表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

983/1343

983 星暦557年 桃の月 11日 家族(?)サービス期間(7)

「もしかして、ここのフォラスタ文明って精霊に見捨てられたせいで滅びたの?」

シェイラがふと尋ねる。


『さあ?

今でもこの泉や広場の大地は居るんだから、見捨てた訳ではないんじゃない?』

清早が肩を竦めて応じる。


まあ、精霊って時間感覚がいい加減だからな~。

ちょっと遊びに出かけていたとか、飽きたから暫く寝ていたとかで百年程度は全然普通に過ぎるっぽいから、その間に周辺の国とかとの関係が悪化したり、気候や地形に何か変動があったりしたらあっさり集落が滅ぼされたり、離散したりする可能性は十分にあるだろう。


元々、精霊って気に入った個人に対してはそれなりに興味を持つのに、その個人が所属している集団に関しては興味を持たないから、国とか集落がどう栄えたのかとかいつ滅びたのかとか聞いても、全然意味のある答えが返ってこないんだよね。


俺やシャルロも清早や蒼流に遺跡発掘の手伝いがてらに何度か聞いたことがあるが、俺たちが聞いても『さあ?』という感じの返事しか返ってこないから、考古学に関して精霊に知識を求めるのは無駄だろう。


考古学者本人が精霊に好かれて加護持ちになったら、手当たり次第に通り掛かる精霊に話を聞いて回って実際にその遺跡が滅びた時期にその遺跡に興味を持っていた精霊に行き当たる可能性もゼロではないが・・・まずは無理だろうね。


「別にこの遺跡って戦争で滅ぼされたって訳じゃあないんだろ?

人口が減りすぎたとか、不便過ぎたとかで自然減少的に人が居なくなったんじゃないのか?」

戦争で滅ぼされたのだったらもっと人除け結界に使われていた大樹が破損していただろう。

一本が枯れたせいで結界に穴が開くまで、何百年も結界を維持できるほどしっかりした状態だったのだ。

どう考えても戦争で破損していたとは思えない。


「そうよねぇ。

この遺跡ってそれなりに元々あった施設的な物は残っているのに居住区域とかにはあまり何も見つかっていないのよね。慌てて逃げたとかだったらもっと色々と物が残っていたと思うから、戦争や疫病で短期間で一気に滅びたんじゃあないとは思うんだけど。

何分木の上とか地上に木材の家を造って住んでいたっぽいから残っている物が少なくって・・・」

溜め息を吐きながらシェイラが言った。


「あちこち掘り起こしているじゃん?

あそこは何もないのか?」


「地下にあるのは貯蔵庫だった場所っぽいのが多いの。

森の中で大樹を伐採せずに住もうと思ったら、木の枝の上に部屋を設置することが多いみたいなんだけど、どうしてもそう言うのは時間経過で崩壊して地面に落ちて叩きつけられて壊れちゃうからね。

オーバスタ文明の遺跡みたいに全部洞窟内なんていう遺跡は珍しいけど、そうじゃなくても大抵の遺跡って地上に建っていた家が時間経過とともに埋もれていくのに、ここは殆ど地上に建っていた家がないみたいで」


あ~。

ハラファ達は新しい方の遺跡を見た時に滅茶苦茶喜んでいたけど、調べられる物が多すぎて手が足りないって嬉しい悲鳴を上げていたからなぁ。

こことは正反対な感じだな。


ある意味、フォラスタ文明の遺跡は樹に刻まれた形跡を調べる方が地面を掘り起こすよりも発見が多そうだ。

とは言え、心眼サイトと魔術に関する知識が無ければ単なる傷なのか魔術回路の痕跡なのか、見分けるのは至難の業だと思うが。


「まあ、それでも誰も入らなかった遺跡だから掘り起こせばそれなりに落ちてきた家屋とかの痕跡が見つかるんだけどね。

ただ、見つかった痕跡にもあまり物が残ってないのよ~。

本当に、なんでここが滅びたのか、知りたい!!」

シェイラがうが~~!と空に向かって叫んだ。


おやぁ?

なんかストレスが溜まっているっぽいな。


「木の上に住むのが面倒だから、若いのとかがもっと便利なところで無難な生き方をしたがるようになって年寄りしかいなくなって寂れたんじゃないのか?

子供とかいたら、木の上で暮らすのは危険そうだ」

樹の上で自然と共生する生き方って要は森の中に息をひそめて生きていたってやつなんじゃないのか?


技術力なり人口なりが上がって周辺の人口と戦っても負けない様になったら、もっと便利な生き方に移行しても不思議は無い。


「確かに、鳥ですら雛が巣から落ちたら死んじゃう事があるんだから、人間が樹の上で暮らしていたら落下事故ってそれなりに起きそうよね。

フォラスタ文明って豊かになってきたから他の生活様式に移行してしまっただけなのではっていう学説は今までにもあったんだけど、何分証拠が何もないからねぇ。

でも、精霊が居る森に住み着いてちょっと助けて貰えていたというのと、今になってもまだ精霊が居るってことを考えると、それが現実的そうな気もするわね」

シェイラが言った。


「残念ながら証拠がない事に変わりはないがな」

証拠なんぞ見つかりようがないとは思うが、まあ頑張ってくれ。

時間がある時は手伝うから。


考古学って推論に推論を重ねる学問?

証拠ってまず無いですよね・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 考古学の「証拠」って出てくる方が稀ですから。 日本が異常なだけで。 (後は割と記録が残っているローマ帝国関係) 普通は神代どころか、何世紀か経つと記録が残ってないんですよ。 (或いは石に愚痴…
[一言] だから年代が違えば歴史教育も違うのです。私の時は4大文明推しだったな(当時でも他文明は知っていた)
[一言] 精霊にしてみたら アイツらちょっと目を離すとすぐいなくなっちゃうんだよな という感じかも知れませんね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ