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第二話

『アナザーチャット』の続編となります。が、書き方もジャンルも完全に変わってしまっています。見直しを怠っている部分があるので、もしかしたら間違いがあるかもしれません。ご一報ください。

さて、主人公行方不明から始まる物語スタートです!

 久里が言った通り、先生も生徒も落ち着いた感じの気品あるいい学校だった。

 始業式のときに「だるいなぁ」とか「始業式っているか?」みたいな雑談くらいは聞こえてくるものの騒がしさは全くない。前の学校よりランクをかなり落としたため、少しくらい荒れていても構わないと思っていたが、そんな心配は無用だったらしい。

 

 私は偶然にも久里と同じクラスだった。もしかしたら、夏の見学の時に一緒にいたから先生たちが気を利かせて入れてもらえたのかもしれないが、真相は分からない。

クラスに仲のいい子がいるというのはありがたい。なんだか落ち着く。

「繍花!」

 名前を呼ばれた。久里は手招きをして私を呼んでいる。表情は傷持ちとは思えない明るい表情だ。彼女の傷は劣等感だと聞いていたが、様子を見る限りそんなことは微塵も感じない。

「なに?」

「ほらほら。もうすぐ学校も終わるし、放課後の事を考えないと」

「放課後? なにかあるの?」

「ぶ・か・つ」

 ナンデスカ、ソレと言ってもいいほど忘れていた。私は特にクラブなど入ったこともなかったので、存在ごと頭の中から消え去っていた。

「久里は入ってるの?」

「もちろん。科学部にな!」

「ああ、そういえばマロンは機械設計士の支援者として新聞に載っていたね」

「シーっ! ここじゃ禁句! 秘密!」

 それもそうかと思う。世界に名を憚るほどの有名人がここに二人もいるとなったら大騒ぎどころの話ではなくなる。カオスだ。

「科学部の人たちも知らないんだ」

「あったりまえでしょ!」

 ふむ。ティエが来たらどうしようか。昨日、学校に勝手に乱入してやるとか言ってたし。

 そんなことが頭に過ったが、言ったところで手遅れに違いない。

「繍花も入らない? 部活動は基本自由だから。宿題しようがゲームしようがいいんだよ? 人数は私を合わせて……八人くらいかな?」

 部活に入ることを頭の隅にも置いていなかった綾切は少し戸惑ったが、

――八人か。人数も多くなさそうだし、何してもいいって言ってるし、入ろうかな。

 籍を置くだけなら、ということで了承することにした。 

「うん。いいよ。でも、許可に時間かかるでしょ?」

「もう取った」

「早っ!? 私の意見完全無視でしょ!?」

 抗議したい。私の決定権はどこに行ったのか、と。

「どうせ、入るだろうと思ったから、見学の時、顧問に頼んでおいた」

 行動が早すぎる。いつの間にそんなことをしたんだ。

――顧問も顧問だよ。

「放課後、地学講義室ね。職員室の隣だからすぐ分かると思う。私は用事があって遅くなるから先行っといて」

 ちょうどチャイムが鳴った。





 担任の挨拶や私の紹介も終わり、放課後になった。何人かに囲まれて質問攻めにあったが、久里のおかげもあってか無事脱出。

 私は教室から抜け出すと二階に走りながら下りていった。

「うわっ」

 階段を下りる途中、足を滑らせてしまった。私は頭から後ろに勢いよく倒れていくのを感じ、体勢を整えようと両手を急いで後ろに回す。だが、おそらく間に合わないだろう。

 手を動かす速度より倒れる速度の方が速いのだ。どれだけ反射神経が良くても、身体の動きが遅ければ意味がない。

 すぐさま地面に着地。だがなぜか、右腕をほんの少し擦り剥くだけで済んでしまった。もちろん頭など打ちつけていない。

――何が起こったんだ。

 いくら運動神経がそこそこいい綾切でもあんな人間離れした動きはできない。

 今何が起こったのかというと、残り二〇度くらいの傾きで頭が階段の角に接触というときに、なぜか減速した。

 本来の速度ではない。まるで重力の力が一時的に緩んだようだった。

 立ちあがると、綾切は誰か自分を支えてくれたのかと思って、後ろを振り返ってみるが誰もいなかった。そして、周りに人の気配もない。


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