えました




朝のランニングと精神統一をして、シャワーを浴びて登校準備。

髪をポニーテールにすると、原作とまるっきり同じの「小鳥遊二菜」だ。単純にポニーテールが個人的に楽だからそうしてるだけなんだけどね。あと髪をまとめていると去年みたいに理不尽に片側だけ切り落とされたりする心配があまりない。当時は怪我を頻繁にするため麻痺していて、髪が切り落とされたことがただただ悲しかったけど落ち着くと首じゃなくてよかったって思う。


日々のちょっとしたトレーニングが健全な肉体と心を作り、魔法使いとしての力を与えてくれるってお父さんが言ってた。正直これ、健康に生きるために大切な方法ってやつだと思う。

すごいのが身近に居たから目立たないけど、私も運動でもそこそこのスペックはあるので運動自体は楽しい。楽しくないのは「でも、小鳥遊さんのお姉さんと比べたら……ねぇ?」というアレである。

チート系ヒロインと比べられるのは辛い。



「おはようございます」



シャワーを浴びて、身支度をし、先に食堂に入っていた先輩たちに挨拶をすると、「おはよう」と返ってくる。月岡くんとか桜井さんに見習って欲しさある。無視されるので。

意外と宮藤くんは挨拶返ってくる。


朝ご飯を食べた後、八神先輩から生徒会役員用のネクタイを支給されたので急いで付け替えた。今日から仕事も任されるらしく、連絡先も交換した。今日は部活動ない日だし大人しく頷いておいた。部活動関連は調整してくれるらしい。



「そういう訳で、生徒会役員になったよ」


「二菜がなんで選ばれたかわかってないからか、私も説明されてもわからない」



朝礼前に優奈に言うと、真顔でそう言われてしまった。ごめんて。



「日上先輩と八神先輩も手が早いなぁ」



その声に振り向くと、「おはよう」と爽やかに笑う藍川くんがいた。



「小鳥遊家だけど分家で、家関連の厄介ごとはお姉さんだけしか関わりがなくて、才能だけ見れば例年であれば各所で奪い合いになるくらいのもの。性格も某ヤツらほど扱いにくくない。要するに優秀な人材の囲い込みでしょ?」



ちょっとだけ下品な方の手を出したが頭をよぎった自分を恥じています。ごめんなさい。



「うちもそうなんだけどさ、身近にいるやつが規格外だと苦労するよな」


「いやそれはごもっとも」


「姉貴ももう少しちゃんとしてると思ったんだが…惚れた腫れたで騒ぎを起こされちゃあこっちも困る」


「ほんとそれ」



固い握手をしてしまった。優奈も頷いていた。彼女のお兄さんはうちの姉で身持を崩しているので。誠に申し訳がない。

そんな話をしていると、他のメンバーも登校してきた。月岡くんがこっちに突撃しようとしたときに先生が入ってきたので少しホッとした。絡まれたくはない。


移動教室やタイミングの都合で避けてきたが昼休みに捕まった。優奈がキレかけている。いい加減にしつこい、とこの間から更に評価を下げているので。



「おまえ如きが生徒会とはどういうつもりだ」


「会長達に聞いて欲しいんだけど……」


「僕を馬鹿にしているのか!?」


「なんでそうなるのさ!?」



なぜこんなに絡まれるのか。先輩達が私を任命したのであって私が立候補した訳じゃない。かつ、拒否権はおそらくなかった。ついでに如きってなんだ如きって。バカにしてんのか。



「あなたが選ばれなかったのを二菜のせいにして八つ当たりしないでくれる?気分が悪いわ」



優奈がそう言うと、月岡くんの周囲に魔力の渦が巻く。コントロール苦手なやつってコレだからさぁ!!!!!

いざというときは優奈を守れるように術式の用意をしようとしたとき、「やめなさい」と強張った声がした。



「新、このような場で魔法を暴発させればどれだけの被害が出るか、理解できない訳ではありませんね」


(はるか)



月岡くんがもう少し大人びた感じの青年が現れる。その人の視線一つで集まっていた人たちが引いていった。というか逃げていった。



「出来損ないのおまえが何のつもりだ」


「出来損ないだろうが君の兄ですよ。知也、君も何故新を止めないのです」


「僕とおまえでは立場が違う。知也に命を下せるのは僕と父上だけだ。大人しく黙っていろ」



頭が痛い、というように眉間を押さえる月岡(兄?)さん。あまりの言い方に驚く。そこまで横暴だった……横暴だったかもしれない。私が彼に嫌われ過ぎてるだけなのかもしれないけど。



「家ではそうかもしれませんが、ここは学校だということを忘れていませんか?そのまま暴走するようでしたら生徒を巻き込んだ傷害事件になりかねません」


「僕を誰だと思っている。そんなことにはならない」



なんか兄弟喧嘩に発展しそうで胃が死ぬ。



(生徒会役員だしこういうのって止めないといけないよね?)



そんなことを考えながら、深呼吸をしてから顔を上げる。一歩踏み出そうとすると、襟首を掴まれて変な声が出た。

誰だ、と振り向くと担任の風凪先生がいた。一瞬、ブレスレットが光ったと思ったらタライが月岡(弟)の上に落ちた。ゴーン!となかなかの間抜けで良い音がした。



「魔力のコントロールがなっていない。感情任せですぐに他者を傷つける恐れのある人間が上に立てると思うな。それに今代の二人が学内で家の権力を横暴に振る舞う者を生徒会として認定することはないだろう」


「なっ!?」


「月岡遥、八神から呼び出しがあったぞ。行け」


「はい」


「小鳥遊二菜、生徒会役員としてそれなりの権力がおまえにはある。一年で昨日いきなり引き込まれたと聞くから今回は良いが、なるべく早くこの程度の問題は自ら解決できるようになれ」


「わ、わかりました!」


「だが、アレに飛び込もうとした根性は認めよう」



そう言ったかと思うと、風凪先生は月岡くんを持って転移した。転移魔法って結構難しいんだけど簡単にヒョイっと連れて行っちゃったよ……。やっぱりこういう学校で教師を務める人間は違うんだな。



「小鳥遊」


「あ、はい」


「新様も尋常じゃなく捻くれているが、悪い方ではないんだ」


「ごめん、それはもう少し人格矯正してから言って欲しいかな」


「すまない」


「宮藤くんが謝ることじゃないから」



正直、なんかそっちのお家の問題な気がするんですが。

ちょっと選民意識高いお家なのかもしれない。小鳥遊の祖父母がそんな雰囲気出してたので。

お父さん曰く、本家はもっと凄いらしい。お父さん目をつけられてたらしくって、無理矢理軍に入って逃げ切ったとか。わざわざ特権を使わずに下っ端からコツコツやったからか他の小鳥遊ほど恨み買ってない。それで次は一花ちゃんが目をつけられてるのお父さん可哀想。


放課後にお仕事教えてもらいに生徒会室へ行ったら月岡遥先輩が生徒会に無理やりinさせられている最中だった。何を言ったのかは知らないけど胃を押さえていた。同じような立場だった私は止められないけど可哀想。


なんで入れたんですか、と聞いたところ───



「だって、彼それなりに優秀で話が通じる人だからね」



にっこりと微笑んでそう言った美貌の副会長は、同じく顔がとても麗しい先輩の前で「ところで弟くん、次やったらこちらで家に猛抗議入れるから」と報告書を見せていた。

月岡先輩は「構いませんよ。彼にもいい薬でしょう」とサラッと言った。いいんかい!



「終夜は話の通じない人間が好きではないからな」



私も好きじゃないな、と思ったのが通じたのか「俺もそういうのは嫌いだ」と続けた会長に、この二人が生徒会役員のうちは月岡くん入れないだろうな、と思った私だった。

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