第1話
こんばんは!
星宮未羽です。
恋愛モノを描いてみたいなーと思い、書いてみました!
でもやっぱり描いているのは私ですので、どんどんと不穏な方向に……
いやいや、行かないかもしれませんし、行くかもしれません!
ですが今はこの物語をお楽しみください。
それでは、第1話です。
私は今、ヤケ酒を飲んでいる。
それはもうベロンベロンに酔っ払うくらい飲んでしまっている。
なんでこんなことになっているかを説明したい。
私、宮園玲奈は今まで、ずっとずっと、【甘くて優しい王子様】という小説の大ファンだった。
イベントには全部参加したし、グッズも全部持ってるし、読み返しすぎてセリフも覚えてるくらい。
なのに、なのに……
「やっぱりアルが皇帝になっちゃったぁぁぁーーーー!」
アル、というのは【甘くて優しい王子様】に出てくる第1王子、アルフレッドのことである。
いや、わかっている。ストーリー的にはヒロインが結婚した第1王子が皇帝になるのはわかるよ、十分わかる、頷ける。
そもそも甘くて優しい王子様って第1王子のことだしね、うん。完全に主人公っていうのはわかってる、けど……。
「レイ様に幸せになって欲しかったなぁ……」
レイ様は、第1王子の弟で、私が1番大好きなキャラ。
レイ様も女主人公、エレストレスのことが好きだった。でも、実の兄である第1王子のお嫁さんだったから、その気持ちを誰にも打ち明けず、1人ずっと……
「あぁぁん、レイ様なんて健気なの!」
当然のように物語はアルフレッドとエレストレスのハッピーライフを突き進んでハッピーエンドで完結してしまった……。
だから!私は今こうしてヤケ酒を飲んでいるのである!
こんなこと言ったって仕方がないのはわかってる。物語は、主人公たちが幸せになるようにできている。
だから、仕方がない。わかっていても、悲しいものは悲しいのだ。
「……飲み過ぎた、帰ろう。」
鉛みたいに重い足を引きずって家に向かう。
というか、完結しちゃったら私は何を励みに生きていけばいいんだろう……。
そんなことを考えながら歩いていた私は気付かなかった。
横から、トラックが突っ込んできたことに。
こうして、宮園玲奈の人生はあっけなく終わったのだった。
と、思ったんだけど……
私、めっちゃふっかふかのベッドに寝てる。
「知らない天井だ。」
そう言ったつもりなのに、私の口からは「あうあう〜」としか出てこない。
え、ちょっと、何が起こってるの?
パニックになった私は短い手足をバタバタと動かして……。
ん?短い手足?
小さくなってる!どういうこと?
私、はねられて死んだんじゃ……
ちょっと、誰か説明してー?!
言いたいことは山ほどあるのに、「あう〜」だの、「ばぅ〜」だの、赤ん坊みたいな声しか出ない。
どうしたものか、と思っていたそのとき、
「お目覚めになられましたか、エレストレス様」
メイド服っぽいものを着た人が、とてとてと駆け寄ってきて私を抱き上げた。
ちょっと、いきなり抱っこなんてしないでよ!
「ご機嫌が優れないようですね……。すぐ、お飲物を持って参りますからね。」
私の言葉は、どうやら通じないらしい。
というか、私が発声できないっぽい。
私の口から出る言葉とは言い難い声と、この手足。
赤ちゃんかなぁ。これ、来世的な感じなのかな?
でも、何か引っかかる。
「エレストレス様、お飲み物です」
わかった!エレストレスって、甘くて優しい王子様の女主人公の名前と同じなんだ!
「あれ?お飲みになられないのですか……?」
メイド服っぽいのを着た人、もうメイドさんって呼んじゃう。
メイドさんが困った顔してわたわたしてる。
ちょっとかわいそうかも。とりあえず飲むか。
そして、飲みながら考えよう。
私の名前、エレストレスが、偶然なのか、必然なのかを―――。
楽しんでいただけましたか?
第2話は、5/2の土曜日の夜に出したいと思います!
もしよかったら、この続きも読んでくださると嬉しいです!