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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後5年目
741/1300

741 星暦556年 橙の月 20日 確認したら、ヤバかった(19)

第3騎士団の団長さん視点の話です

>>>サイド ダグロイド・シャーストン団長(第三騎士団)


「結局合計7人の被害者が見つかりました」

ファルナ少佐がメモ書きを手に、報告してきた。


「ほう。思ったより多いと考えるべきか、少ないと考えるべきか、なんとも微妙なところじゃの」

ウォレン爺が顎を擦りながら言った。


「侯爵家に関係する人間が2人、伯爵家が3人、裕福な子爵家が1人と公爵家の当主の母君が一人。

明らかにそれなりの権力か利権を有する人間が標的になってますね。

顔だけが良くて利権に全く縁がないような人物は男女どちらも被害に遭っていません。

とは言え、必ずしも直接使った本人が自分と相手の行動の影響を理解しているとは限りませんが」

副団長がファルナ少佐の持っていた書類を手に取って詳細を確認しながらため息を吐いた。


「どこかの国がアファル王国の土台を緩めようとしているのか?

それとも単に金目当てなのか・・・」

宰相が頭が痛いと言いたげな顔で呟く。


被害者は誰も国防に直接影響があるような立場の人間では無かった。

だがそれなりに力のある家で異変があれば、色々な形でアファル王国に影響を及ぶことは避けられないだろう。


これが国内での利権争いの一環ならまだ巡り廻って最終的には国力への影響は差し引きゼロになるかも知れないが、他国の商家や貴族の利権が伸びるような結果となった場合はアファル王国の富が外に流出することになる。


「まだ実行犯をそそのかしたり助けたりした人間の逮捕・尋問が終わっていません。

自白剤を使って黒幕まで辿り着ければもっとはっきりした背景が分かると期待しましょう」

副団長がため息を吐きながら言った。


「ちなみに、そこら辺は副団長にお任せしてよろしいですか?

私はウィル・ダントールと他の街の呪具使用を確認作業を続けた方が良いと思っているのですが・・・誰か別の人間に任せましょうか?」

ファルナ少佐が尋ねる。


「いや、ウィルは軍人嫌いなところがあるからな。

特に文句を言わずに協力してくれる相手が見つかっているんじゃ。

変えない方が良かろう」

ウォレン爺が言った。


「彼は相変わらず軍人嫌いなのですか?

本当に便利過ぎて、是非とも第3騎士団で働いてもらいたいところなんですが・・・」

副団長がウォレン爺とファルナ少佐の方を見ながら尋ねる。


「彼って水精霊の加護持ちでもあるんですよ?

本当だったら今回の追加料金でここまで色々と手伝わせるのって無理です。

そこら辺をあまり突っ込まずにそれなりに協力してくれるのはある意味国に対する愛国心なのかな?とは思いますが、臨時のバイト感覚だからこそのことだと思いますね。

それこそ、他の仕事をやめて軍の為に働けって圧力を掛けたら多分臨時バイトも断るし、更に圧力をかけたら下手をしたら裏ギルドの協力を得て死んだフリをして国を捨てそうですよ?」

ファルナ少佐が手を横に振りながら答えた。


「しかも彼を国から追いやる結果になったらシャルロ・オレファーニの機嫌も損ねる事になる。

一気に中位と上位の水精霊の加護持ちの協力を失うような行動はくれぐれも避けてくれ」

宰相が口を挟む。


本当に便利なんだけどなぁ、ウィル君の技能。

水精霊の加護なんて要らないのだが、もっと気楽に軍で呼び込めたら良いのに。


魔術学院の若いのをリクルート出来ないかと色々と工夫をしているし、若いのにいかに我々の仕事がやりがいがあって国の為になっているかをそれとなく学生に話して聞かさせているのだが・・・心眼サイトが優れているだけでなく、貴族の館や舞踏会に紛れ込むような技術を持っている特殊な人間はまだ見つかっていないのだ。

元々魔術師というのはエリート職な上、あまり肉体労働的な仕事ではない。


体を動かすのが得意な魔術師は戦闘が多い第1や第2騎士団に早いうちから誘われるし。


下町から発掘された魔術師の才能持ちを狙うべきか?

確か、暗殺者ギルドの関係者の養子が魔術学院に居るとか言う話も聞いた気がする。


とは言え、下手に裏ギルドに強い繋がりがある人間を引き込むと情報漏洩や殉死なんてことになった場合の報復の危険がそれなりにある。


「ウィル君を説得できないのか?

彼ってまだ独身なんだろ?」

ファルナ少佐だってそれなりに美人なんだ。

もう少し服や化粧に気を遣えば誘惑ぐらい出来ないのか?


「彼、付き合っている女性がいますよ」

ファルナ少佐が呆れたような顔をして言う。


「しかもシェイラはシャルロの婚約式にも招かれていたんじゃぞ?

下手に手を出して皆を怒らせるのは止めておく方が良い」

ウォレン爺が付け加える。


ちっ。

男と女の関係なら2人だけの問題だと言い抜けられるかと思ったが、婚約式に招く程仲がいいとなったらウィル君との関係を軍部の人間が壊して誘惑したなんてバレたら拙い。


「しょうがない。

取り敢えず、残りの街の確認作業を続行して何か他にも問題になりそうな兆候が見つかったら直ぐに連絡するように」


東大陸への新しい航路が開かれたのは必要なことだったのだが・・・なんとも色々と面倒なことだ。

黒幕がさっさと見つかるといいんだが。


黒幕探しよりもウィルの勧誘の方に話が流れたw

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― 新着の感想 ―
[一言] 盗賊はファンタジーにおいて超有能職業なのについてくるマイナスイメージがなぁ…結果本人が身を守るに徹するから権力とは離れがちよね…
[気になる点] ダンチョー、流石にそれは不味いっす(滝汗)。 [一言] 諜報機関の予算の出どころは「パトレイバー」なんかで描かれてますから、コスい理由わかりますが……。 色仕掛けは無理だと思うよ、特に…
[一言] >本当に便利なんだけどなぁ、ウィル君の技能。 某剣の世界も迷宮&竜でも便利ですからねぇ、シーフ技能持ちの魔術師って 第三騎士団内部で素質ある人を探した方が早いかもしれませんね
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