表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後5年目
721/1298

721 星暦556年 黄の月 28日 もうそろそろ涼しい(9)

「なんかこう、足元をもっと暖かく出来ないかな?

胸元やお腹ぐらいは十分暖かくて背中からちょっと汗をかいてくるんだけど、足先は冷えている感じで寝ずらいよ」

何通りかゴム板と金属板の魔術回路基板を試作して寝袋型魔具を試しているのだが、ほぼ完成形かな?と俺的には思った試作品を試した次の朝にシャルロが文句を言ってきた。


「そうか?

俺は特に問題は無いと思ったんだが」


寝袋だと汗をかくと露骨に中が湿気てくる。お陰で湿度感知の魔術回路もかなり大雑把なものでも大丈夫なことが確認できた。

だから余剰魔力吸収と発熱の魔術回路に加えて湿度感知のも付け加えたのを寝袋の中に入れてある。


下部のマットレス部分は防熱性は低めだがクッション性を高め、押しつぶして丸めるとかなり薄くなるが何回か振ると空気が入って程よく寝やすくなる素材を使っている。


上部は防熱性の良いカバーを使っているが殆ど綿は無く、此方も振ったら空気が入って体温の熱を溜め込んで寝具の中身を温める仕組みになっている。


最初に体温が温まるまでが大変なので、これに関しては魔石を付けて寝袋に入る前から温めて置ける仕組みにしてある。

一応夜中に余剰魔力で魔石を充填し直すようにしてあるのだが、汗が出るまで発熱によって寝袋の中を温めることを優先するので、外が寒いと魔石充填が足りない場合も出る。そう言う時は自分で日中に意識して魔力を込めるか、魔力の入った魔石を買ってきて入れ替えるかする必要があると大きく注意書きに書いておいたが・・・苦情はくるんだろうなぁ。


この『何度か振ったら空気が溜まって暖かく使える寝具』というのはシェフィート商会の工房が行商中の野宿で使うために開発していていた物らしい。どうしても空気だけでは寒く、綿を入れると空気の出入りがイマイチ阻害されてしまって使い勝手が悪くなるとボツになりかけていた仕組みだったのを、アレクとの雑談でそのことを思い出した母親が『使えない?!』と送って来たのだ。


中々素晴らしいと俺的には十分満足したのだが・・・冷え性な人間にはどうも足先近辺の暖かさが足りないらしい。


「結局、足先の方は熱が足りないんだよね~。

足先が温まる前に胴体が温まって背中あたりが汗ばんでくるから湿度感知で発熱が止まっちゃう。

しかもあまり暖かくしすぎると今度は変に足の裏が汗ばんで嫌な感じだし。

布団だったら足先が汗ばんできたら足の先だけ外に出せば良いんだけど、寝袋だとちょっとそれもしにくいから微妙な感じ」

シャルロがため息をつきながら説明してくれた。


ううむ。

冷え性人間って色々不便だな。


この際、もっと運動して筋肉をつけたら良いんじゃね?

まあ、シャルロはまだしも客にそう提案する訳にはいかないけど。

でも、軍人で足が冷え性な人間なんてどの位いるんかね??

まあ、魔術師も遠征についていく事になる場合も多いらしいからそう言う連中はあまり筋肉が無いだろうけど。


「足先の部分だけ発熱と湿度感知とを魔石付きで別回路にするか?

足先だけ先にぐっと暖かくしておいたらそれで大丈夫かもだし、駄目だとしても足の先から汗をかくまで足先近辺はそのまま温め続けるようにしてみようぜ。

なんかシャルロの話を聞くと、冷え性の人間にとって足の先って胴体と微妙に断絶してるっぽいし」

よく分からない断絶状態だよなぁ。

ほぼ同じ様に体の一部として動かせるし血も流れているのに、なんで同じ体感温度にならないのかね?

血が巡るのにがっつり時間が掛かるって言うならまだしも、怪我をした際に止血で足先の血を止めても良いって教わった時間を考えるとそこそこの頻度で足先の血は胴体の血から循環して入れ替わっている筈なのに。


アレクが微妙に首を傾げた。

「だが、軍人で足先が冷え性の人間ってそれ程いるかな?

あれって筋肉が少ない人間に多いと以前聞いたが。

まあ、商家の行商中の野営や宿が無いような村での滞在時に使えるから悪くは無いアイディアだが」

やはりアレクも冷え性な軍人の存在に疑義を抱いたらしい。


とは言え。

軍に売り込もうと話していた寝袋だが、実は商家の方でも使えそうだとシェフィート商会から言われている。


行商中に野営することもあるし、小さな村を回るような販売経路だと宿が無いような村で村長家や村共有の倉で寝袋にくるまって寝ることも意外と多いらしい。


考えてみたら小さな村なんぞに宿があるとは限らないよな。


宿が無いような小さな村でも商品は必要であり、そう言うところに回るのに毎晩宿がある場所で夜を明かそうとすると色々と時間が無駄になりそうだ。


そして行商するような人間は必ずしも若かったり筋肉もりもりだったりはしないから、冷え性の人間もいるだろう。


まあ、冷え性で寒い荷馬車の業者席で1日ずっと過ごすのは辛そうだけど。

まあ、寝る時だけでも快適に眠れる様、寝袋を冷え性タイプ用に工夫しよう。

その方が金を出して買う気になるだろうし。


汗をかきながら書く温める用の寝具の開発の話・・・。

ちょっとタイミングを間違えましたね〜。

暑くて脱水症や熱中症になりそうな毎日ですが、しっかり水分補給して皆様もご自愛下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ