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四―四章
功宝は灰となって消えてしまったらしい。
心は大きな脱力感に襲われた。消防署に連絡する事も忘れる程に。
二人の背後に、人影が現れた。
大紅葉の落ち葉を踏む音もさせずに、それが近づいてくる。
酔螺は気づいていて、とっくに振り返っていた。
「お久しぶりです師匠。と言ってもお会いするのは二度目ですが」
遅れて心が振り向くと、石動行斗が立っていた。
「成るほどねぇ、お前さん〈関係者〉だったのかい」
酔螺の問いに、行斗はあっさり肯定した。
「ええ、母方の先祖が。
最も、つい最近まで〈本家〉とは交流がありませんでしたが」
そうだ、まだ仲間がいるはずだ。心は警戒して辺りを見回した。
「安心して下さい、守人は帰りましたよ、功宝が灰になったと思って」
行斗は、燃え盛る校舎に視線を送っただけだった。ついさっきまで通っていた学校なのに、何の感慨もない様だった。
「功宝については大変興味がありまして、校舎中を探しましたが、残念ながら見つかりませんでした」
功宝がなかった?
どういう事だ、心は訳が分からなかった。
「功宝は何処です?」
「お前さんが思っているようなものじゃあないかも知れないよ、それでもかい?」
「と言う事はありますね」




