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パレットはもういらない  作者: 真咲 透子
『続きは生徒会で!』クリス編
21/30

21. 波乱の幕開け

 ついに、『続きは生徒会で!』の第一話収録日が来た。アレックスさんはクリスが演技について悩んでいると言ったが、クリスがそのことについて触れてくることはなかった。アレックスさんに伝えた言葉でクリスが何かを掴んだのか、私には相談したくなかったのか。どちらが本当かは分からずじまいだ。


(メールはけっこう来ていたのになぁ)


 携帯番号とメールアドレスを強奪……ごほん、知られた後は頻繁に連絡が来ていた。『今日の20時から生放送なので見てください』だとか『今から雑誌の撮影です。サラさんは何してますか』だとか。ほとんどが他愛ないものだった。(時々くる『○○に行きませんか?』という誘いは丁重に断った。週刊誌にパシャリとか洒落にならないし、みょーにやな予感したし)


 正直、この前の車内事件から一方的に気まずい思いをしているので顔を合わせたくないのだが、仕事の為そうもいってらない。まぁ、収録中は私と個人的に話すタイミングなんてないだろう。彼はアイドルだ。いつも色んな人に囲まれている。大人しくしとけば何も起こらないはず。


(この間のことだって、私が変に意識しているだけだから)


 私が普通にしていれば大丈夫、だよね?



 さて、今回の『続きは生徒会で!』は、名門セラフィーナ学園へ特待生として入ったアラベラが学園長の引いたくじによって庶務になってしまった最初の場面の収録だ。挨拶としておそるおそる入った生徒会室は、生徒が使うにはあまりにも豪奢な部屋。そして学園内外で権力を持っている生徒会役員とその中でも王者として君臨するルカが彼女を迎える。そして彼は告げた。──ふざけた制度だが、庶務に任命されたからにはそれなりの働きを……なんてことは言わない。


『何もするな、俺はお前に何も期待しちゃいない』


 絶対零度の眼差しを受けながら、アラベラはややひるむがそこまで言われると意地とやる気が出てきてきた。彼女は宣言する。


『絶対に私も生徒会の一員だって認めさせますからっ!!』


 これが会長ルカとアラベラの最悪とも言っていいほどの初めての顔合わせだった。



(2人がくっつくには山あり谷ありの……。って頭の中で確認してたらスタジオ着いちゃった)


 中に入ったときからざわざわと落ち着かない雰囲気だったが、何かあったのだろうか。


「おはようございまーす……?」


 いつもの収録スタジオのはずなのに、大きなカメラを持った人たちがいた。はて、場所を間違ったのだろうか。


「おはよう、サラちゃん」

「おはようございます!」


 顔見知りの声優さんが声を掛けてくれたので、場所は合っていたのかと安堵する。


「今日どうしたんですか?」

「あのカメラ持った人たちのこと?今日は1話の収録だから、スターライトの番組の撮影も兼ねてるのよ。ほら、クリスくんの」

「あぁ、そうでしたね」


 クリスはスターライトの番組がきっかけで声優することになったんだっけ。そういえばこの前の顔合わせのときも言ってたな。でも、


「なんか落ち着きませんね」

「……そうね、テレビへの撮影なんて滅多にないものね」


 聞かれないように小声でこそこそと言い合う。なんともいえない現場の雰囲気に不安感を覚えながらも、収録は幕を開けた。

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