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二―六章
功宝!?
初耳だった。
そしてその短い単語が、驚くほど深く心に入り込んできた。
ざわざわと鳥肌が立つのが分かる。
熱い衝動が腹の底から湧き立ってくる。
気功は唯の健康法なのか?
長年の実践から得た、人一人が得るには大き過ぎるエネルギーの実感。そこから生まれてくる疑問。
その答えが分かるかも知れない。
「功宝の話を聞いて、興味を持ちましたね」
行斗が立ち上がる。視線は心から離さない。
すっと下がって、間合いを開けた。
始めはゆっくりと、途中から勢いをつけて心が立ち上がった。さっきまで疲労困憊していたにしては、軽やかな動きだった。
心の荒い呼吸が、いつの間にか深いものに変わっていた。
心に自覚はなかった。長年の気功の習慣が働いたと言う事か。
そのせいか、行斗も気づくのが一瞬遅れた。
「やはり、あなたは面白い」
心を見上げながら、その目がすうっと細められる。
「余り私を喜ばせないで下さい」
にっと、能面のような笑みが浮かぶ。
「つい、殺してしまいたくなるじゃあありませんか」