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二―九章
化け物は、奴の方だ!
逃げるように、堂から飛び出した心は、学園の駐輪場から自転車を引っ張り出すと、そのままの勢いで自宅のマンションに帰った。
――師匠が百八十歳!?
人間が百八十年も生きられる訳がない。酔螺の若々しい姿の記憶が一層否定させる。
しかし。
確信が揺らぐ。こうだと思っていた常識が揺らぐ。
信じられない力量。
信じられない感覚。
それを目の当たりにして。
恐怖があった。
不安が。
が、同時に、期待があった。
自分は喜んでいるのか?
戦慄し慄きながら、しかし確かな喜びがある。
何かがある。
そう、何かがあるのだ。
今時自分のいる世界には。
ないと思っていただけだった。
或いは、そう思わされていただけだった。
目の前に踊る平板な情報の羅列に意識を囚われ、実感しようすることを疎にしていた。
実感する現実の世界は、意識の世界よりはるかに巨大で、深かった。
――功宝か、面白い。
心は、一生の関りになりそうな予感で身震いした。




