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「青空」「正月」「メール」
目覚ましが鳴り、それを寝ぼけ眼で止める。
男は、ベッドの上で身体を伸ばしながら視界の隅に入った携帯を手に取って固まった。
画面には友人からのメールと共に彼女からのメールが混ざっていた。
内容は、「神社で待ってる」と言う短いもので、1時間前のメールだった。
男は慌てて家を出た。
神社には初詣で家族や友達と来ている人で賑わっていた。
男は彼女を探し回り、鳥居の下に居る彼女を見つけ駆け寄っていく。
「遅れてごめん!」
男は彼女の前に行くなり謝った。
「遅いよ一時間も待ったよ、早く行こ」
彼女は膨れっ面をしていたが男の手を引いて歩きだした。
その手はとても冷たかったが何故かとても温かく感じ男は心が満たされるのを感じた。
男と彼女は参拝の列に並び話をしている。
彼女は男と話してる間終始笑顔だった。
彼女と男の番が来ると彼らはゆっくりと祈り列から外れ神社から出て行った。
彼女と男が何を祈ったかは解らないが彼らには雲一つ無い青空のような爽やかな人生を過ごしてほしい。