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嫌いな季節?

作者: 大塚

 ――冬。

 外に出るのも嫌になるくらいの季節。

 寒がりの私には非常に辛い時期。

 冬なんてなくなればいいのにって何度思ったんだろ。

 それぐらい冬が嫌いな私ですが――


「おっはよー♪」

「おはよう葉子ちゃん」

「うん、おはよう佳奈。それにしても寒いね~」

 そう言って私の手を握る葉子ちゃん。

 冬が嫌いな私ですが、この寒い時期は葉子ちゃんの暖かい手で、心も体も温かく

なる事が出来るのです。

 基本的に寒いのは嫌です。でも、寒いからこそ葉子ちゃんの温かさを肌で感じる事が出来るわけでして、

ちょっぴり複雑な感じなのです。

 冬ならではの風物詩? そんな感じでしょうか。

「およ? どうしたの? すごく嬉しそうな顔をしてるけど」

「えへへっ♪ なんでもないよ」

「むむむっ、何を隠してるの?」

 疑いの眼差しで私に抱きつき、身体を弄ってくる葉子ちゃん。

「きゃっ!? なんでもないってば~」

「嘘だ~、絶対なんか隠してるでしょ」

 傍から見たら、すっごく変な光景だけど私は楽しかったりします。

 くだらない事だけど、葉子ちゃんと触れ合う事が出来るから。

 この時だけは外の寒さなんて忘れてしまえるから。


「はぁ。はぁ。いい加減観念しなさいよ佳奈」

「う~本当に何もないのに……」

 どれくらい動きまわっただろう。

 肩で息をするくらい疲れてしまった。

「じゃぁ、何で嬉しそうな顔をしてたの?」

「そ、それは……」

 言えないよぉ。葉子ちゃんと手を繋ぐ事が出来るのが嬉しかっただなんて。

 恥ずかし過ぎるよ。

「ほら、やっぱり何か隠してるでしょ」

「う~ほんとに違うのに……」

 やっぱり言わないといけないのかな?

 言わないと葉子ちゃんが勘違いしたままだしね。

 うん……言うぞ。

「あの、ね……葉子ちゃん――」


「私は葉子ちゃんと手を繋ぐ事が出来たのが嬉しかったんだよ」

「な――――っ!?」

「~~~~っ!」

 やっぱり恥ずかしいよぉ。

 顔がすっごく熱くなっているのが自分でもわかる。

 

 冬は嫌いだけど――今は、この寒さが少しだけありがたかったりする。

 この火照った顔を鎮めてくれるから。

「ふふっ♪ ありがと佳奈」

「う、うん……」

 あー、ほんと今はこの寒さが心地いいよ。

 顔の熱さと外の寒さ。

 この二つがいい感じになっているんだね。

 これじゃあ、冬が嫌いなのか好きなのか分からなくなりそうだよ。


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