第一話
俺はいつも村の出口にいる。あやしいやつが入って来ないように番をしているのだ。
しかし、こんな退屈な仕事は他にはないと思う。
「――ん」
この仕事、辞めようかな。
「お―ん」
どうせあやしいやつなんて来ないし…
「おっさん!」
気付くと、二人組に話しかけられていた。一人はきりっとした眉に右目が青、左目が緑のかっこいいやつ。もう片方は金髪でまるい瞳の可愛い男って感じのやつだ。こいつはなぜかほほが赤くはれている。かなり痛そうだ。
「あぁ、すまねぇ、考え事してた。」
「俺はパチ。こっちがリィ。いきなりだが一緒に旅に出ないか?」
(本当にいきなりだ)かっこいい方はパチ、可愛い方はリィと言うらしい。
旅、か。なんでこの二人組が俺を選んだかわからんが、いいかもしれない。(もちろんこの仕事もう辞めようという気持ちもある。)
「・・・いいぜ。男同士で旅ってのも悪くない。」
俺がそう言ったとたん、急にパチが不機嫌になった。
「・・・違う。」
「…え?」
違うってどういう意味だ?
「俺は女だ。」
・・・は?(数秒考えた)こんなかっこいいのに?服だって男物じゃないか。
「いや、そんな格好してるから…」
「こういう服しか似合わないんだ!だいたい可愛い服を着たり女言葉で喋ったりしたらキモイだのそんなことしても可愛くならないだの言われるし一体どうしろってんだ!?」
やばい。本人が一番気にしてることだったみたいだ。(でも逆ギレも少しあるような・・・)
「え〜僕は可愛いと思うけどなぁ。」
リィがフォロー(だと思う。多分。)してくれたがパチにはまったく聞こえなかったらしい。
・・・とりあえず謝っとこう!
という事を考えた矢先に頬に激痛がはしった。…殴られたみたいだ。頭がクラクラする。
「あ、大丈夫ですか?」
リィがのんびり言う。(見てないで助けろよ!!と思ったが声が出せなかった)
「これでも手加減したんだ。行くぞ。」
俺はこの旅に大きな不安を感じた。かといって一度言った事を変えるのはポリシーに反する。それはいやだ。
俺、大丈夫かなぁ……?