757 星暦556年 桃の月 29日 年末の予定(15)(シャルロ視点)
>>>サイド シャルロ・オレファーニ
「ウォレン叔父さん、このお香とか香辛料とか精油が毒性とかに中毒性があるか、調べてもらえる?」
ウィルが買ってきた大量のお土産は、3つに分けてシェフィート商会の香辛料担当、デルブ夫人、及びウォレン叔父さん用に渡すことになった。
ちなみにデルブ夫人はパディン夫人と一緒にちょくちょく時間を見つけてデザートに使えないか試作し始めている。
デルブ夫人は年初明けにゼナと一緒に東大陸のジルダスに行くことになった。
どうやらシェイラがあちらの明るい色どりの薄い生地が気に入ったようだとウィルが言っていた為、シェフィート商会側の担当とアレクの女性親戚数人も急いで行こうということになったし、ゼナも年初ならドリアーナが休みなので子供を連れて一緒に遠出できるという事で急遽決まったのだ。
ウィルは東大陸に行ったばかりだという事と、年初は王都にいるシェイラと過ごすために後からちょっと顔を出す程度になる予定。
向こうで効率的にデザートに役立つ香辛料を探すためにデルブ夫人とゼナとで既にちょくちょく試作をしているし、シェフィート商会の方でお香としての使い方も試しているらしいが、何分こちらでは知られていない素材だし一部は微妙な効果があることが既に知られている素材だ。
取り敢えず、お土産にウィルが持って帰って来た分だけでも先に医療省なり軍のどっかの研究部門に調べて貰う必要はあるだろう。
「うん?
お香や香辛料を調べるのか?」
ウォレン叔父さんが首を傾げた。
「香辛料って薬になる物もあるらしいんだよね。
薬になるってことは量次第では毒にもなりそうじゃない?デザートにして大量に食べるかも知れない身としてはちょっと確認して欲しいかな~って。
あと、お香や精油の一部はザルガ共和国で気分が良くなる効果がある素材として扱われているらしいよ?
まだアファル王国までそれ程来ていないみたいだけど、香辛料の売り上げがなくなった利益の補填としてそのうち売り込んでくるようになるんじゃない?
呪具みたいな洗脳効果はなくても気持ちが良くなっている所に口が上手い人が色々と話しかけたら流されやすくなると思うし、ウィルとしてはそう言うのを使った怪しげな詐欺っぽい宗教とかの可能性もあるかもって心配してた」
まあ、ウィルが心配していたのは詐欺っぽい宗教に嵌る人間のことでは無く、問題が大きくなってまたウィル本人が呼び出される事だけど。
香を探すのにウィルの能力は特に関係ないけど、隠し場所を探すのには役に立つからねぇ。
それにお香を大量に持ち込んだ場合、よっぽどガンガン使っているんじゃない限りはそれなりの期間を保存する為に湿気除去の魔具は必要になる。そう考えると探し物をするとなればやっぱりウィルがいると役に立つし。
ウォレン叔父さんが、甘柿の代わりに間違って渋柿にがっつり噛みついてしまったかのような顔をした。
「ガルカ王国が無茶苦茶になっていたから東大陸への新航路は必要と判断されたし、直接取引することで香辛料の費用がかなり下がったが・・・。
あっちと直接取引することで出てきている色々な問題を考えると、あれだけ早くガルカ王国が自滅するならもう少し待っていれば良かったかも知れんな」
溜め息を吐きながらウォレン叔父さんが零した。
「でも、直接取引するお蔭で美味しい香辛料を直接色々試して買い付けられるようになったんだよ!!
変なものが入ってくるのはどうせいつの日かは入ってきたんだし、長期的には東大陸との直接取引は絶対に良い事だと思うな」
なんと言っても、デザートに入れる香辛料の単価が下がり、種類が増えることは素晴らしい!!!
南航路経由だと香辛料もお茶も海の上を運んでいる間にそれなりに劣化してしまうので、やはり味が落ちるのだ。
お茶はまだしも、香辛料の香りがしっかり残っている美味しいデザートはやはり新航路ができてからかなりあちこちで出回る様になった。
これからも新しい香辛料が見つかれば更に美味しくなるかもしれないことを考えれば、ちょっとの苦労なんて微々たるもの!!
ウィルにもウォレン叔父さんにもこれからも問題対応と美味しい新鮮な香辛料の為に頑張ってもらわなきゃ!
かなりデザート向けな欲求満載なシャルロ君でしたw