第三話 カフェにて
だいぶ遅くなりました。申し訳ありません。今回は説明回になっています。
ブックマークしてくれた方ありがとうございます。
「すみません、この特大チョコレートパフェ一つと」
「……アイスコーヒー一つ」
「私は……このロイヤルミルクティーをお願いします」
お店、現実にもあるカフェに入った。このゲームでは現実にある店舗や企業とタイアップしている。
よくはわからないが、企業側は宣伝が出来、ゲーム側は企業からの融資を受けることができるということだ。このあたりの詳しい話は今コーヒーを頼んだ奴に聞けば説明してもらえるだろう。
ちなみにパフェを頼んだのは俺だ。現実では躊躇してしまうような大きさの物を食べることができるためありがたい。あとは絵になる。
まもなくして、注文したものが届けられた。
「さて……どこから話したものか……」
リークはコーヒーを一口含んでから話を切り出す。なぜか厳格な空気をまとっている。
「そうね……、どこから話してもらえばいいのか……。なにがわからないのかわからないことにはどうしようもないよね……」
「ああ、だからいくつか質問をさせてもらってもいいかな」
「大丈夫です」
リークが「身構えなくていいから」と前置きをしていくつか質問をした。こっちは話に入れないのでパフェと格闘する。
「ほかのVRMMOの経験は? 」
「VRMMO……、こういうゲームのことならこれが初めて」
「このゲームを始めた理由は? 」
「なんか、話題になっていたから……」
「利用規約は読んだ? 」
「あれ読む人っているの? 」
いないと思う。
ここまで質問を終えて、リークがやれやれといった感じで椅子に座り直す。そして、店員を呼ぶとコーヒーのお代わりを頼んだ。俺もパフェのお代わりを頼む。今度はストロベリーにする。
「ねぇ、あなた。そんなに食べれるの?ゲームだから満腹になることはないかもしれないけど……。でも……」
若干いやかなり引きながらクロが話しかけてくる。
「確かにね、これは驚きだよな……」
二人がこっちをジロジロと見てくる。そしてリークが口を開く
「こいつの背丈小学生並みだからな……、ここの特大パフェお前と同じぐらいの背丈だったし」
「というか、服装も相まって小学生にしか見えないわ……」
散々な言われようだが、否定できない。ちなみに服装は白いワンピースだ。どうせだったら可愛くしたいし……。あと汚れることもないから白い服も着やすい。
「というか、話が脇道にそれてる」
明らかな話題そらしだが、リークは素直に話を戻してくれた。
「あぁ、ごめん。どこまで話したっけ? 」
「利用規約を読んでないってところまで」
「そうだそうだ、それで、このゲームを始めたきっかけは?」
「なんかニュースとかで何回も名前を聞いたから……、ニュースの内容は知らないけども」
「なるほど、つまりこのゲームのことはほとんど分からないし知らないと……」
「そうなる……かな……」
クロの声にだんだん力がなくなっていく。
「じゃあ、要点をかいつまんで説明するね」
「よろしくお願いします」
「改まる必要はないよ、気軽に構えて、 まず最初にVRMMOは普通性別を変えられないのは知ってる?」
「まぁ、なんとなく。ってことはこの状況はやっぱり異常だよね。ミスにせよバグにせよ運営に問い合わせれば……」
「いや、違うこれは例外、普通じゃない」
「……あなた、そんな回りくどいしゃべり方しかできないの?」
「できないことはないけど……、こっちの方がそれっぽいから」
「それっぽいって?」
「情報屋」
関係ないが俺は三杯目のパフェをほおばっていた。今度は南国フルーツ味だ。
リークは話を戻そうかと一言置く。
「結論から言うとこのゲームTrans Sexual Online は今現在における日本唯一の性別反転可能なVRMMOなんだ」
回りくどさを回避したつもりなんだろうけど十分回りくどい言い方だ。
「え?……あなたたち男なの?」
「そうだよ」
リークが返事をし、俺もうなずく。
「じゃあ……、あの人も?」
クロが指をさしたのはカフェの定員さんだ。
「いやあれはNPCだからちがうね」
「というか反転可能ってことは反転しないことも選べるんじゃ……」
「うーん、可能って言い方が悪かったね。とりあえず、初期設定では反対の性別に固定されてる」
「初期設定ってことは戻す方法もあるってことだよね」
「ちゃんと指摘して欲しいところに指摘してくれるのはありがたいね……。戻す方法はまぁ……あるよ」
「それで、その方法は?」
「ゲームクリア」
「……クリアがあるの?ネットのゲームなのに」
「正確にはクリア目標みたいなものだけどね」
「それで、その目標はどれくらいでクリアできるの?」
「分からない」
「え?分からないの?」
「だって……」
「だって?」
「まだクリアした人いないから……」
次回も説明回になります。