9.追っかけ生活強制終了しました
そんなある日、前触れなく私の平穏な追っかけ学園生活は終了した。
「君が小鳥遊さん?」
なんでか分からないのだけれど、国宝級に顔の良い副会長、八神終夜に声をかけられた。一瞬頭がフリーズしたけど、すぐに「はい」と返事をする。
「今、時間はあるかな?生徒会室で話がしたいんだけど」
ニコニコと微笑みながら言われたその言葉に拒否権はなさそうだ。「友人に声をかけてからでいいでしょうか?」と伝えると、「構わないよ」と言ってくださったので、そこで別れた。
優奈に言いに行くと「声が震えてるけど大丈夫?」と言われた。顔が綺麗すぎる。大丈夫ではない。その旨を伝えると苦笑していた。あ、そこかよってこと?だって何もやらかした覚えないもん。悪い話ではない…んじゃないかな。
生徒会室へ向かい、扉をノックして入室許可を得る。
部屋に入ると日上光一生徒会長も居て、八神先輩は椅子に座るようにと私を促した。
戸惑いながらも座ると、書類がいくつか目の前に並ぶ。
魔法で目の前に舞い降りてくる書類を見ると、ファンタジーな気分になって心が弾む。とても楽しい。
「小鳥遊二菜。俺は周りくどいことは好かない。簡潔に言う。生徒会に入れ」
その言葉に、目の前にある書類を見れば、生徒会役員認定の書類だった。
あ、コレ逃げられないやつでは、と思ってしまう。原作ではこの二人、結構隙がない人たちだったんだよなぁ。もちろん、今は現実に存在する方々だし、主人公が勇樹くんたちだった分描かれていない場面は多い。実際に接してみてどういう方々かなのかはわからないけれど、ここで逃げないと対抗戦編でえらい目に遭いそう。流石に死にはしないと思うけど。
「私はまだ入学したばかりの1年生ですし、務まらないかと……」
「俺たちがそれに足ると判断した。特に研究に関して興味深く思っている」
なんで日上先輩が私の研究関連見てるんだ?いや隠してないけど。
ああいうのって偉い人のを見るものでしょ。中学生の時書いたやつしか今は出回ってないはずだし、それを読むのなんて学校の顧問の先生とかよっぽど物好きな人かになるんだけど。
「生徒会役員を出来るだけ入れろと教師にも言われているし、君に入ってもらえると嬉しいな」
「今年の一年、二年含めてかなりの人間の資料を読み込んだ中から選んだ。逃すつもりはないぞ」
つまり先生に相談した瞬間もう役員入り決まっちゃう可能性もあるのでは。
断る理由も「面倒」と「姉」以外ないのが辛いな。
正直、多少面倒でも一花ちゃんたちの件がなければ……
「協力……してくれるよね?」
近づいてきた美しい顔に「喜んで!!」と勢いで言ってしまった。私は自分でも悲しいほど、美形に弱かった。
待って。
ということは私もしかして二部メンバー入(ただしライバル校)確定かな!?
どうしてこうなったの!?
「ふふ。よく僕のこと見ているなぁって思ってたんだ。単純で可愛いね」
「だが、あまり隙を見せないようにしろ。でないと今回のようにつけいられるぞ」
「はぁい……」
ぐうの音も出なかった。




