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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
魔術学院2年目
75/1291

075 星暦550年 桃の月 6日 火器《コンロ》

タイトルはルビが打てないみたいですね・・・。

世の中、応用が効くモノって思っているよりも多いのかもしれない。


◆◆◆



「とりあえず、凍結庫フリザー火器コンロを作って術回路がどんな感じに機能するか確認してみるか」

どうせ課題として作らなきゃいけないんだし、どんなふうに機能するのか視ることで改造もやりやすくなる。


「じゃあ、先に火器コンロから作ろうか」

シャルロが提案した。


「そうだな、先にエネルギーの蓄積先を作っておいた方がいいだろう」

アレクが石の台を作業机の上に置きながら合意した。


距離があると途中で壊れる可能性も高くなるので、基本的にこの2つは火器コンロを石の台の上に作り、その石の台の下に凍結庫フリザーを入れることが多い。

石ではなく金属の台でもいいんだけどね。流石に木は火災を起こす可能性があるので避けるべきだろう。防火の術をかけると言う手もあるが・・・そこまでやるのは拘り派の主婦ぐらいのもんだ。

金属の方が料理の際に生じる油汚れが落ちやすくていいらしいが、熱の伝達が良すぎるので料理の熱が凍結庫フリザーまで伝わってしまい非効率的なことになりかねない。

ちょっとぐらい汚れて見た目が悪くなっても機能すりゃいいだろう。

マメに拭けばそれ程汚れが溜まるってことも無いだろうし。


「これってさぁ、出来あがったら俺らの内の誰かが貰う訳じゃない?俺の部屋にはこんなモノ置く場所無いんだけど、お前らある?」

どうせ作るなら引き取る人間にとって使い勝手がいいモノを作った方がいい。

シャルロが使うのかアレクが使うのかまず決めた方が効率的だろう。


「僕はあんまり料理ってしないからなぁ。凍結庫フリザーだけなら欲しいんだけど」


アレクが小さく笑った。

「ま、その為に自主的に俺たちだけで凍結庫フリザー保存庫フリッジをリンクできないか研究するんだろ?だったらシャルロは試作品第一号を持っていけばいい。どうせ最初の試作品は大きくなってしまうだろうからな」


「じゃあ、この課題の方はアレクの方で引き取るか?お前って料理したりするの?」

ある意味意外・・・。


「私はしないが、女性が働いている店舗のキッチンにでもおけば大歓迎されるだろう」


「じゃあ、喧嘩にならないように火源を2つ作ろうか」

シャルロが提案してきた。


「そうだな。それこそ一つ料理に使い、もう一つはお湯を沸かしてお茶を飲むのに使ってもいいし。

・・・料理用とお湯を沸かす用で火力って違う方がいいのかな?」


アレクが少し考え込んだ。

「どうせなら、火力を変えられるようにしよう。そうすれば応用が効く」


ふむ。術回路そのものに加減をつけさせるか、それとも術回路の数で火力を変えさせるか。

・・・術回路の数でやる方が簡単そうだな。火器コンロに関しては俺たちの誰もそれ程興味が無いから、術回路を弄るほど時間をかけて研究したい訳でもないし。


「じゃあ、薄い術回路を3つずつ作って、スイッチの場所によって魔力が通る術回路の数が変わるように設計するか」


「いいね!」

シャルロが嬉しそうに合意する。


「じゃ、はい」

術回路を作る為の銅線を渡した。

「一人2つずつ、出来るだけ薄くね」


俺もシャルロも基準的な火器コンロの火源のサイズなんて知らなかったのだが、幸い物知りアレクが知っていたのでそれに基づき術回路を作り始めた。


「これって・・・魔剣作りの時に見せられた火の魔剣の術回路にちょっと似ているな。同じではないけど。どう違いが出るんだろ?」

火の魔剣と料理用の火器コンロ

どちらもそれなりの時間の間、熱を発する必要がある。

魔剣の方が直ぐに高熱に達する必要がある・・・かな?


ある意味どうでもいいことだったのだが、気になったので魔剣の術回路も作って火器コンロ用の丸い形に加工してみた。

魔石を繋いで発動させてみると・・・。


「流石スタルノ氏だな。発動が早く、熱も高いのに魔力の消費量はこちらの方が少ないとは」

アレクが感心したようにつぶやいた。


「アレクの商会で火器コンロを作っているなら、スタルノさんの術回路を使えないか交渉してみたら?」

シャルロがにこやかに提案した。


どうだろ?

剣にしか興味が無い人だから、『好きにしろ』って言うかもしれないが、『料理に使うなんてふざけるな』と怒る可能性もある。

まあ、この術回路を火器コンロ用に大量生産させるんだったらその特許料で意に沿わない鍛冶の依頼を全部断ることができるようになるかもしれない。


プライドって論理だけに反応するモノではないからなぁ。


とりあえず、アレクの実家の店舗に置く予定の火器コンロに勝手に人の術回路を使うのは不味いだろうと言うことで、課題のモノに関しては学院から提供された術回路を使うことにした。



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