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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目
802/1297

802 星暦557年 紫の月 5日 人探し(5)

あれ、間違えて予約日が2日先になってた;

今日の分は12時に更新します。

「足を洗ったのが惜しまれるな」

普通の食事処っぽい店舗裏の倉庫の床に隠されていた階段を降りて地下室に進む俺に青が言った。


倉庫やら雑貨屋やら食事処やら普通の個人宅のようなところやら、昨日から何軒も見て回って隠し金庫や隠し部屋を暴いて回っているが、どうも食事処が全体的に多い気がする。


繰り返し人の出入りがあっても不思議が無い場所として便利なのだろうか?

人の出入りが多かったらヤバい動きも目撃される確率が増えて困りそうなもんだが・・・目撃者の口封じに自信があったのかね?


まあ、変なものを見てもそれに関して不用意に追求するようなうっかり者は下町やスラムでは長生きしないことが多い。個人的な知り合いが強引に連れ込まれていたとでも言うんじゃない限り、あまり誰も行動を起こさないのかもだが。


とは言え、国が本腰を入れて捜査しているとなったら情報提供をして小遣い稼ぎを狙う人間は出てくる筈だが・・・まあ、悪事を働く人間は国に本腰を入れて捜査される事なんて想定していないんだろうな。


もしくは捜査されても袖の下で何とかなると舐めているか。


だが袖の下で捜査を何とかしたいと思っているなら、ただの人身売買だけだったらまだしも・・・港の地下通路は不味かったな。

国防関係となったら警備兵ではなく第二騎士団が出てくるし、人を密入出国させていた証拠が見つかったら反逆罪が適用されるから袖の下の利き目は一気に下がる。


と言うか、国防関連の案件に関わっている騎士団の人間が袖の下なんぞ受け取ったら一気に国賊扱いで縛り首だ。下手をしたら一族にまで塁が及ぶ。

まだ下っ端の役人の方がマシだが・・・役人だって騎士が調べ回っている時に賄賂なんて受け取ったらヤバい。

ただでさえ後ろ暗い所があるのに、捜査の邪魔をしているかもなんて疑われたら過去の悪事まで暴かれまくることになる。


そう考えると、今回の捜査での唯一の逃げ道は悪事に加担していた貴族や豪商を『巻き添えにする』と脅して『関係のない第三者の振り』をしながらもそれとなく庇ってもらう程度しかない。

なので意外と必死になって下町の幹部連中は証拠書類を隠すか処分しようとしているらしいので、昨日から俺は殆ど徹夜で引きずり回されている。

赤と青は交代して休んでいるのに。


「普通に魔具の開発や魔術師として働いていたら、寒い最中に外で待つ羽目になったり、夜中に仕事に出る羽目になったりしないで済むんだ。

ちゃんと必要技術さえ身につけば、魔術師の方が絶対に楽だね」

なんと言っても限られた人数の人間しか才能を有さない特殊技能なのだ。

出来る人間が少なければ当然その分報酬が多くなる。


まあ、盗みの技術だって特殊技能だが、あれは『死なずにやり続けられたら本職』って感じで裾野は広いからなぁ。


どうも最近(?)は心眼サイト関係で魔術師と関係ない仕事に呼び出されることが多い気はするが。

それでも徹夜したり寒い中に震えながら外で待機したりといった苦行は(ほぼ)無いので、やっぱり足を洗えたのは幸運だった。


「どこの組織だって上の方の管理職の職務時間はそれ程変わらないぞ?」

薄く笑いながら青が言った。


「書類と格闘するのが仕事な管理職も嫌だ」

今の殆どの書類仕事をアレクに押し付けている状態でも年末の税務報告はかなり頭が痛いのだ。

これ以上あれが増えるなんて、絶対に御免だ。


「まあ、良い。

ここが終わったらちょっと『二日酔い亭』にでも行って仮眠をとっておけ。

大体これで下町にある現場周りは終わりだ。

夜になったら加担していた役人の所に行く」

地下にあった隠し金庫を開け始めた俺に向かって青が言った。


なるほど。

下町なら捜査のどさくさに紛れて強引に盗賊シーフギルドが立ち入って調べられるが、いくら大掛かりな人身売買組織の捜査が行われていてバタバタしていると言っても、流石に役人が住んでいるような地域に真っ昼間から押し入るのは人目が問題になるか。


「貴族の方はどうするんだ?」

役人の方は証拠と一緒に軍の捜査本部にでもさり気なく届けておくか職場に証拠をぶち撒けておいて垂れ込みを入れれば良いが、流石に貴族相手にそれは難しいのではないだろうか。


「貴族は関与が確定したら掴まっている人間がいないかを確認して、いない場合は証拠書類だけを軍が入手できるように手配する。

人間がいたら・・・要相談ってやつだな」

ふむ。

もしかして盗賊シーフギルドの人間も何人か捕らえられているのかね?

色々と調べていたらうっかりバレた人間がいても不思議は無い。


そう言う人間が被害者や加害者と一緒に国軍に保護されるのはちょっと都合が悪いだろう。

まあ、普通だったら貴族の悪事を掴んでしまった下っ端の人間なんて直ぐに殺されるが、現状だったら殺さずに取引の材料として確保されている可能性もゼロではない。


取り敢えず。

寝よう。


徹夜は肌に悪いですよ〜w

帰ったら美顔器でも使ったら良いかも?


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