プロローグ
【プロローグ】
「何処だここ?」周囲を見渡す。
何も無い。と言うより、何も確認出来ない。暗い。どうやら俺は、真っ暗な空間に居るようだ。ここが何処で、何故自分がこんな場所に居るのかは解らないが、不思議と冷静でいられる。
先に進めば、何か解るかもしれないと思い、数歩前進したところで、ふと、背後に気配を感じ、振り返った。
そこには1人の少女が立っていた。こちらを見ている。
暗闇にも係わらず、少女の姿はハッキリと確認出来る
。髪は黒色。長さは肩くらいまでか。体系は華奢、上は白のロンT、赤色のシミのようなガラが無造作にプリントされている。お世辞にも、センスが良いとは言えない。下はスカート。セーラー服のそれによく似ている。膝下までの黒い靴下に、靴は・・・履いていない。
右手には、何か、光る物が握られている。よく見ると、それはナイフであった。そのナイフには、夥しい量の血が付着している。
そこで初めて気付いた。白いロンT、赤色のシミのようなガラはプリントされたものではなく、無造作に飛び散った、血痕だったのだ。あの少女に何があったのか、誰を切りつけたのか、今はそんな事、どうでもいい。
このまま、この場に居れば、俺もどうなるか解らない。
逃げ道を確認する為か、無意識の内に、後ろを向く。そして再び、彼女に視線を戻す。
-驚愕の光景に、一瞬思考が停止する。
10メートル先の少女の背後に何かが立っている。しかし、その-何か-の姿は暗くてよく見えない。
シルエットから確認できる限り、人でないことは明らかだ。
身長は2メートル、いや、それ以上か。人間同様、2本脚で立っている。頭部は、羊のそれによく似ている。
大きく異なるのは、顔の中央で、赤黒く、不気味に光る目、口元を連想させる場所からは牙のようなモノが首もとまで伸びている。これらをひっくるめて言えば、-化け物-である。
化け物は、右腕をゆっくりと上げた。
指先からは、鉈の刃のような爪が伸びている。
化け物に背を向ける格好で立っているためか、少女は、それの存在に気付いていないようだ。
そして、化け物は少女目掛けて、右腕を勢いよく振り下ろした。
-ブンッ-という鈍くも重そうな音。俺は咄嗟に叫んだ。「危ねえっ!!」直後、少女を直撃したであろう、化け物の右腕が、轟音と共に、地面を割った。
「うおっ!!」あまりの衝撃から、思わず目を閉じた。
少女はどうなった!?いや、考える迄もない。
俺は、恐る恐る目を開けた。
直後、重々しい音と共に、化け物が倒れた。
「!?」状況が理解できない。何故、化け物が倒れているのか。
死んでいるのか、ピクリとも動かない。
化け物に近づこうとした、その時、背後から気配を感じた。
俺は、振り向かず、倒れている化け物をスルーして、逃げ出す選択肢を選ぶべきかと、一瞬考えたが、俺の中の好奇心みたいなものが、それを邪魔したのだ。
恐る恐る振り返る。
そこには、先程倒れた化け物の標的となっていた少女の姿があった。
右手には血の着いたナイフ。
左手には化け物のそれと思われる、首から上の部分を持っている。
そこで初めて、少女の表情を確認できた。
ぼやけてはいるが、明らかに笑っている。いや、不気味に微笑んでいるように見える。恐怖からか、動くことが出来ない。やはり、振り返らずに逃げればよかった。
そして俺は、弱々しく震える声で言った。
「あんたは、一体・・・」
少女は不気味な笑みを、その口元にうかべながら言った。
「君も-こっち側-でしょ?」
何の知識も経験も無く、初めてチャレンジした作品です。宜しくお願いします。(*´Д`*)




