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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目

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994/1343

994 星暦557年 桃の月 17日 家族(?)サービス期間(18)

「靴の木型ってこう、粘土かなんかを足の周りに固めて型を取る訳にはいかないのか?」

自分の靴のデザインや色や生地を選び、更にその後にシェイラの検討に巻き込まれて疲れ果てたのだが、やっと全てが終わって夕食をゆったりと食べられるようになった。


ドリアーナに予約でも入れるのもありかな~とは思ったが、『年末のこの時期に思いつきで1日前に予約して取れる訳ないじゃない』とシェイラに一笑され、実際に連絡してみたらやはり無理と言われたので、シェイラの知っているそこそこ美味しい隠し家的な食事処に来ている。


シェイラ曰く『そこそこ』程度だが、俺としては十分美味しい。

一体どのレベルまでいけば『凄く美味しい店』になるのか、ちょっと聞くのが怖いな。

下手に食事に誘ったら内心では『まあ、そこそこね』と思われていそうだから、下手に連れて行く食事処の自慢はしない方が良さそうだ。


前もって日時が分かっていればドリアーナに予約を入れるんだけどなぁ。

一応予約だけなら受け付けてくれるとドリアス(料理長)のおっさんも言っていたんだが・・・何分シェイラってあの学者バカ連中の子守的な面もあるから、王都に帰る予定が数日ずれ込むなんて事は良くある。そうなると頑張って予約を入れてもアレクかシャルロに譲ることになりそうなんだよなぁ。


残念ながら王都にいることが確定している今年の歴史学会の日やその前後は既に埋まっているし。


あれもそれなりに間際になって適当に決まるっぽいんだよなぁ。

歴史学会内部のお偉さんは言われなきゃ学会の日の確定のことなんて忘れている学者バカが多いし、国からの資金援助関係で理事に一応名前を連ねている外部からのお偉いさんはそっちはそっちで忙しく他の重要な会議とかパーティとかの日付の兼ね合いとかもあり、優先順位の低い歴史学会の為に割ける日の確定が比較的遅いらしい。

だから毎年歴史学会の年初の集まりの日はかなり遅めに決まる。

まあ、それでも年の後半になった時点位であっちの事務局に連絡を知れて確認してみるのは有りかも?


偶にはシェイラを抜き打ちで文句なしに美味しい店に連れて行きたい。


それはともかく。

「粘土??

どうやって足から外すの?

砕いて外したら型なんて取れないし・・・足が粘土でデロデロになったらお偉いさんなんか二度と来てくれないわよ?」

シェイラがパンに手を伸ばしながら応じた。


「あ~。

そっか。

外すのに関しては、まだ固まり切っていない間に足の一番幅が広くなっているあたりの下に仕込んでおいた糸でスパッと切り目を入れておいたらそこから外せるんじゃないかと思ったが・・・確かに豪商や貴族の脚を粘土でデロデロにするのは嫌がられるな」

固まったらパカッと綺麗に外れる素材があれば良いんだろうが・・・難しそうだ。


金属の鋳造っぽい感じに出来たら良いのにと思ったが、汚さずにとなるとただでさえ難しい話の難易度が更に激増する。


何かこう、一度固まったら曲げられるけど形が元に戻るような素材があったら、薄い靴下を履いた足の上にそれを流し込んで型を取ると可能かも知れないが、そんな素材の事は聞いたことが無いからなぁ。

緑熱ジェイパル石みたいに魔力を通したら柔らかくなる素材でも良いが、考えてみたら適度な魔力量で流れ込むぐらいに柔らかくなるのに、一度固まった後は魔力を流しても柔らかくなって足を抜き出せるけど完全には溶けないで元の形に戻ってくれるなんて言うと中々難易度が高いな。


緑熱ジェイパル石は熱くなるからうっかり魔力を通し過ぎると火傷しそうだし。

まあ、それに靴職人に魔力を流せる人間は少なそうだ。

必要な作業を出来る魔具を造れたとしても、高くつきすぎて普通の職人には買えないだろう。


「それに靴の木型なんて、一度作ればそうしょっちゅうは作り直さないし大抵は年を取って細くなっていくだけだからちょっとヤスリで削れば良い程度なの。

だから最初の一回が面倒だけど、手間暇かけて何か素晴らしい高価な道具を作るだけの需要はないと思うわよ?」

シェイラがパンにバターを塗りながら指摘してきた。


そっか。

靴職人に買うだけの経済力が多分無いだろうという以上に、数を売れないとなると、商会側でも扱ってくれないな。


というか、現時点で知られていない素材を探すところから始めるんだからどう考えても研究が赤字になるんでシャルロとアレクも合意しないだろうし。

俺だって靴にそこまで興味はないから損をしてまで作りたいとは思えない。


これで何か美味しい料理やお菓子を作る為の道具って言うんだったらシャルロが是非やろう!!と言い出すだろうし、俺とアレクも吝かじゃないんだけどね。


残念。


「そっか、まあ良いや。

取り敢えず、これで買い物は終わりだよな??

明日はジルダスの方へ行こうぜ」

どうせ夜にはこっちに帰って来るんだから、予定変更になっても構わないんだが・・・流石に買い物はもう疲れた。


まあ、蚤市場を回るのだって買い物っちゃあ買い物だが。

骨董品や遺物モドキの方が気軽なんだよね。

服や靴みたいな落とし穴満載な買い物は精神的に疲れる。


やっと買い物終了!

まあ、蚤市を回るのだって買い物と言えなくも無いですが。

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― 新着の感想 ―
[一言] ウィル君はこういうのが苦手なんですよねぇ。 それに軍隊のように大量動員でもすれば別ですが、オーダーメイドの靴は数が掃けませんしねぇ。 で、既存靴ならサイズ別で作ればそれなりになるし。 そうい…
[一言] 足の形、自分たちで作った立体映像を撮る道具が有るのに。 あれなら一瞬で終わって職人達も机で作業出来そうだけど。
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