ドラゴン討伐に来た絶倫騎士が、毎夜私を甘く抱きつぶして帰りません。
私は追放された聖女です。
山小屋で一人静かに暮らしていたら、近くにドラゴンが出ました。
討伐の為に騎士がやって来て、何故か毎晩抱き潰されています。
◆◇◆
「誰か住んでいたのか……?」
小屋に入っていった騎士が、私が寝台に残したままの寝巻きを見て言った。
「いや、この様子は、今も住んでいる? 王の小屋は、ドラゴンを討伐する間は自由に使っていいと許可されたんだが……」
食事の後の片付いてない食器、読みかけの開かれたまま置かれた本に、書きかけの日記。
小屋の中は、さっきまで人がいた気配に溢れている。
王の小屋に勝手に住み着いてる、元聖女の私の気配に——。
騎士が机に向かって行く。
あ、日記を見られる!
私は、小屋の中に入って行く。
どうせ騎士から逃げる事は出来ないんだから、日記を読まれた後に捕まるより、読まれる前に捕まった方がいい。
「……せ、聖女……様」
騎士が私の顔を見て言った。
一年前に追放された私を覚えていたらしい。
騎士に姿を見られて、正体もバレて、なんと言っていいかわからない。
私は、追放された聖女だから、王の元に連れ戻されるとかいう事は無いだろうけど、普通に近くの街の牢屋に入れられるかも。
逃げられないと分かっていても逃げるべきだったか……けど、日記を見られるのはいや。
私はとりあえず、日記の置いてある机の方にさりげなく進む……。
「聖女様っ!」
え……?
私は騎士に腕を掴まれたかと思ったら、身体がふわっと浮いたような気がした。
——気づくと寝台の上に背中から倒れていて……騎士がその私の上に覆い被さっていた。
え? え!?
「……こんな誰も助けに来ない山奥で、若い女性が一人で俺みたいな騎士に会って、無事でいられるなんて思ってませんよね?」
え? こんなかっこいい騎士様が、そんな事するなんて思ってませんでした!
でも、追放されて一年——誰にも会わずにいた私は、願ったり叶った……り
「なんて、冗談んです。すみません」
へ?
私は騎士の背中に回した腕をピタリと止める。
いや、止めてはいけない、離れなきゃ……。
「……っ!?」
騎士が真っ赤な顔をして、私の顔を見ている。
「せ、聖女……!? これはどう言う……」
「それはこっちのセリフです。押し倒しておいて冗談ですみますか!」
……手を、背中に手を回した私の立場はどうなるの!?
「じゃあ……」
もう一度押し倒そうとする騎士を、背中に回した手を前に持って来て押し戻す。
「じゃあ……じゃありません……! 雰囲気がだいなしですよ! 今更、もう遅いです!」
「雰囲気ってどう言う雰囲気だったんですか!? いきなり押し倒すなんて犯罪です!?」
「あなたがやったんでしょう!?」
何なのこの騎士はっ?
「聖女様、思ってたのと違う」
「い、いきなり押し倒す方が、王国の騎士として相応しくない行動です! 最悪! 変態!」
押し倒されて腕を回してしまった恥ずかしさに、大声で罵倒する。
「す、すみません、聖女様! でも、ずっと憧れていて、二度と会えないと思っていたあなたに会えて、つい嬉しくて……っ!」
騎士が赤くなっている。
ずっと憧れてって……カァァッと私も赤くなる。
聖女として8歳から10年間、お城で働いていたので憧れてくれる人もいると思っていましたが……自分で幻滅させてしまった……!
押し倒されて背中に手を回すなんて、一年他人に会ってなくて人恋しかったからって、聖女にあるまじき失態!
いやー! もう死にたい!
日記、読まれるより恥ずかしいーっ!
私が寝台に突っ伏して泣いていると、騎士がまた覆い被さってくる。
「とりあえず、聖女様が嫌がってないのが分かったので——」
「え?」
「助けは来ないんで、抵抗しても無駄ですから、愛してます、聖女様」
◆◇◆
朝起きると朝食が用意してある。
ルシルが用意してくれたんだ。
王都からドラゴンを討伐に来た騎士の名前はルシルと言って、騎士の名門の侯爵家の嫡男らしい。
ドラゴンの討伐を一人で任せられるくらいだから、相当の実力があるんだと思う。
「王家に予算がないだけですよ」
と本人は謙遜してたけど……王家は聖女にどうでもいい因縁つけて追い出すくらいだから、謙遜じゃない部分もかなりあるだろうけど。
ルシルの実力は筋肉のつき方や動きを見れば本物だと分かるけど、それでも一人でドラゴン討伐は無理難題だ。
それでもルシルは毎日出かけて行っては一日中歩き回って、疲れて小屋に戻ってくる。
もう疲れて動けないような身体なのに、ルシルは私を毎晩抱きしめて潰すように何度も肌を重ねる。
「今日もミリッカ様を独り占めできるの幸せすぎます。はい、キスしてください」
苦しいのに甘い言葉に考えるより先に、身体が動いている。
「ん……」
でも、もう動けない……。
そうして深い眠りに着いて、朝——昼になると、ルシルが出かける前に作ったご飯を食べる。
山小屋での一人の生活は案外やる事が多く、畑を作ったり、鶏を飼ったり、森の奥へ薪や木の実を拾いに行ったり、大変だったんだけど……朝のうちにルシルが全部やってくれている。
……私のやることが何もない。
ルシルは私を聖女のように扱うけど、追放されて身内も亡くなってるから、ただの天涯孤独の孤児なのに……侯爵家のご子息が相手にするような女じゃないのに。
でも、それを言って「そう言えば」と即追い出されても困る。
やる事が無いので、小屋の中で本を読んでいるとすぐ読み終わってしまう。
それも、ルシルがいつの間にか近くの街から大量に本を買ってきてくれて読みきれないほどになった。
後は日記を書くくらいだけど、読んだ本以外には、食べた物を書くくらいしかない。
山小屋の暮らしの割にはルシルが工夫してくれたり、街で買って来てくれた食品が多くて、書くことが多い。
でも、この二つだとやっぱり毎日すぐ書くことがなくなる。
ルシルとの夜の事も書いておこう。
たくさん書けることがあった。
それから、ルシルは街で服も買って来てくれた。
一年前に追放されて山小屋に住み着いてから、服なんて買ってないからボロボロで気になっていたから嬉しい。
「ミリッカ様、可愛いです」
ルシルが喜んでくれて嬉しかったけど、結局すぐに脱がされて、私は服を脱いだまま疲れて寝てしまう。
ルシルは、服を着てない私が起きる前に食事の用意や色々を済ませて出かけるし、服の意味って……?
「ミリッカ様も、明日は街へ行きませんか?」
疲れて帰って来たルシルに聞かれる。
私は、追放された聖女だから街に行くのを憚られたけど、街に聖女の顔を知っている者なんていないんだ。
私がビクついて過剰に警戒しているだけで……。
「俺が一緒だから、バレたらすぐにここまで帰って来れますから。絶対にあなたを守ります」
私は行く事に決めたけど、
「ミリッカ様と街を歩けるなんて、夢みたいだ」
と言って、そのまま押し倒された。
「服と靴をちゃんと仕立て屋で買いましょう。それから指輪とネックレスも買って……」
ルシルは私にキスする合間に、街で何をしようか話してくれる。
嬉しいけど……、
「ずっと山小屋にいるんだから、誰も見てくてないし、そんなにいらないわ」
追放されて、たまに遊びには行けても、街にずっと住むなんて出来ないし、私はもう着飾る必要がないのよ。
「俺が見ますから」
「絶対に嘘っ!」
今ももう服を剥ぎ取られているのに、説得力がない。
そのまま私が眠くて気を失うまで、ルシルに抱きつぶされた。
明日、街に行くって言ったのに……疲れて行けなくなる……わよ……。
——翌日、私はいつも通り、昼過ぎに起きた。
目が醒めると、ルシルが着替えて街へ行く準備を済ませて寝台の上で私を抱きしめていてた。
食事の用意もしてあって……ルシルの体力どうなってるの!?
街に着いて数軒のお店を回ったけど、私の体力が限界だった。
街までルシルの馬に乗せてもらったけど、そこでも体力がごっそり持って行かれたのに、店でのドレスの試着や計測はキツかった。
ルシルが平然と私をお姫様抱っこで連れて歩いているのが異常で……っていうか、街の人たちに見られて恥ずかしい。
「ミリッカ様が俺のものだって、みんなに見て貰えて嬉しい……っ!」
ルシルは何だか喜びを噛み締めている。
「ルシル様、ドラゴン退治の方はどうですか?」
街の人の一人に話しかけられる。
「罠を仕掛けたり、直接手合わせしたりはしているんだが、さすがにドラゴンは手強くてね……」
ルシルが歯切れの悪い返事をしている。
私はルシルのドラゴン討伐については小屋の中で聞いていなかったから——ルシルが帰ってきたらすぐに押し倒されるから聞く暇がなく、初めて聞いた事だった。
え? 罠はともかく、ドラゴンと直接手合わせ!? え!?
それで毎晩帰って来たら私が疲れて寝るまで離してくれないの!?
ルシルの体力、どーなってるの!?
その日は、疲れすぎた私が馬に乗って帰れないから街の宿屋に泊まった。
とても豪華な部屋で食事も美味しいかったけど、結局ルシルに抱きしめられて、やる事は一緒だった。
疲れた……本当に疲れた。
やっぱり宿でも昼過ぎまで寝ていた。
目覚めると、帰る準備が整ったルシルに抱きしめられていたけど、宿では朝食の準備も要らないし……私は寝ぼけながらルシルが「愛してます」とかなんか色々言ってたのを聞いていたと思うけど……言いながらキスされたりしてた気もするけど……。
朝にする事がなかったルシルは体力がめちゃくちゃ余ってる気がする。
ゾッと悪寒が走る。
「ルシル、抱っこ」
私はルシルの体力を少しでも削ごうと必死だったのに——。
「ミリッカ様が俺にこんなに甘えてくれるなんて、街に来て良かった……っ!」
なんか、泣いて喜ばれてしまう。
ここからルシルの馬に乗って小屋に帰って、夜中までずっと抱かれて……考えただけで、体力がゴッソリ持っていかれる……。
「ルシル、街は楽しいけど、馬に乗るのは慣れてなくて疲れます。それなら、小屋でずっとあなたといる方が……」
パァッとルシルの顔が輝く。
「俺も、一日中、ミリッカ様と抱き合っていたいです」
ルシルが大喜びで小屋に戻って早々に私に重なってくる。
あ、伝え方間違ったかも……。
ガクッ……。
◆◇◆
「あいつ、帰る気ないんじゃないか?」
「やっぱり、そう思いますか?」
「罠にはトドメを刺す気がないし、手合わせしても覇気が足りない」
「それであなたが討伐されずに済んでいるなら良かったですが……普通に一人でドラゴンを倒せるんですか? あの人は!?」
「倒せるな、あれは」
「ええ!? ど、どうするんですか!? あなたが倒されたら、私は……」
「ミリッカが、身体を使ってルシルを惹きつけてる間は大丈夫」
「か、身体をって、そんなつもりは……!」
言い訳しようとしたけど思いつかなかったら、人間の姿になっていたドラゴンは行ってしまった。
言いたい事を言ってサッと帰ってしまう。
ルシルが来てからドラゴンとは殆ど話せていない。
「ミリッカ様? どうかしたんですか?」
直後にルシルが帰ってくる。
「な、何でもないですっ!」
バ、バレたら大変だ。
「……」
ルシルはちょっと不審に思っているようだった。
「早くルシルに会いたかっただけ」
私から抱きつくと、
「ミリッカ様……!」
物凄く喜んでくれたから誤魔化せたと思う。
これじゃ、『ミリッカが、身体を使ってルシルを惹きつけてる間——』って話に反論できないわ。
——私が、聖女を追放されたのも、神のお告げ以外にもドラゴンや異形のモノの言葉を聞く事ができたからだった。
むしろ私としては異形のモノと話せる方が主で、神のお告げはついでに聞こえてくるだけですって、聖女と呼ばれる前から言ってたのに。
王家の財政難で、「異形のモノと話せるなんて、今、初めて知った。聖女じゃないわ!」という程で追放された。
お城で聖女だった時からたまに遊びに来てくれたドラゴンの住んでいる山に来て、ドラゴンの助けもあって一年間は一人でなんとかなっていた。
——いつものようにルシルに抱き潰されて、昼に目を覚ます。
いつものようにルシルの作ってくれたご飯を食べようと思ったら——用意されていない。
あれ? なんで——っ!?
ルシルが部屋の隅にいた。
私が本を読んだり、日記を書く机に座っている。
今までこんな事はなかった——って言うか、部屋の中で私を抱くくらいしかやってないのに!
「……ルシル……?」
恐る恐る声を掛けた。
「……」
返事がない。
「……ミリッカ様……これは、なんですか……!?」
あ、日記読まれてる。
「……ドラゴンが人間になれて……ずっとこの山小屋でミリッカ様のお世話をしていた……?」
私もドラゴンを助けてあげたりしてたから、一方的にお世話されてたわけじゃ……。
「……それに、なんですか!? このふしだらな記録は!? 毎晩、ドラゴンにミリッカ様がこんな事をされていたなんて……」
ん?
「許せない……俺だってまだ遠慮してるのに……ミリッカ様を毎晩、体力の限界まで抱きつぶしていたなんて……!」
んん?
私、ドラゴンとそんなことは——。
「殺す……! 今日こそ、ドラゴン絶対に殺すっ!!」
「ルシル……待って……」
「ドラゴンの討伐に行ってきます……!」
ルシルがすごい覇気をまとって山小屋を出て行った。
なんで!? なんで、私とドラゴンがそんな事してるって誤解を!?
日記はルシルが見たまま、開かれて置いてある。
——あ、そうだ。
ルシルに毎晩抱きつぶされて、日付の感覚がなくなって——最近は日記に日付を書いてないんだった……。
ルシルとの日記をドラゴンとの日記だと誤解して……。
私は、ドラゴンの討伐に向かったルシルを追いかけた。
一年間、歩き慣れた山道の筈だったんだけど……ル、ルシルがなんでもやってくれるから、何もしなくてよくて……た、体力がなくなっ……た……。
まだ小屋から殆ど歩いてないのに私の息は切れていた。
……ごめん、ドラゴン、助けに行けない……私を恨まないで……。
ドオゥンッ!!
山の奥で轟音が鳴り響く。
騎士とドラゴンが戦ってこんな音がするの!?
ドラゴンは無事!?
でも、人間が出せる音とも思えないわ……。
もしかして、ルシルの方がやられちゃったんじゃ……。
「ルシルーー!!」
やだっ! ルシルが死んじゃうなんて——!
私は、体力を振り絞って、山を駆け上がる。
息が上がって、足がもつれて……全然進まないけど、それでも、諦めるわけにはいかない——……!
「ミリッカ!」
ドラゴンの声がする。
立ったまま気絶していた私の後ろにサッと人間の姿のドラゴンが隠れた。
ドラゴンが生きてる……。
じゃあ、ルシルが——。
じわっと涙が溢れて来る。
「ドラゴンの馬鹿! ルシルは!? ルシルはどうしたの!?」
「わ! バカ」
ドラゴンが叫んだ。
「どういうことですか? 今は、俺と戦っている最中なのに、人間の姿になって、ミリッカ様とイチャついているなんて……!」
ルシルが立っていた。
私がドラゴンの胸を叩いて、ルシルの事を聞いていたのが、“イチャついてる”ように見えたのかもしれない。
でも、そんな事はどうでもよくて——。
「ルシルーー!!」
私はルシルの方に走っていく。
でも、足がもつれるし、息は切れてるし、三歩くらいで倒れそうになった。
ギュッとルシルが抱き止めてくれる。
「ミリッカ様……」
ルシルの声が悲しそう。
「……良かった! ルシルがドラゴンにやられて死んじゃったと思った……」
私はルシルに強く抱きついた。
「ミリッカ様……俺を心配してくれていたんですか……っ! 俺が、あんな雑魚ドラゴンにやられるわけありません……」
ルシルは私を抱き返してくれる。
「は? 雑魚ドラゴン……あ、その通りですっ!」
山小屋に、私、ルシル、人間の姿のドラゴンがいた。
「ドラゴンとミリッカ様が過去に愛し合っていたとしても、今、ミリッカ様が俺を好きなら、何もいう事はありません」
ルシルが私を甘く蕩していう。

「ドラゴンは殺しますけど」
「待て待て、気軽に殺すってゆーな! 俺は過去も今もミリッカと愛し合ってなどいない!」
ドラゴンが慌てて否定している。
私はそんな事はどうでも良くて、ルシルの腕の中で蕩けている……。
「いいわけないだろう! ちゃんと誤解を解け! ミリッカ!」
ドラゴンが叫んでる。
「……ルシル、ドラゴンと私はそういう関係ではありません」
仕方ないのでルシルに説明するが、ルシルは驚いている。
「だって、日記に……ミリッカ様が体力の限界なのに、毎晩、抱きつぶされると……俺ならそんな酷い事絶対にしないのに……!」
してます、毎日。
私は日記がルシルの事だと説明した。
「……そんな! 俺がミリッカ様を毎晩苦しめていたなんて……」
「あ、でも……ルシルといるととても幸せなんです。……ちょっと、ものすごく多いだけで……」
ルシルが私にキスした。
「……これからは、控えます」
「……はい」
二人見つめあった。
「それはそれとして、ドラゴンは討伐しないといけませんから」
「いや、俺がいないと騎士がここにいる理由がないだろう!?」
ルシルは、そういえばという顔をする。
「王が小屋を使っていいと言ったのは、ドラゴンを討伐する間で……」
私は追放された聖女だから、ルシルと一緒に王都には戻れない。
「ルシル……」
私がルシルを見ると、ルシルも悲しそうな目をする。
「ドラゴン討伐には一年はかかるだろうと言われているので、それまでここにいます。その間に。今後どうするか考えましょう」
ギュッと抱きしめられる。
とりあえずドラゴンはホッとしてる。
「一年か……とりあえずは、それでいいか……」
「何くつろいでるんですか、ドラゴン。ここは俺と、ミリッカ様の小屋なので出て行って下さい」
ルシルがドラゴンを睨んでる。
「待って、ルシル! ドラゴンも色々役に立つのよ。天気を教えてくれたり、地震の兆候が早く分かったり。小屋で洗濯したりする時に助かるの。私の聖女時代に神のお告げって言われてたのはドラゴンから教えてもらった事もたくさんあるのよ」
「え? そうなんですか?」
ルシルが驚いてる。
「じゃあ、ドラゴンのお告げを聞ける聖女と言うことにすれば……」
「王様は私のお告げの中にドラゴンのものもあるって知ってます。それでも財政難だからって追放されたんです」
「……でも、王は天候が読めずに困っていて、ドラゴンのせいだから討伐しろと……」
……ドラゴンが教えてくれなくなったせい、だったりして……。
ルシルが王都に問い合わせて、ドラゴンが今後の天候を教えてくれるなら討伐しなくてもいいと許可される。
ドラゴンの予言を聞く聖女として、私はまたこの小屋に住んで祀られる事になる。
まあ、人間の姿のドラゴンの声は私じゃなくても聞こえるんだけど、ドラゴンは私に会いに人間の姿になってるからいいのかな。
そして、王家の財政難は変わらないから、ルシルが私の世話を焼くことに……って、今と変わらない。
「ちゃんとした聖女の神殿を俺が建てたいんですが……そうすると人を雇ったり、ミリッカ様とずっとこうしていられないので……」
ルシルの腕の中で私はまた蕩けている。
回数は減ったけど……。
ドラゴンの討伐をしなくてもよくなったルシルは、夜だけじゃなく、一日中、私を抱きつぶしてる。




