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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後5年目
749/1298

749 星暦556年 桃の月 20日 年末の予定(7)

「この後はどうする?」

服を3セット程買ってそのまま店を出たシェイラに尋ねる。


「まずは宿に荷物を置いて、服を着替えてから街中に出たいわね」

シェイラが答えた。

何故か店の奥で着替えたがらなかったんだよなぁ。


王都の下町とかでも時折衣服店の更衣室で誘拐される事とかもあるから用心したのかも知れないが、流石に男の連れがいるのに誘拐は無いと思うぞ?


まあ、着替えたからこのまま買い物を続行すると言われても疲れそうだったので口に出さなかったけど。


「あ~ちなみに、今は昼前で、これから日差しがきつくなるぜ?

昼食を取った後に軽く昼寝をして過ごすのも良いかも」

東大陸とアファル王国では何故か時間が違う為、王国の朝に転移門を使うとジルダスに着くのが現地の夜中になる。


領事館に泊るならそれでも構わないのだが、街の宿に泊まる場合は深夜に馴染みが無い街中を女連れで歩くのは不用心過ぎる。なので今日は日中は年末前の用事や買い物を済ませて午後遅めにあちらを出た。


結果、王都で半日色々こなして来たにも拘らず、こっちに着いたのは朝。

そんでもって買い物にそれなりに時間を掛けたからもうすぐ昼食時だ。


「そう言えば、以前こっちにウィル達が来ていた時に通信用魔具で連絡をくれた際に時間帯が違うって言ってたっけ。

ザルガ共和国で1刻ぐらい時間がずれるのは知っていたけど、東大陸だと随分と時間のずれが大きいのねぇ。

ちょっと今日1日が長くなっちゃうから、昼食を食べた後に少し昼寝をしましょうか」

シェイラが足を止めて暫し考えてから提案した。


店の中に入ればそれなりに温度調整がしてあって過ごしやすいんだけど、店から店へと動く間は地獄の暑さだからな。

ちょっと休むのが正解だろう。


「そうしよう。

取り敢えず、前回開拓した店に行こうぜ。ちょっと軽い食事とデザートがお勧めなところなんだ」

シャルロがバルダンに賄賂を出して情報を集めさせて確認しまくったデザートが美味しい店だ。

シェイラでも満足してくれると思う。


「良いわね!!」


街の中を歩きながら周りを見回すが、特に最初に来た頃と変わった様子はない。

アファル王国は香辛料が大量に仕入れられるようになった代わりに呪具が入ってきたり、ガルカ王国が潰れたりで色々と変化があったんだがなぁ。


とは言え、考えてみたら街中の様子は王都でもそれ程変わっていないか。

スラムは働きやすいようになった上に治安も警備兵の質も良くなったという話だが、最近はあまりあっちに行っていないからなぁ。


いくら盗賊シーフギルドの長に『大丈夫』と言われても・・・大きな変化があったら誰かはとばっちりを食らう訳で、損をした人間って自分より弱い人間に八つ当たりをしたがるものだ。

俺が『弱い』とは言わないが、集団で襲われたら危険だからあまりスラムの方には寄らないようにしている。


考えてみたら、ジルダスはアファル王国から何を買っているんだろう?

アファル王国は南回りの航路よりも安い値段でジルダスの香辛料が買えるようになり、ついでに安価版呪具も流れ込んできた。


ジルダスはザルガ共和国とか南航路側の国の代わりにアファル王国に香辛料を売るようになっただけで、あまり変わりはないのかね?

他の交易国は知らんが、少なくともザルガ共和国がみすみす売り上げが減るのを指をくわえてみているとは思えないが。


どっかに新しい販売先を見つけたか、新しい商品を見つけたかしていると思うが。

まあ、今はまだうっかりガルカ王国に戦争で勝って併合する羽目になっちまったせいで、忙しすぎてアファル王国の南航路経由の香辛料取引が消えた分の代わりを見つけられていないかもだが。


そう考えると、アファル王国も何かザルガ共和国とかから新しい物でも買わないと、正規品が売れないとなったら麻薬とか呪具とかの違法品を売り込まれるんじゃないかね?


流石に食事処で話す内容ではないから、後で寝る前にでもシェイラにちょっと聞いてみよう。

ヴァルージャではあまり最新の流通の話とかは入ってこないかも知れないが、交易の基本として香辛料の代わりに何がザルガ共和国から入ってくる可能性が高いかは知っていそうだ。


少なくとも俺よりは分かっているだろう。

変なものが来るようだったらまたウォレン爺にこき使われそうだからな。

爺さんならちゃんと先手を打っている可能性が高いが、こっちに来ている間にアファル王国と直接取引するようになって何が変わったか、ついでにゼブに聞いておいて損はない。


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― 新着の感想 ―
[一言] 最近最初から読み返していて、趣味に鍛冶があったのを見てここのところ鍛冶についての話しがないなぁと思いました
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