第二話
あぁあ。ぢごくだ。じごくではなくぢごくだ。間違えているわけではなく本当はじごくだがあえてぢごく。(ちょっとしたこだわり)
「おじさんどうしたの?元気ないけど。」
リィが俺を心配してたずねてくる。
「ああ、大丈夫だ。」
と答える気力もなかった。原因は村から他の街に行く唯一の交通手段が船であったことだ。船に乗ったはいいが…
かなり船酔いするタイプの俺としてはストレスで頭が禿げ上がりそうな思いだ。(実際てっぺんは少し禿げてるのを隠してる。もちろんトップシークレットだ。)
「・・・こういうときは感覚を遮断するのが一番だよな。」
突然後ろからパチの声が聞こえた。
と思ったら、後頭部に激痛がはしり、俺は意識を失った。
俺が意識を取り戻したとき、医務室のようなところにいた。
「あ、意識が戻ったんだ。あと十分程度で港につくよ。」
リィがこちらに来てそう言った。
どうせ気絶するんだったら、ギリギリまで気絶していたい。少なくともあと十分程度は苦しむ。
「痛た…いくらなんでもやりすぎじゃないか?」
まだ後頭部がズキズキ痛む。
「まぁ本人は反省してるみたいで、『やっぱり木刀は駄目だった』って言ってたよ。」
木刀でやられたのか。よく生きてたな…
「もうそろそろ着くはずだから見てくるよ。」
リィはそう言って医務室から出て行った。
「うぁぁぁぁ!?」
医務室の外から叫び声が聞こえた。その次の瞬間、船が大きく揺れて、そのときたまたま落ちてきたランプがたまたま後頭部を直撃し、俺はまた意識を失っていった。
ちゃんと生きてられるかな・・・
でも、少なくとも退屈ではないな・・・